ウクライナ負傷兵士が抱える“戦争のトラウマ” ドローンの影響などで心の傷が深刻化「様々な音に反応」 ロシアによる侵攻から4年半

ロシアによる軍事侵攻から4年半、ウクライナでは激しい戦闘で負傷した兵士たちの体の傷だけではなく、心の傷も大きな問題となっています。深刻な「戦争トラウマ」に苦しむ兵士を取材しました。
ウクライナの街を襲うドローン。兵士の頭上でも爆発。新たな脅威となっています。
ウクライナの国立リハビリテーションセンターに通う、兵士のミコラさん。神経を損傷した左足の治療とPTSD=心的外傷後ストレス障害のリハビリに励んでいます。
激戦地の南部ザポリージャ州で前線に配備されましたが、2年前の3月に、ロシア軍に捕まり捕虜となりました。
ウクライナ兵 ミコラさん(33)
「(Q.何が起きた?)私が走って移動していたとき、敵が命中させようとしたドローンが左足から70㎝ほどのところで爆発した」
左足に重傷を負いましたが、医療行為は一切受けられなかったといいます。去年6月、ミコラさんは捕虜交換で解放され、医師からPTSDと診断されました。捕虜生活で続いた電気ショックなどによる拷問に加え、ドローンの影響も原因だと話します。
ウクライナ兵 ミコラさん(33)
「戻ってから半年ほどは緊張が消えず、様々な音に反応しては(ドローンではないかと)周りを確認していた。(Q.どんな感情になる?)攻撃的になります。腹が立って“どこだ、なぜドローンが飛んでいるんだ”“誰が許可したんだ”と反応してしまう」
精神疾患のある兵士ら、2万7000人以上を治療してきた医師が指摘したのは。
国立リハビリテーションセンター オレフ・ベレズク医師
「兵士たちはPTSDや不安障害を抱えている。身体的トラウマ、精神的トラウマ、道徳的トラウマの影響」
爆風の衝撃で受けた、脳損傷による身体的トラウマ。死にさらされる恐怖からくる、精神的トラウマ。捕虜になり尊厳が破壊されたことなどが要因となる道徳的トラウマの3つ。これら3つが、1人の人間に同時に起こり得ることが、戦争によるトラウマの特徴だといいます。
リハビリセンターでは、絵画や粘土細工の制作を通じて自分のトラウマと向き合うアートセラピーや、脳の働きを整える神経科学的治療などが行われています。
ロシアによる軍事侵攻から4年半。医師は、先月から、軍人や民間人の自殺未遂が増え始めており、人々の心の傷が悪化していると指摘します。
国立リハビリテーションセンター オレフ・ベレズク医師
「継続的な緊張とアドレナリンなどの過剰分泌による疲労が、心身のエネルギーを枯渇させてしまうのだろう」
PTSDのリハビリを行うウクライナ兵のミコラさん。戦争による心の傷は、今も癒えていません。
ウクライナ兵 ミコラさん(33)
「もし捕虜にならなければ、仲間を助けられたのかもしれない。ウクライナに戻ったとき仲間の多くはすでに亡くなっていた。私がいたらこんな事態は防げたはずだと、自分を責めている」