小学生が体験したペットボトル「水平リサイクル」のための分別方法とは <シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-22 08:30
小学生が体験したペットボトル「水平リサイクル」のための分別方法とは <シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】

夏休みに小学生がペットボトルのリサイクルを体験するプログラムが横浜市で開催された。学んだのは、飲み終わったペットボトルを原料として新しいペットボトルを作る「水平リサイクル」のための分別方法だ。「シリーズSDGsの実践者たち」の第56回。

【写真を見る】小学生が体験したペットボトル「水平リサイクル」のための分別方法とは <シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】

ペットボトルの「水平リサイクル」を学ぶ

横浜市の横浜赤レンガ倉庫で7月29日と30日に開催された「ペットボトルリサイクル小学生向け体験プログラム」。市内外から小学生と保護者らが参加し、リサイクルに関する説明やクイズなど、楽しく学べるプログラムが展開された。

講師の女性(サントリーグループの専任講師)は参加者にこう語りかけた。

「ペットボトルにはいくつかの特徴があります。まずキャップがついているので、飲みきれなくてもキャップを閉めて持ち運ぶことができます。軽いので持ち運びしやすいですよね。それに、潰しやすいし、割れにくい。でも一番の特徴は『リサイクルができる』ことなんです。ペットボトルは便利なだけでなく、環境への影響を減らせる入れ物なんですね」

体験プログラムの大きな目的は、ペットボトルの水平リサイクルについて知ってもらうことだ。ペットボトルにおける水平リサイクルとは、飲み終わったペットボトルを原料に新しいペットボトルを作ること。横浜赤レンガ倉庫など、みなとみらい21地区の各施設が参加して、2025年1月から取り組みが進められている。 

横浜赤レンガ倉庫での体験プログラムは2025年10月に続いて2回目で、今回は2日間で約70人以上が参加した。株式会社横浜赤レンガの木村理紗さんは、開催のきっかけと水平リサイクルの実績を次のように説明した。

「横浜赤レンガ倉庫では、開業20周年を迎えた2022年12月の大規模リニューアルをきっかけに、サステナブルへの取り組みを強化しました。その一環として、2025年1月から水平リサイクルを地域一体となって推進していく中で、昨年からこの体験プログラムを始めました。今回は夏休みということもあって、夏休みの自由研究として来られたお子さんも多く、参加者は前回よりも増えました。

水平リサイクルが始まった2025年1月29日から2026年の6月30日までの間に、横浜赤レンガ倉庫だけで10,000kg以上のペットボトルを水平リサイクルのために回収しました。回収したペットボトルは、通常は清掃スタッフが飲み残しを廃棄し、キャップとラベルを分別して、回収業者にお渡ししています」

水平リサイクルのための分別方法とは

プログラムではさらに先ほどの講師の女性が、水平リサイクルのための分別方法や手順を説明した。

「分別には4つのステップがあります。まずラベルをはがし、次にキャップを外します。その後に中を綺麗にすすぎ、最後は平らに潰して完了です。外出先などのリサイクルボックスに、ボトル、キャップ、ラベルを分けて入れてください。

分けて入れられるところがないときには、全部一緒に入れて大丈夫です。ただしその場合でも、ボトルをそのまま入れるのではなく、ボトル、キャップ、ラベルを分けてから入れることが大切です」

ペットボトルからラベルやキャップを外すと、キャップと繋がっていた細いキャップリングが残る。このキャップリングは水よりも軽く、ボトルを洗浄する際に浮いてきてボトルと分離できること、それに強引に切るのは危険なことから、つけておいたままでいいと説明された。

また、回収されたペットボトルを細かく砕いたフレークや、ペットボトルの形に膨らませる前の原型であるプリフォームの実物が配られた。

プリフォームは試験管のような形をしている。プリフォームを約100℃まで加熱し、ボトル用の金型に入れ、高圧空気を注入して膨らませると、ペットボトルの形になる。水平リサイクルの一連の流れを、実物を見ながら学んでいた。

講師は「水平リサイクルは新たな資源を使わずにペットボトルを作ることができます。そして、普通にペットボトルを作るときに出てしまう二酸化炭素を減らすこともできます」と水平リサイクルの意義を説明。小学生は実際にペットボトルからラベルやキャップをはがし、軽く潰して、リサイクルボックスへと投函していた。

横浜市内から訪れた小学3年生の田中絵麻さんは「ペットボトルのリサイクルの仕方をわかりやすく教えてもらってよかった。ペットボトルの赤ちゃんのプリフォームに熱い空気を入れたら、膨らんで柔らかくなることもわかりました」と、プログラムで初めて知ったことを話した。 

また、相模原市内から訪れた小学4年生の鎌田大誠さんは「学校で学んでいたので、少し知っていましたが、中をすすぐとかは(今日)知りました。リサイクルに協力したいなと思います」と話していた。 

家庭以外での分別を進めるのが課題

国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が毎年発表している国別の「SDGs達成度ランキング」の2026年版が6月に発表され、日本は前年から順位をひとつ下げて20位だった。順位が後退する中で、今回評価が改善した目標がある。それは「つくる責任 つかう責任」という目標。1人あたりのプラスチックごみの輸出量が減少したとして、これまでの最低評価から1つ評価が上がった。

実際に、日本では清涼飲料水用の使用済みペットボトルはそれだけで回収するスキームが整っており、リサイクルは世界的に見ても高い水準にある。体験プログラムに協力したサントリーでは、現在みなとみらい21地区の30事業所からペットボトルを回収して、水平リサイクルを行っている。

水平リサイクルによってペットボトルを生産すると、石油由来の原料で生産するよりも二酸化炭素の排出が約60%削減できる。サントリーホールディングスサステナビリティ経営推進本部地域共創地域課題ソリューショングループの島田敏明担当部長は、水平リサイクルの現状を説明するとともに、今後の課題を指摘した。

「サントリーでは、使用済みペットボトルのリサイクルの安全性の検証を長年行い、2011年にメカニカルリサイクル技術が確立しました。翌2012年に業界で初めてリサイクル100%ペットボトルをサントリー烏龍茶に導入し、2023年から2本に1本以上がリサイクルペットボトルになっています。

小学生に向けては今回のようなイベントや、総合学習の時間などでリサイクルの啓発活動を行っていますが、大人の方の方がペットボトルのリサイクルについて理解されていない方が多いかもしれません。ご家庭では分別が行われているものの、家の外でも同様にできているとは限らないからです。ペットボトルは資源であることを、もっと知っていただきたいですね」

飲み終わった後のペットボトルをきれいに分別することで、資源循環型の社会に貢献できる。ほんの少しの手間で資源としての価値が上がることは、もっと知られるべきだろう。

「調査情報デジタル」編集部

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。

  1. 髙嶋政伸も驚き【尾上松也発案の〝新たな「金田一耕助」像〟】「ショーケンさんに聞いたんです」思い強すぎて清水監督にプレッシャー
  2. 「勝ったのが楽しかった」知的障がい者サッカー日本代表候補が子どもたちとサッカー教室で交流 栃木・さくら市
  3. アジア大会代表勢がV!女子棒高跳の諸田実咲は日本新に「びっくり」女子走幅跳・秦澄美鈴「いい跳躍ができるように」【全日本実業団陸上】
  4. 【ソフトバンク】ヒヤリ5連勝で3年連続80勝到達のM8!最多貯金35 栗原V打 近藤最多27号2ラン ラトリッジ来日初先発初勝利 周東負傷交代
  5. 【沖縄県知事選】各候補が最終日の訴え 経済振興や普天間基地の移設問題が争点 あす13日投開票
  6. 同窓会参加の9人は死亡男性と面識なしか オーナー死亡で真相解明は困難に 岐阜・本巣市ケーキ店放火事件
  7. 【中日】涌井&橋本が4点差守れず37度目逆転負け 3連敗で最悪タイ借金”20”...細川、サノーが2度1死満塁で不発 花田三塁けん制死
  8. 【13日 あすの天気】西日本は午後から広い範囲で雨 北陸は午後ほど雨脚強まる見込み 東京26℃予想で真夏日には届かないものの高湿度に
  9. 【阪神】巨人に完封負け ついに0.5差と崖っぷち 今季2度目4連敗...1点が遠く 森下9回無死一塁で痛恨併殺打 村上は2回 松本にV打許す
  10. 【オリックス】2連勝で4位浮上 エスピノーザ6回途中2失点でパトップタイ12勝目 田嶋が1死満塁で火消し成功 西川11号2ランで追加点
  1. 「貝殻ビキニ」に次ぐ “大胆衣装” は「サンゴ」【 武田久美子・58歳 】横浜流星との共演に意欲 自ら売り込みも〝監督さんたち使ってください〟
  2. 【森本レオ氏(83)死去】森田正光さん 訃報受け追悼「『森田君、温泉で将棋指そう』と何度かお誘いを受けましたがついぞ叶いませんでした」
  3. 男子中学生(14)に事件のことを口止めか 一緒にいた男子中学生への傷害容疑で10代の少年4人を逮捕 事件前にはバイクめぐるトラブルも 相模原市・男子高校生(17)死亡事件
  4. 緊急会見【 市川團十郎 】“日本映画として初快挙”『ベネチア国際映画祭』公式独立賞受賞 長男・新之助さんの反応は「『あ、そう』って(笑)」(授賞理由・全文掲載)
  5. 靖国神社落書きで指名手配の董光明容疑者 中国で懲役8年の判決 インフルエンサーを脅し金数百グラム要求などの別事件で
  6. 【森本レオ氏(83)死去】榊原郁恵さん 訃報受け追悼「寄り添うような優しい声、飄々としてて…なんか面白くて博識で…」
  7. 【GACKT】ベトナムの “サービス” に驚愕「疑問しかない。」「これがデフォルトなのか?誰か教えてくれ。」
  8. 沖縄県知事選 現職VS元官僚 事実上の一騎打ち 争点は“辺野古”からシフト? 県外からのSNSで拡散される中傷・誤情報【news23】
  9. 【ふるっぱー 松本かれん】「世界一幸せな」もぐもぐ写真  Juice=Juice 江端妃咲の手作りパンを絶賛
  10. 愛猫が『あなたの見えないところでやっていること』5つ 内緒にしたがる理由から注意点まで
  11. 鮭をバレないように取ろうとする猫→『顔』を見てみると…まさかの光景が171万再生「全然バレてるのにw」「めちゃめちゃかわいい」
  12. ドジャース今季最長8連勝で地区優勝マジック「5」タッカーが満塁弾含む3安打5打点 大谷翔平の代役・デポーラのデビュー戦は無安打