外国人労働者257万人 過去の反省から生まれた「特定技能」 迷走?受け入れ政策の「アクセルとブレーキ」 争奪戦ライバル韓国との「2つの差」とは【サンデーモーニング】
外国人労働者を取り巻く環境についてみていきます。
外国人労働者257万人・過去の反省と見直される受け入れ制度
過去最多となる257万人の外国人労働者。その在留資格は様々です。
例えば、研究者などの専門性の高い知識や技術を持つ「高度専門職」。一部は永住の在留資格が認められるなど、好待遇となっています。
今回被害を訴えたミャンマー人は、「特定技能」と呼ばれる在留資格です。
「特定技能」とは、建設や外食などの人手不足が深刻な特定の産業で、即戦力として期待される外国人労働者の資格で約42万人、全体の約16%を占めます。
この資格には、▼在留期間が最長5年で、家族を呼ぶことが許されない「1号」と、▼更新上限がなく、家族を呼べる「2号」があります。
しかし、2号になるためには技能試験のほか、職種によっては現場の監督経験なども求められ、ハードルが高く、全体の約97%が1号なのです。
被害を訴えたミャンマー人も、まさにこの1号でした。
そもそもこの特定技能は、過去の反省から生まれたものでした。
1993年に「途上国への技術移転」の名の下に「技能実習」が作られましたが、実態は、人手不足の現場の「安価で短期的な穴埋め」でした。
その後、国内では高齢化が進み、人手不足が深刻化する中、こうした「建前」をやめ、「正面」から労働力を確保するために「特定技能」を新設しました。日本人と同等以上の賃金を義務付けるなど、待遇の改善を図ったのです。
なお「技能実習」は2027年に廃止され、新たに「育成就労」がスタートします。3年間で「特定技能」へステップアップさせる仕組みです。
迷走?受け入れ政策の「アクセルとブレーキ」
しかし、国は労働力確保のアクセルを踏む一方、制限をかけるブレーキも踏んでいます。
「まずは生産性向上と国内人材の確保が前提」として、制定時から、分野ごとに人数の上限を決めました。その結果、4月には「外食分野」で、上限の5万人に近づいたとして、新規受け入れが停止されました。
これに対し、日本飲食団体連合会の調査では、45%の企業が営業時間の見直しなど「事業計画に影響がある」と回答。
64%の企業が外国人スタッフを「必要」(とても必要・ある程度必要)としており、国の方針と現場の実態との「ズレ」が浮き彫りになっています。
さらに、25日には外国人の在留更新などの手数料を、10月1日以降の申請から現在の6000円から最大7万5000円へ、永住許可に至っては1万円から一気に20万円へと、大幅に引き上げる方針を打ち出したのです。(期間に応じて手数料に差がある)
こうして、日本がアクセルとブレーキで足踏みしている間にも「外国人労働者の争奪戦」は激化しています。
激化する争奪戦・ライバル韓国との「2つの差」
ライバルである韓国と比べると、違いは大きく2つあります。
▼「安心な環境」
【日本】
民間主体で、悪質な仲介業者が入り込みやすく、多額の借金を背負わされる問題も
【韓国】
国が直接管理して、仲介業者を排除しており、働き手が搾取されない
▼「賃金」
ほぼ同様の資格で比べた場合の平均月収
【日本】
約24万8000円
【韓国】
約29万3000円。
※三菱UFJリサーチ&コンサルティング・2025年
「選ばれる国」になるために~問われる日本社会の覚悟~
こうした人材獲得の状況について、東海大学の万城目正雄教授は、「待遇差に加え、歴史的な円安も影響している」としたうえで、「外国人労働者が国を選ぶ理由は、賃金だけではなく、安心・安全な生活環境や、将来のキャリア形成も欠かせない」とし、「単なる数合わせではなく、意欲ある人材から選ばれる国を目指すべきだ」と指摘しています。
外国人労働者を社会のパートナーとしてどう受け入れていくのか。制度の転換点となる今、日本社会の覚悟が問われています。