フーシ派が紅海沿岸の要衝を制圧…“第2の海峡封鎖”は起きる? 原油100ドル超え「ガソリンか食料か…選択しなければ」価格高騰に悲鳴【news23】
中東で「新たな異変」が起きています。親イランの武装組織「フーシ派」の支配地域が拡大し、先週から原油価格の高騰が続いています。近い将来に起こるかもしれない「第二の海峡封鎖」。今後の原油価格はどうなるのでしょうか。
中東緊迫 さらなる原油高騰も “第2の海峡封鎖”は?
「USA!USA!」
USAコールの中、ゴルフ場のグリーンに登場したのは、アメリカ・トランプ大統領です。
アイルランドにある、自らが所有するゴルフ場で開かれた欧州ツアーの表彰式。
ギャラリーが見つめる中、ゴルフ観戦を楽しんだ一方で、トランプ氏は独自の見通しを示しました。
トランプ大統領(13日)
「イランとの戦争は中間選挙より前か、選挙の直後に終わるかもしれない。そうしたらガソリン価格は急落するだろう」
アメリカとイスラエルがイランを攻撃してから半年が過ぎました。ただ、戦争の終わりは見えません。
中東情勢の緊迫を受けて、ニューヨーク原油市場は、先週(10日)、1バレル=100ドルを突破。5月下旬以来、約3か月半ぶりです。
アメリカ国内では、市民生活に影響が現れています。
市民
「誰もが普通に暮らそうとしているだけなのに残念です。これは大きな問題だ。ガソリンか食料か、どちらかを選ばなければいけない」
“代替ルート”に封鎖懸念 日本の原油輸送にも影響のおそれ
今、最も問題となっているのは、原油の輸送ルートの不安定化です。
イランによるホルムズ海峡の封鎖を受け、サウジアラビアは原油をペルシャ湾側の主要生産地から、紅海側のヤンブー港にパイプラインで輸送。バブ・エル・マンデブ海峡を通ってアジアへと輸出する動きを強めてきました。
記者
「中東産の原油がこれから降ろされます」
これは3月、サウジアラビア産の原油が紅海のルートを通過し日本に運びこまれた際の映像です。ところが今、このルートをめぐって戦闘が激化しているのです。
活動を活発化させているのが、イランが支援する、イエメンの武装組織・フーシ派。
これまでフーシ派は、サウジアラビアが支援する暫定政権の部隊と衝突を繰り返してきました。
フーシ派は9月に入り、紅海沿岸で大規模な攻勢をかけています。
バブ・エル・マンデブ海峡周辺の港湾都市・モカのほか、ペリム島やハニシュ諸島を制圧しました。
さらに、サウジアラビア政府は、紅海沿岸まで原油を輸送する「東西パイプライン」が複数回の攻撃を受けたと発表。
攻撃に使われたドローンは、隣国イラクから発射されたとしていて、「東西パイプライン」は、安全確認のため、予防的に操業を停止したということです。
中東情勢が緊迫した2月以降、紅海を通過する原油の輸送はホルムズ海峡に代わるルートとして重要性が増していました。
アメリカ・エネルギー情報局によると、バブ・エル・マンデブ海峡を通じた輸送量は、2025年と比べて1.8倍に増加。このルートを使えば、ホルムズ海峡のルートとほぼ同じ20日程度で原油を輸送することが可能でした。
ただ、フーシ派が本当にバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖した場合、アフリカ南端をまわる必要があります。
これまでの倍以上にあたる49日を要し、輸送コストの拡大は避けられません。
こうした事態に日本はどのように対応するのか。
木原官房長官(14日)
「現時点において、原油・石油関連製品については、日本全体として必要となる量を確保できている状況」
政府は、エネルギーの安定供給の確保に加え、中東情勢対応の予備費を活用した、激変緩和措置を実施し、「対応に万全を期す」と説明しました。
「ガソリン補助金」すでに“1兆円”支出 レギュラー価格170円
藤森祥平キャスター:
中東情勢の緊迫を受け、私たちの生活に直結するガソリン価格にも影響が及んでいます。
現在(7日時点)、ガソリン価格は補助金が導入され、1リットル170円ほどに抑えられています。
その補助金の財源は、3月に1兆1600億円くらいあったものが、8月末の時点で約1300億円に激減しています。
政府は、ガソリンに対する補助金を継続するため、2026年度予算から追加支出として6000億円あまりを支出するとしました。ただ、補助金の財源は税金です。いつまでも続けることはできません。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
原油価格がどんどん上がっていけば、170円ではもう抑えられない。180円、190円ということになれば、物価高に直結するので、なかなか踏み切れないというのが現状だと思います。
さらに、補助金を出すということは、「CO2(二酸化炭素)をどんどん排出する政策を進めている」ということになります。世界からは「日本は何をやってるんだ。温暖化対策どうするんだ」という声も出てくるでしょう。
小川彩佳キャスター:
中東情勢の影響がいつまで続くのか。本当に見えなくなっています。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
ホルムズ海峡に続き、バブ・エル・マンデブ海峡も封鎖されるとなれば、アメリカにとっては第2の誤算となるでしょう。
イラン側は、海峡封鎖によって戦争をコントロールできる。世界の原油価格もイランがコントロールできるというカードを与えてしまっているのです。
イランの主導権がどんどん強まる中、アメリカでは「トランプ政権が続くあと2年間は、この戦争が続くのではないか」と見られています。
見通しのない戦争に踏み切ったトランプ大統領の責任は非常に重いと思います。