“実行犯だと合理的に説明できない”餃子の王将社長射殺で無罪判決 被告「過ちを正され、真犯人を追って」 京都地検「判決内容を精査し適切に対応」

13年前、「餃子の王将」を展開する会社の社長が射殺された事件の裁判で、殺人などの罪に問われた暴力団幹部の男に京都地裁は、きょう、無罪を言い渡しました。
きょう午前、京都地裁ではおよそ150人が傍聴券を求めて列を作りました。
そして、午後1時半すぎ。
記者
「先ほど、京都地裁が判決を言い渡しました。無罪、無罪です」
2013年12月の早朝、京都市山科区にある王将フードサービスの本社前で、社長だった大東隆行さん(当時72)が、拳銃で腹や胸に4発の銃弾を撃たれ死亡しました。
事件発生から9年後、捜査は大きく進展します。
警察は、福岡市内で大手ゼネコンの社員らが乗った車を銃撃したなどの罪で服役中だった特定危険指定暴力団「工藤会」系幹部の田中幸雄被告(59)を大東さん殺害の実行犯として逮捕したのです。
しかし、去年の11月に始まった裁判で、田中被告は起訴内容を全面的に否認しました。
田中被告
「私は決して犯人ではありません。任侠道を志す者として、事件は到底承服できない」
「被告人質問」を拒否し、事件について一切語ることがなかった田中被告。直接的な証拠がないなか、被告の犯人性が最大の争点となりました。
現場に残されたタバコの吸い殻から田中被告のDNA型が検出され、検察側は「被告が待ち伏せしていた際の吸い殻だ」と主張しましたが、弁護側は「被告を陥れるために何者かが持ち込んだものだ」と反論していました。
また、事件前日に大東さんの自宅近くで防犯カメラに写ったヘルメット姿の人物について、検察側は「歩き方の特徴が被告に似ている」と主張しましたが、弁護側は「歩き方の鑑定は不確かで、被告とは特定できない」と反論。
検察側が複数の状況証拠から立証を進め、無期懲役を求刑した一方、弁護側は一貫して無罪を主張しました。
きょうの判決で京都地裁はまず、「タバコの吸い殻」について、「喫煙後の吸い殻を残すことで被告人に捜査の目を向ける第三者の関与を排斥することはできない。実行犯だと合理的に説明できない」と指摘。
また、防犯カメラに写った不審な人物については、「特徴がありふれたものであるうえ、正確な身長や体格などが判明せず、歩き方の鑑定の精度も低い」と指摘しました。
結果、京都地裁は検察の主張について「合理的な疑いを差しはさむ余地がある」などとして全て退け、田中被告に無罪を言い渡しました。
何度も大きくうなずきながら落ち着いた様子で判決を聞いていた田中被告。判決の後、弁護団を通じてコメントを発表しました。
田中被告のコメント
「検察も人間ですから間違うこともあります。過ちは過ちとして、勇気を持って振り出しに戻って、過ちを正され、真犯人を追っていただきたい」
京都地検は「判決内容を精査し上級庁と協議のうえ、適切に対応したい」とコメントしています。