「怨親平等」とはどんな意味の言葉?その成り立ちや類義語は?

2023-05-08 02:30

敵も味方も同じ処遇にすることを「怨親平等(おんしんびょうどう)」と言います。
これは他人も身内も同じ扱いをすることを言った言葉です。
しかし、そもそも「怨親平等」はどのような四字熟語なのでしょうか?

今回はそれら「怨親平等」という言葉について解説します。
ここではその意味はもちろん成り立ちなども説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

「怨親平等」とは

まずは「怨親平等」の意味について詳しく見ていきましょう。

「怨親平等」の意味

「怨親平等」とは敵も味方も同じような処遇とすることです。
これは忌み嫌っている者も親しくしている者も平等に扱うことを言った四字熟語となります。

主に「怨親平等の扱いをする」などのように使用します。
要は他人も身内も関係なく同じ扱いをすることを言った言葉です。

「怨」と「親」があらわすもの

そもそも「怨親」は何を意味しているのでしょうか?
これに関してはそれぞれの単語に分けて考えるとわかりやすいえす。

まず「怨」は自分と敵対する者を意味しています。
次に「親」は自分に味方する者を意味しています。
つまりは敵と味方の両方を表した熟語なのです。
そこに「平等」という熟語が付随している形です。

なお「平等」は分け隔てなく扱うことを言います。
要は怨敵も仲間も同じように扱うことを言う言葉なのです。

「怨親平等」の成り立ち

では「怨親平等」はどこから来た言葉なのでしょうか?
ここからは「怨親平等」の成り立ちについて見てみましょう。

仏教用語から来た「怨親平等」

もともと「怨親平等」は仏教用語の1つとされています。
仏教の世界では敵味方の恩讐を越えて区別なく同じように極楽往生させることを「怨親平等」と表現します。

特に仏教においては「大慈悲」が原則とされているのです。
つまりは悪人も善人も平等に扱うのが基本的な考えとなります。

そのため、敵は憎むべきではなく味方にも執着すべきではないという考え方が広まったとされています。
実際に仏教の世界でも怨敵や仲間を平等に慈しみ憐れむべきことを「怨親平等」と言うわけです。

ここからは余談ですが、かつて日本では戦いが終われば敵味方分け隔てなく戦死者を供養したとされています。
この歴史を見ても古くから「怨親平等」の精神が根付いていたことがわかります。

事実、戦国時代に活躍した豊臣秀吉は敵軍の菩提を弔うために方広寺の前に巨大な塚を築いたという記録が残っているとか。
その上に塔婆を立て大供養会を営んだそうです。

実際にその塔婆には「以充怨親平等供養 為彼築墳墓 名之以鼻塚 況又造立木塔婆一基」とあったという話もあります。
このことからもわかるように、当時から「怨親平等」が根付いていたわけです。

そういった武士道精神の根源には「怨親平等」があるのかもしれません。

「怨親平等」の類義語

最後に「怨親平等」の類義語も見ておきましょう。

一視同仁

「一視同仁」とはすべてを平等に扱って差別しないことです。
これらは贔屓するわけでなく誰彼の区別なく同じように処遇することを言うのだとか。

「一視」は同じように見ることを意味します。
「同仁」は同じように思いやること意味します。
要は身分や出身などに関係なく同じ目線で見るということを言った言葉です。

なお、これらは敵味方の区別なく接することなども言います。
それらの点が「怨親平等」と似ているかもしれません。

兼愛無私

「兼愛無私」とは自他の区別なく広く人を愛することです。
これは中国戦国時代の墨子の思想とされています。

「兼愛」は自他を区別せずに同じように愛することです。
「無私」は私心や私欲がないことを言います。

つまり自分と他人を分け隔てなく扱うことを意味するのです。
それらの点が「怨親平等」と同じと言えるかもしれません。

博愛主義

「博愛主義」とは全員が分け隔てなく協力し合うべきという考え方のことです。
これらはすべての人を互いに排斥することなく平等に愛するべきだとする主義を言います。

特に人種や国家、階級などに関係なく愛し合うべきだという態度のことを「博愛主義」と表現するのです。
それらの点が「怨親平等」と共通しています。

まとめ

「怨親平等」は敵味方関係なく接することを言います。
これはもともと仏教用語の1つで、そこから「怨親平等」が生まれたのではないかと考えられているようです。

昨今、何かとギスギスしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、そこは「怨親平等」の精神を持って人に接してみてはいかがでしょか。

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