ベトナム政府は2日、南シナ海の西沙諸島で、自国の漁船が中国の法執行機関から襲撃され、負傷者が出たとして、中国側に強く抗議したことを明らかにしました。
ベトナム外務省の発表によりますと、先月29日、中国と領有権を争う南シナ海の西沙諸島の海域で操業していたベトナム漁船が中国の法執行機関の船に襲撃され、負傷者が出たということです。
ベトナムメディアは、漁船に乗っていた10人が負傷し、このうち3人は腕の骨を折るなどの重傷を負ったと報じています。
ベトナム外務省の報道官は、声明で「残忍な行為に断固として反対する」としたうえで、「中国側の行動はベトナムの主権を著しく侵害し、国連海洋法条約にも違反している」と非難しました。
また、ベトナムにある中国大使館に強く抗議するとともに、調査結果の報告と再発防止を求めたとしています。
これについて、中国外務省はベトナム政府の発表は「事実と異なる」とコメントしています。
「中国は西沙諸島とその周辺海域に議論の余地のない主権を有している」としたうえで、「ベトナム漁船は、中国政府の許可なしに違法に操業していたため、中国側の関連部門が法律に基づいて制止した。けが人も出ていない」と主張しました。
そのうえで、「中国としては、ベトナムの抗議を受け入れず、断固拒否する」と強調しています。