世界最高峰の舞台・セリエA(モンツァ)でプレーしていた髙橋藍(23)が今季から日本の新リーグ・SVリーグのサントリーサンバーズに参戦。チームにはバレーを始めた“原点”でもある兄・塁(24)が所属していて、高校生以来7年ぶりにチームメートとなる。
日本代表で共に戦った西田有志(24)らが所属する大阪ブルテオンとの開幕戦(11日)を前に、髙橋兄弟がインタビューに応じ、お互いの意外な一面や日本の新リーグ参戦を決めた理由を明かした。
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Q.お互い小さい頃、どんな選手でしたか。
髙橋藍:塁は身長がでかい方だったんで、基本的にスパイクをやってて。僕はどっちかというと、そこまででかいタイプじゃなかったんで、レシーバーを。中学校までずっとその役割でした。
髙橋塁:(藍は)めっちゃ細かったです。折れるんちゃうかなぐらい。
藍:枝でした(笑)
Q.ケンカは?
藍:ケンカは、バレーボールを始めてからはしてないです。僕が喧嘩する原因を多分作ってたと思うんですけど・・・
塁:自覚はあるんや(笑)
藍:塁は練習が終わって帰って来ても、公園でパス(練習)とか、ずっとバレーボールをしたいっていう人だったんで、「藍、パスしに行こう」みたいな。俺を怒らせたら俺がもうパスしないから、そういうのを(塁が)気遣って。そこからもう、ケンカせんくなったよな。
塁:別に意識してたとかじゃないけど、バレーをやるまではもう毎日のようにじゃれ合いしてました。
藍:じゃれ合いからのガチ喧嘩。じゃれ合いからの殴り合い(笑)
塁:殴り合いはしょっちゅうしてました。でも妹もいて大きくなってきて、3人でパスしたりもしてたんで喧嘩よりもバレー。「そんな時間あったらパスしようぜ」みたいな感じになってましたね。
Q.7年ぶりに一緒のチームになりますが、いかがですか。
藍:一緒にやるんかぁみたいな(笑)そんなに別に意識もしてない。
塁:藍はもう全日本に選ばれてからの活躍で注目度も知名度もすごく上がってて、画面越しで見る機会がすごく多くなって成長したなって思ってたんですけど。一緒に今生活して、バレーの技術はもちろんめちゃめちゃ成長しているんですけど、根本的な性格はちっちゃいときからそんなに変わってないなっていう感じで思ってます。
Q.お互いにここは直した方がいいところとかありますか。
塁:いや、そんなにないですね。性格はちょっと自分と似てる部分はあって。ちっちゃいときから自分の真似というか、自分が強制的に「こうしろああしろ」って指示を出して、それに藍がついて来るみたいな感じだったので。強いて言うなら藍はちょっと面倒くさがりなところがあるので。
藍:かなり。
塁:結構「何でもいいよ」みたいな感じなんで。
藍:適当なんですよね、意外と。
塁:家にいたらもう動かないんで、「これやってあれやって」みたいな。
藍:基本話も聞いてないですね。
塁:それみんなやけどな。俺ら家族は人の話をとにかく聞かないんで(笑)
藍:聞かない。自分が話して満足してる(笑)
Q.結構お兄さんが引っ張る感じですか。
藍:ちっちゃいときはうまく使われてましたね。スーパーに行っても、食べたいお菓子とかがあるじゃないですか。探さずに店員さんに聞くんですよ。自分で聞けばいいのに「おい藍、行ってこい」みたいな。弟をしっかり使ってくるみたいなそんな感じでしたねずっと。
Q.仲良しですね。
塁:そうですね。だからバレーする時も「行くぞ」って言って、断られた記憶はないですね。
藍:まあ嫌々やってるときはありましたけどね。「また!?」みたいな。
Q.藍選手は結構従順?
藍:まあそうですね。やらないとうるさいんでやってたっていうのもあるかもしれないです(笑)
Q.逆にお互いが考える強みとは?
藍:塁はこれって決めたら曲げない。「バレーをやりたい!」って言い始めて、本当にバレーが好きでやり始めてるんで。僕は逆にそれがなかったんで、「何をやりたい?」って言われた時とか「何が食べたい?」とか、そういうのって結構困るんですよね。あんまりなくて、「何でもいい!」っていう感じなので。それがあるっていうのは結構いいなって思ったりはしますね。
塁:自分から見る藍は、すごいポジティブ。自分はわりとプレーが良くなかったりしたら、すごく考えてしまったりとか、ネガティブに考えてしまうことがあるんですけど、藍はどんな状況でもポジティブに切り替えがすごく早いので。寝たら次の日には切り替えてるみたいな感じで、頭の回転はすごくいいなって思います。
Q.お兄さんみたいになりたいなって思ったりします?
塁:絶対ないやろ(笑)
藍:むずっ!意志をほんとに曲げないとか昔からずっとそうで、そういう部分は自分にはないんで。あとやっぱり僕から見てすごく大人な感じがずっとあって、ちっちゃい頃から。親が働いていて、学校が早く終わって家に帰った時も、自分だけとか自分と妹だけだったら結構心配なんですけど、塁がいたらすごい安心感が僕はあったんで。だからお兄ちゃんなんですけど、言い方的に難しいけど僕からしたら結構、親に近い。すごく頼れる存在だったんで、小さい頃。だから優しさというか、本当に面倒見がいいところとかすごいなと思いますね。
塁:嬉しいですね。言葉で聞いたことがない。
7年ぶりにチームメートで「日本一を2人で獲りたい」
7年ぶりにチームメートとなった2人が挑むのは11日に開幕する、今年新設されたSVリーグ。2027年には完全なプロリーグ化、さらに世界一のリーグを目指すビッグプロジェクトだ。外国人枠もこれまでの1人から2人に増えたことで、ポーランド代表(銀メダル)のシリフカらオリンピック™のメダリストを初め、世界各国のスター選手がこのSVリーグに参戦する。
Q.昨年はイタリアの世界最高峰の舞台・セリエA(モンツァ)で主力として準優勝を成し遂げた。イタリアに残る選択肢もあったと思うんですけど、国内のSVリーグを選んだ理由は?
藍:僕の中ではパリオリンピックに懸けて、まず3年、自分が1番成長できる環境を選ぼうっていうのを考えて、イタリアへ渡りました。もちろんイタリアに残る選択肢もありましたし、本当にギリギリまですごい悩んでいて。でも僕の中で重要なのはそこでいかに自分自身がその環境で成長できるかだと思っているので。最終的な決断として違う経験をしたいっていうのが、今僕の中で必要なんじゃないかなっていう思いが、すごく強かった。サントリーさんの熱い想いっていうのもすごい伝わったので、ここならまた違った環境で成長できるなっていうのを感じたので、僕は最終的に日本でやることを決めましたね。
Q.チームメートになるわけですけど、塁さんはどう思いますか。
塁:藍は面倒くさがり屋なんで、適当な部分はあるんですけど、バレーに関しては本当に意識高く国を背負ってすごい考えているなというのは伝わってきてて。藍からもすごい相談を受けていて、自分はサントリーで3年目なんですけど、(サントリーは)国内でもトップレベルのチームで、仲の良さとか他のチームと違うなって感じる部分がある。本当にみんなで1点を取りに行くっていうチームスタイルは藍に合っているかなって思う。1人の選手としてリスペクトしているので、一緒のコートで立てるのが1番ベストなんですけど、サントリーで初代王者を一緒に目指して、日本一を2人でぜひ獲りたいなという気持ちでいっぱいです。
Q.相乗効果も生まれると思うんですけど。
藍:お互いが刺激をし合える存在だと思いますし、もちろん塁も塁の良さ、僕も僕の良さがあると思うので、自分が経験してきたことであったり、塁が日本で経験したこととかお互い刺激し合える部分は多いんじゃないかなと思いますね。
Q.海外から選手が集まることに関してはどう思いますか。
藍:まずはリーグとしてのレベルが上がっていくのかなっていう部分と、簡単に日本の選手が出られなくなるっていうのは、日本人の選手にとってもすごくいい刺激。簡単に出られない分、海外のトップ選手に勝っていかないといけないという思いでやらないといけないので、日本の選手にとっても非常に成長できるチャンス。そのトップ選手がチーム内に増えるっていう部分では、チームとしても選手としても成長できていく部分がSVリーグにはあると思うので、僕は非常にこのリーグがどのようになっていくのかというのは楽しみだなって思いますね。
塁:SVリーグになったら1つの節目だと思っていて、SVリーグという新たなリーグに挑戦することによって、バレーボール界全体がすごい変わっていくかなって思ってる。オリンピックで注目度が去年よりもさらに上がったと思うので、そこからSVリーグにどんどんどんどん盛り上がりを落とすことなく繋げていくのが自分たちの使命でもある。兄弟で一緒にやるので、バレー界全体をプレー以外の部分でも盛り上げられるように頑張っていきたいなって思っています。
Q.盛り上げていかなきゃいけないというところで、藍選手はよく「バレーボールを夢のあるスポーツにしたい」とおっしゃっている。改めて日本のSVリーグが世界のリーグに挑戦するということについて。
藍:日本のバレーボールが今、オリンピックとか色々と活動している中で広まってきてると思うんですけど。次はSVリーグの面白さっていうのを色々な人に知らせていく中で観に来てくれる人、自分たちを応援してくれる方がさらに増えるっていうのが僕たちもそうですし、リーグ自体も成長していける部分だと思う。まずは僕たちがしっかりと面白いバレーボール、強いバレーボールっていうのをしっかりとお客さんに証明していくっていうのが、トップリーグ、世界最高峰のリーグに近づいていくための必要な要素だなと思いますね。
塁:もちろん結果も大事だと思うんですけど、楽しんでやるっていうのが、藍も試合前によく言ったりしますけど、そこの考えは一緒で。自分たちの楽しいバレーを見てもらって、「あ、バレーボール面白いな」って思ってもらえることが1番で、そこに結果がついてくることが大事だと思う。まずはしっかりとバレーボールを楽しんでいる姿をたくさんの方に見ていただけたらなと思っています。