焼いたり、茹でたり…。調理で火を使うとどうしても二酸化炭素が出てしまいますが、これを少しでも減らそうという取り組みが広がっています。
水素で焼く“焼き料理”でCO2削減
ジューシーに焼かれた国産鶏に、旨みたっぷりの汁があふれ出す本しめじ。様々な“焼き料理”が味わえるこちらのレストランでは“世界初”の試みが…
記者
「実はこちらガスではなくて、なんと水素で焼いているんです」
調理の際に使われるコンロ。この燃料が“次世代のエネルギー”として期待されている「水素」なんです。
水素を燃やすと、空気中の酸素と結びついて水になります。発生するのは水蒸気だけで、温暖化の一因となるCO2=二酸化炭素を出しません。
世界で排出される温室効果ガスの3分の1が「食」に関係し、飲食店で使われるガスや電気は厨房だけで全体の半分を超えるという調査もあります。
調理中のCO2削減は、温暖化対策の有効な手段となるのです。
調理された鶏を食べてみると…
記者
「しっかり焼けているのにふっくらしっとり。新感覚で、味のうまみが生きますね」
水素調理は環境面の利点だけではなく、食材を蒸し焼き状態にして水分や旨みを閉じ込めるという特徴も。
客の反応は上々です。
客
「みずみずしさ、ジューシーさが違うなと思いましたね」
「危ない燃料かなというイメージを持っていたのですが、水素に対する期待感が上がりました」
ガスのおよそ2.5倍高いという水素のコストが課題ですが、運営会社の社長は…
H2&DX社会研究所 福田峰之社長
「ここは水素を理解するためのショーケース。CO2が出ないでおいしい。価格が下がったらみんな変わるんじゃないかな」
“早ゆでパスタ”で調理にもエコを
一方、都内のイタリア料理店。自家製トマトソースに、揚げナスやチーズを合わせたパスタなどが人気です。
3年前から導入しているのが、“早ゆでパスタ”です。
断面に切り込みが入っていて、通常7分程度かかる“ゆで時間”が、3分と半分以下に短縮されています。
店では、“早ゆでパスタ”を使うことでガス代がおよそ2割減ったほか、客の回転数が上がって売り上げも1割程度増えたといいます。
TRATTORIA en 橋本文男オーナーシェフ
「CO2の削減だったりとかその辺にもつながっているのかなと。(環境対策を)やろうという意識じゃなくて、やっていたらエコになったというところは切り替えた良い点だと思います」
この日本の技術は世界でも…
記者
「こちらパリで開かれている食品の見本市に来ています。世界中からバイヤーが集まっているんですが、早ゆでパスタが注目を集めています」
130か国以上の食品業者などが参加した“世界最大”の見本市。日本で「早ゆでスパゲティ」を展開するメーカーが出展しました。
外国の来場者たちの反応は…
フランスから来た女性
「普通のパスタと味は変わらないのに、調理に時間がかからないのは本当に利点ですよね」
チュニジアから来た男性
「すごくおいしい。だけど一番驚いたのは調理時間です。環境に配慮された製品はとても興味深いです」
日清製粉ウェルナ 十河佑樹さん
「おいしいというのは当たり前で、いかに環境に配慮しつつ、消費者の皆様に価値のある商品を提供していくかというところを、今後も引き続き考えて取り組んでいきたい」
生活に欠かせない“調理”でもCO2削減へ。さまざまな取り組みが始まっています。
「良さを失わないまま、環境にやさしい」
小川彩佳キャスター:
ひたすらおいしそうな映像でしたけれども、トラウデンさんいかがでしたか。
トラウデン直美:
良さを失わないままで、CO2を減らせる、環境にやさしいものはすごく良いなと思います。
パスタはすごく日本らしいというか、すごく工夫が凝らされていて、便利になっている。しかも、CO2も減らせて良いことづくめだなと思います。
水素に関しても、最近よく街中でも水素で動くバスを見かけるようになったので、少しずつ水素が社会になじんでいっているのかなという印象を受けました。
小川キャスター:
生活の中に自然に水素が入ってきているような感覚がありますよね。
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<プロフィール>
トラウデン 直美さん
環境問題やSDGsについて積極的に発信
趣味は乗馬・園芸・旅行