電気料金の補助1~2円上乗せへ ナフサの供給不安…高市総理「目詰まり発生」【news23】
中東情勢が見通せない中、夏の電気・ガス料金の支援策をめぐり、政府が検討している補助金の内容が明らかになりました。
【写真を見る】高市総理「石油製品は年を越えて供給継続は可能」
原油価格高騰で「みかん用コンテナ」盗難か
熊本県玉東町の山間地にある資材置き場で、みかんの収穫や運搬に使う農業用のプラスチック製のコンテナ600個以上が盗まれました。青果卸売会社によると、気付いたのは5月15日。さらにその5日後にも、盗まれていたということです。
コンテナの販売業者によると、高騰する原油価格の影響で、製造元から入手できないコンテナもあるということで、警察は、売却目的で盗んだ可能性もあるとみて捜査しています。
中東情勢の影響は、長年親しまれてきた商品にも及んでいます。
森永製菓の「ハイソフトミルク」と「塩キャラメル」の販売が休止となりました。
「ハイソフトミルク」は1969年から50年以上にわたって愛されているロングセラー商品です。森永製菓は要因について、「中東情勢の緊迫化で、一部原材料の調達が難しくなった」と説明しています。
現時点で、ほかに販売休止となった商品はないということですが、「日々状況が変化しているので、今後の可能性は排除できない」としています。
「供給継続は可能だが、物資の目詰まりが発生している」
中東情勢の悪化で供給不安となっている、原油由来の「ナフサ」。
石油化学工業協会は、ナフサを原料とする「エチレン」の生産設備の稼働率が、4月は67.3%だったと発表。記録が残る1996年以降、前月に続き2か月連続で過去最低を更新しました。
エチレンは、洗剤や塗料、医薬品など様々な製品の原材料となる化学物質です。
石油化学工業協会 工藤幸四郎会長
「ナフサの調達、あるいは石油の調達等々が、これから見通せない部分がるので、そこはよく注視していく必要があるんだろうと思う」
悪化する中東情勢への対応を話し合う政府の閣僚会議で、高市総理は「小規模事業者から切実な声が多数ある」と述べ、流通の実態把握や供給の偏りの解消を引き続き指示しました。
高市総理
「原油やナフサ由来の化学製品を含む石油製品は、年を超えて供給継続は可能だが、流通過程において、物資の目詰まりが発生している」
また、夏の電気・ガス料金の支援策をめぐり、政府が検討している補助金の内容が明らかになりました。
高市総理は5月18日、中東情勢の長期化に備え、電気・ガス料金を7月~9月の3か月間、2025年夏の料金水準を下回るよう、支援策のとりまとめを与党幹部に指示しています。
このうち電気料金は2025年は、1kWhあたり7月と9月に2円、8月に2.4円を補助。2026年は、これに1円~2円ほど上乗せする案を検討していることが関係者への取材でわかりました。
財源は、今年度予算の予備費から5000億円程度をあて、補正予算案はあわせて3兆円程度とする方向で、調整が進められています。
補助金支援“出口戦略”は?
小川彩佳キャスター:
電気・ガス料金の支援は2025年の7月~9月にも実施しています。この時は本予算の予備費から2881億円を支出しており、国のモデルケースによりますと、標準的な家庭で3か月で3000円程度を補助したということになります。
2026年は2025年よりも増額し、5000億円程度を支出する方向で調整しているということです。補助金で対策する物価高対策をどのようにご覧になりますか。
教育経済学者 中室牧子さん:
短期的には、家計の負担を和らげる効果があると期待されますが、中東情勢はこの後長期化する可能性もあり、こうした補助金を仮に7~9月を超えて長く続けていくということになると、やはり、非常に財政負担が大きくなるのではないかということが懸念されます。
もう一つ気になるのは、この補助金は1kWh当たり2円、3円値引きする、という仕組みなので、使用量が大きい世帯ほど補助額が大きくなるという仕組みになっているわけです。
そうすると、所得が高い層ほど恩恵が大きい傾向があるので、本当に電気・ガス料金の値上がりによって苦しんでいる家計を救済することになるのかという問題もあります。やはり、今後は本当に支援が必要な世帯に絞った支援が何なのか、ということを考えていく必要もあると思います。
小川キャスター:
行き詰まることのない支援の形というのを見つけていかなければならない一方で、政府は20日、この夏の節電要請を行わないことを決定しました。日本全体では電力の安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しだということですが、節電要請をなぜしないのか、どう読み解きますか。
中室牧子さん:
これは実は日本に限ったことではありませんが、原油の価格の上昇やエネルギー価格の上昇というのは、家計を直撃します。そのことが実は与党や、その政権の支持率と非常に強い相関があるということを示した研究は少なくありません。
そうすると政権としては、価格を下げる政策というのをなるべく長く続けたいというインセンティブがあるのではないかと思います。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
日本成長戦略会議WGの委員