「荷物が受け取れない」マンション宅配ボックスの“空ロック”を追跡、配送業者の認識は?【Nスタ解説】
多くのマンションに設置され、生活に欠かせない設備となっている「宅配ボックス」。今、ここで“ある迷惑行為”により、なかなか「荷物の受け渡しができない」というトラブルが相次いでいます。一体、現場で何が起きているのか。
迷惑!宅配ボックスの“空ロック”
高柳光希キャスター:
マンションに設置されている宅配ボックス。ある迷惑行為によって、荷物の受け渡しができないことがあるそうです。
それが、“空ロック”。つまり、「宅配ボックスが空のままの状態で施錠されている」というのです。なぜこのようなことが起きているのでしょうか。
TBS報道局社会部 警視庁担当 松田岳記者:
あるマンションのオーナーによると、空ロックが発生しているため、防犯カメラを確認すると、そこに映っていたのは、ロックをかけている配達員の姿だったということです。
なかには、なんと2か月間も使えない状態の宅配ボックスもあったというのです。
オーナーは、「配送業者の労働環境の改善などを背景に設置したものが、このような迷惑行為を受けている」と、非常に憤りを感じていました。
タレント・プロゴルファー 東尾理子さん:
いたずらなのかな?と思いましたが、そうではないんですね。
高柳キャスター:
“空ロック”として狙われているのが、テンキーで暗証番号を設定するタイプの宅配ボックスです。
配達員が荷物を入れたあと、扉についているテンキーで暗証番号を設定するのですが、同時に、荷物を入れていないボックスに対しても暗証番号を設定し、空ボックスを作っているというのです。
なぜ、配達員はこのような迷惑行為を行っているのでしょうか。
なぜ“空ボックス”を作るの?
エントランスに設置された7つの宅配ボックス。千葉県浦安市のあるマンションでは、この10年ほど空のまま施錠される“空ロック”に悩まされてきました。
マンションのオーナー
「宅配ボックスが全部埋まっていて、(入居者が)回収しないみたいだから、開けてもらえるようにお願いできますかっていうことは何回かある。そのうちの1個くらいは空ロックだった」
こちらのマンションの宅配ボックスは、荷物を入れた後に暗証番号を入力し、施錠する仕組みです。
2025年9月の防犯カメラの映像を確認すると、1人の配達員が、宅配ボックスを2つ開け、うち一方に荷物を入れています。しかし、もう一つのボックスには何も入れずに暗証番号を入力し、空の状態でロックをかけました。オーナーが中を確認すると…
マンションのオーナー
「実際に解除キーでボックスを開けてみますと、中身が何も入っていなくて、空っぽという形でロックされている」
「入居者としては、随時、荷物を受け取りたいのに、宅配ボックスが埋まっているがために再配達の手続きをしなくちゃいけない」
便利なはずの宅配ボックスが、空ロックにより、かえって再配達の原因になっているといいます。
このマンションでは、居住する24世帯に対して、宅配ボックスは7個。オーナーは張り紙をして注意を呼びかけましたが、多いときには、同時に3つが空ロックの状態に。
マンションのオーナー
「(2025年7月)は3個ですね。3番と5番と6番の宅配ボックスが空ロックになっていました。その前は、確か6番と7番だったかな。2つが空ロックになっていた」
宅配ボックスの“空ロック” 配達員を直撃すると…
宅配ボックスを空のまま施錠する、空ロック。2025年10月、防犯カメラの人物と同じ制服で、特徴の似た配達員に声をかけると…
──空のままロックされたことがあるんじゃないかなと?
配達員
「あっ、ほんとですか。僕そういうの一切やっていないんですけど」
──どうして(空のまま施錠したのか)というところを…
配達員
「申し訳ないんですけど、ちょっと急いでいいですかね?」
空ロックを否定し、車でその場をあとにしました。
配達現場で何が起きてる?
千葉県の別の配送業者は、配達員に空ロックをしないように言い聞かせているといいます。
ただ、空ロックが疑われるケースは、今回のマンションに限らないとした上で、こう推測します。
エアフォルク 平田祐三さん
「僕たちみたいな、現場で軽トラックを使って配達しているドライバーさんというのは、大半の方は1個いくらという形でお仕事をしてますので、1回で配達が済めば効率も上がっていきますし、二度手間、三度手間という部分もなくなってくる」
「(配達員が)ボックスを押さえていれば、そこで1個荷物が配達完了するというところで、空ロックが起きてしまっているのかなと思います」
再配達回避に宅配ボックスをキープか
高柳キャスター:
再配達をなるべく少なくするための宅配ボックスなのにも関わらず、空ロックが横行してしまうと、より再配達が増えて、困難な事態が続いてしまっている状況です。
井上貴博キャスター:
配達員が忙殺されているので、抜け道で空ロックという手法を見つけたのでしょう。解決策としては、空ロックをできないシステムにするしかないと思います。
タレント・プロゴルファー 東尾理子さん:
住民からすればすぐ荷物が欲しいわけですから、再配達をしなくてもいいように時間帯を指定するなど、何か解決策を考えなければいけませんね。
高柳キャスター:
経産省のデータによると、コロナ禍以降、配達の需要は年々高まっています。背景にはドライバー不足や、配達する物の数の増加があると考えられています。
そんな状況の中、配達員は再配達の手間を避けるため、あらかじめ宅配ボックスをキープしようと、空ロックをかけるのです。
例えば、荷物を届けた際に、何も荷物が入っていない宅配ボックスにも暗証番号を入力して、後日、別の荷物を配達しに来たときに、そのボックスを自分が知っている暗証番号で開けてそこに荷物を入れる。そしてまた別のボックスに空ロックをかけるという状況を繰り返し、常にボックスをキープするのです。
TBS報道局社会部 警視庁担当 松田岳記者:
取材当日に、マンションのオーナーが営業所に対し、配達員への確認を求めたところ、「(空ロックは)間違いなくしていない」と断固として否定しました。
それを受けて、もう一度防犯カメラの映像を送って、確認を求めたところ、(配達員は空ロックを)認めました。
その後、(配達の)営業所の責任者から、オーナーに対して「今後は一切このようなことがないように指導していきます」という謝罪があったということです。
高柳キャスター:
個人で考えてやっていることなのか、組織としてこれを黙認してしまっているのかで、大きくこの業界の体質が変わってくると思います。配送業者はこれを認識しているのでしょうか。
TBS報道局社会部 警視庁担当 松田岳記者:
大手の配送業者に確認をしたところ、空ロックを噂として認識している会社は確かにありました。ただ具体的な対策には至っていないのが実情です。
あくまで企業が空ロックをしても良いと黙認するような流れは無いというところは全て一致しています。
高柳キャスター:
個人やマンションで対策できることはあるのでしょうか。
TBS報道局社会部 警視庁担当 松田岳記者:
注意喚起を促す張り紙をしたり、配達員側で暗証番号を設定できないものにするといったことが考えられますが、費用がかかってしまうため、具体的な対策はまだとられていない状況です。
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<プロフィール>
松田岳
TBS報道局 社会部 警視庁担当
特殊詐欺事件などを取材