水泳の授業が変化!「プールシェア」猛暑避け、先生の負担軽減にも?プール“共同利用”の課題とは【Nスタ解説】
夏になると小中学校で実施される「プール」の授業。
【写真で見る】汗だくになって「プール」の清掃・水質確認をする教員
今、一部の地域では、複数の学校で一つの屋内プールを共同で利用する「プールシェア」を導入するところが増えています。背景には何があるのでしょうか?
一つの「屋内プール」を複数校でシェア 老朽化や猛暑が拡大の背景に
高柳光希キャスター:
小中学校では「プールシェア」という仕組みの導入により、プールの授業環境が変わりつつあるようです。
「プールシェア」とは、1つの屋内プール施設を複数の学校などで共同利用する仕組みのことです。
スイミングスクールやジムのプールなど、民間や区営の「屋内プール」を利用することで、天候に左右されることなく、授業などを行うことができるということです。
導入の背景には、3つの大きな理由があります。
(1)プール施設の老朽化
●大田区の大半のプールが築40年以上、古いものだと築60年経過しているところも
→建て替えには、数億円と多額の費用がかかる
(2)猛暑でプール授業が危険
●授業が中止になるほどの暑さになることも
(3)教員の負担
●維持管理の大変さ、水泳指導の難しさ
教員の負担軽減にも 大田区が進める「プールシェア」民間・区営など様々
TBS報道局社会部 都庁担当 金美京 記者:
取材した東京・大田区の場合、「水温+日陰の気温=65℃」を超える場合には、水泳の授業を中止にするとしています。
そのため、教員は朝早くから
●水温・気温チェック
●掃除
●塩素濃度チェック
などの作業をしなければなりません。
作業に15~30分程度かかるため、人によっては朝7時には学校に来るという先生もいました。
高柳キャスター:
こうした中、2026年度から大田区では、区立の小中学校で「プールシェア」の整備を始めました。
現在、88ある小中学校でのプールシェアの計画にも以下のように様々なモデルがあります。
●43校:拠点校に屋内プールを作り、1キロ圏内の学校が複数校で利用
●13校:民間プールの利用
●2校:区営プールの利用
●18校:比較的プールが新しい学校(築15年程)の利用
→既存のプールに日よけ対策などをして実施
●12校:施設が遠いなどで検討中
「プールシェア」のメリット 天候・コストほかには?
高柳キャスター:
費用の面でもメリットがあります。
大田区の計画で、施設を80年間利用すると仮定した場合、1校あたりのコストに大きな差が出ます。
▼従来型では17.1億円(維持・管理費など)
▼プールシェアでは6.5億円(拠点校の施設建設、インストラクター費、施設利用料など)
このコスト面以外にもメリットはあるのでしょうか。
金美京 記者:
いろいろなメリットがあると聞いていますが、大きく2つメリットをあげてみます。
1つは、屋内プールを利用することで、天候の影響を受ける可能性が低く、カリキュラムをスムーズに進められると期待されます。
2つ目は、指導補助導入という点です。
専門のインストラクターによる指導が導入されることで、子どもたちのレベルに合わせた適切な指導が受けられるようになります。
全国で拡大する「プールシェア」 プール解体後に学童整備の計画も
高柳キャスター:
「プールシェア」の動きは全国でも広がりつつあります。
教育委員会によると、▼石川県小松市では2026年度、小学校9校が民間のプールを活用しています。
▼福岡県太宰府市では2025年度から、市内の小学校7校すべてが民間のプールを活用しています。さらに、屋外プールを解体し、学童保育所を整備する予定だということです。
▼東京都葛飾区でも、2026年度は小学校28校がプールシェアをしていて、区営のプールの新設案も出ているといいます。
しかし、プールシェアにはまだ課題もあるようです。
時間調整・施設への移動など検討すべき課題も 今後の行方は
金美京 記者:
やはり一つの屋内プールをシェアして使っているため、利用する学校同士の時間調整が一番大きい問題として挙げられます。
また、猛暑の中で学校の外に出て、屋内プールまで移動する必要があるため、子どもたちの熱中症対策であったり、道路の危険性であったりといった課題があります。
そのため、バス導入などの検討が必要だと思います。
井上貴博キャスター:
水泳の授業は泳ぐことではなく、水難事故から身を守れるようにすることが目的だと思います。
水泳の授業をどう守っていくのか、知恵の絞りどころかもしれません。
信州大学特任教授 山口真由さん:
全校に新設する・しないではなく、平等教育が少し変わってきています。
拠点校を作って、そこへのアクセスを確保する。拠点校以外はある程度、移動コストを払うという不平等があっても、一歩を踏み出そうというのは新しい視点だと思います。
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<プロフィール>
金美京
TBS報道局社会部 都庁担当 韓国出身
水泳の授業がなく学校のプールは取材で初
山口真由
信州大学特任教授 ZEN大学教授
財務省、弁護士を経て現在は「家族法」研究が専門