被害の55%が「想定区域外」で発生…千葉豪雨が明かす「都市型水害」の脅威、問われる「内水氾濫」対策【Nスタ解説】
千葉県を襲った豪雨から20日で1週間です。なぜ、冠水や浸水などの被害が相次いで発生したのか。専門家と現場を取材しました。
【写真を見る】千葉駅周辺も冠水 水が流れ込む「すり鉢地形」とは
“浸水想定区域外”でも浸水相次ぐワケ
井上貴博キャスター:
今回、千葉県を襲った記録的な豪雨。
「千葉市 風水害ハザードマップ 洪水(浸水深・想定最大規模)」を見ると、大雨により洪水が発生した場合に浸水するおそれのあるエリアとして、海や川付近の地域が示されています。
実際に、今回の豪雨で海に近い千葉駅や蘇我駅の周辺一帯が冠水しました。
一方、排水能力を超える大雨時、行き場を失った雨水があふれる現象「内水氾濫」。そのハザードマップを見ると、内陸の広い地域で浸水のリスクが示されています。
しかし、今回の豪雨では、ハザードマップで示される浸水想定区域外でも被害が相次ぎました。
千葉市にある山王病院は、敷地の半分のエリアに浸水リスクがあると示されていましたが、地下浸水の被害に遭いました。
同じく千葉市にある、千葉大学医学部附属病院は、ハザードマップ上では「浸水想定区域外」でしたが、地下浸水の被害に遭いました。
ハザードマップだけでは判断できないリスクがあることがわかります。
高柳光希キャスター:
子どもやお年寄りは15センチ程度の水かさがあるだけで溺れてしまうリスクがあります。下り坂や水が流れている場所は、よりそのリスクが高まります。
リバーフロント研究所の土屋信行審議役は、「その場所から逃げるのではなく、なるべく近い建物の高い場所にまずは一度身を寄せて、水が引くのを待ってほしい」といいます。
ハザードマップ「ピンポイントではなく、市区町村単位で確認を」
井上キャスター:
千葉県によると、千葉市の内水ハザードマップは、“1000年に1度 起こりうる大雨”、具体的には最大1時間雨量153ミリを想定しているということです。
今回、千葉県を襲った豪雨は、最大1時間雨量が115ミリと、ハザードマップの想定より少ないものの、約6時間も降り続きました。
リバーフロント研究所の土屋信行審議役によると「ハザードマップは一般的に5年に1度見直しをされる。自分が住んでいるエリア、ピンポイントではなく、市区町村単位で確認を」ということです。
慶應義塾大学教授 教育経済学者 中室牧子さん:
私もハザードマップは見ているのですが、マップ上でマークされていない場所でも安全を保証するものではないという認識を持っていなかったことを反省しました。
「ウェザーニュース」によると、寄せられた被害を示すレポートの55.7%が浸水想定区域外から来ていたといいます。
今回の千葉の豪雨は、典型的な都市型の水害だと感じます。
「内水氾濫」のハザードマップはまだ公開している自治体が少ないようです。都市部では公開していただけるようお願いしたいですね。
井上キャスター:
2025年7月から運用開始した、千葉市・中央区の「宮崎雨水貯留槽」は、1時間雨量65.1ミリまで対応できるということですが、千葉市建設局の担当者によると「上部まで草木がついている。水が満杯になった」といいます。
合計3つの施設があり、25mプール54杯分の貯水が可能ですが、すべて満水になったということです。
“内水氾濫” 危険性の公表は2割以下
井上キャスター:
国交省は、水害が全国各地で激甚化・頻発化したことをうけ、2021年に水防法を改正。下水事業を担う市区町村に「内水ハザードマップ」の作成を義務づけました。
しかし、内水ハザードマップを公表している市区町村は2割に満たない状況です。
【内水ハザードマップの公表状況】
・公表済み:約17%(186市区町村)
・未公表:約83%(935市区町村)
(対象 全国1121市区町村 / 2025年3月末時点)
自宅や周囲の災害リスクを確認「重ねるハザードマップ」
井上キャスター:
国土交通省では、災害リスク情報や防災に役立つ情報を、全国どこでも重ねて閲覧できるWeb地図サイト「重ねるハザードマップ」を公開しています。
住所を入力するだけで、内水氾濫や河川氾濫などのリスクを検索することができます。
ただ、市区町村の最新データに追いついていない可能性もありますので、注意をしてください。
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<プロフィール>
中室牧子さん
慶應義塾大学教授 教育経済学者
教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」