【韓国の性売買規制】「1日で20人相手に…」韓国の“性売買地帯”は20年で一変 「売る側」は被害者…韓国の保護・自立支援の現状は【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-08-25 14:25

性売買への規制は、各国で異なります。現行では日本は「売る側」のみですが、お隣・韓国では「売る側」「買う側」の双方を処罰しています。20年以上前から国を挙げて性売買の根絶に乗り出した韓国。その取り組みから日本の課題を考えます。

【画像を見る】韓国最大級の性売買地帯「ミアリテキサス」

「休むことは許されなかった」逃げ場なく10年以上性売買の世界に…

かつて、“性産業大国”とも呼ばれた韓国。

一時、市場規模は日本円で4兆円を超えましたが、暴力や暴言が同居する世界だったといいます。

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「客に顔を叩かれたり、唾を吐かれたりしたこともありました。『俺が金を払ってお前を買ったんだから言う通りにしろ』と言われました」

パクさんは、父親の厳しいしつけと母親の暴力に悩み、家出。

20代の時、カフェで“求人”を見つけた時は「キャバクラの仕事だと思った」といいます。しかし…

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「性接待をして、歌を歌って、客がしてほしいことを全部します」
「1日10人〜20人以上、客の相手をしていたと思う。休むことは許されず、身体が痛くてもずっと性接待をしなければならない」
「『(他に)行く当てもないしどうしよう』と思い、その仕事をやることになった」

パクさんは、“店から逃げても帰るところが無い”、“他にできる仕事も無い”と考え、性売買の世界から10年以上抜け出せませんでした。

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「夜働いているとお酒も飲むし、よく眠れません。だから、この世界の女の子は、睡眠薬を当たり前のように飲んでいて、私も一時、睡眠薬中毒に陥っていました」

韓国最大級の性売買地帯は20年で一変 “性売買を放置してはいけない”認識が広がる  

かつて、韓国最大級の性売買地帯と言われた、「ミアリテキサス」。

ピーク時の2000年代には、約3000人の女性が働いていたとされています。

女性人権センター「ボダ」 イ・ハヨン 代表
「ここに入ってくると、女性たちは監禁と監視のため逃げられず、性売買を強要されました。女性たちは1坪、2坪という、とても狭い空間で売春をしていた」

ソウルで性産業にいる女性たちを支援する相談所「ボダ」のイ・ハヨン代表。

当時、女性たちはきわめて危険な建物の中で働かされていたといいます。

女性人権センター「ボダ」 イ・ハヨン 代表
「ここの建物は50年代~60年代に建てられ、すべて無許可の違法な建築物でした。その後も改修や補修が全く行われていなかったんです。しかし、営業がうまくいっていたので、地下を掘ったり2階・3階の建物を無許可で高くしたりしていました。建物自体が非常に不安定だった」

一時は、約300店舗がひしめきあっていた性売買地帯「ミアリテキサス」。

その場所は今、ほとんどが更地となっています。

韓国では2000年代はじめ、風俗街で立て続けに火災が発生しました。しかし、炎が迫っても女性たちはトビラが施錠され、窓には鉄格子がはめられていたため、部屋から逃げられませんでした。

命を落とした女性らはあわせて19人に上り、性売買を放置してはいけないという認識が社会に広がりました。

売る側は「被害者」支援に年間30億円 職業訓練や就職活動など手厚いサポート

「性売買を放置することは国家の犯罪だ」という世論の高まりを受け、韓国政府は2004年に「性売買防止・被害者保護法」を制定。

売春する側を「被害者」と位置づけ、生活費の給付に加え、職業訓練や就職活動などもサポートしています。

職員
「さあ、きょうの授業はこれ。この文章をタイピングしましょう」

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「どうやってやるの?」
職員
「これはコントロール+F10じゃなく、これを押せばOK」

性売買の世界でしか働いたことがなかったパクさんは、今、支援施設でパソコンのスキルなどを学んでいて、ワードやエクセル、電子メールの送信などができるようになりました。

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「性売買で働いた経験しかないので、履歴書に書く経歴が無く、面接でも答えることができないので、不採用ばかりでした。私にはこういう支援が必要で、とても助かっています」

被害者の保護と自立支援に向け、大きく舵を切った韓国。全国に90か所以上ある支援施設で毎年5000人以上が支援を受け、約1000人が社会へ踏み出しています。

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「たまにまだ連絡が来るんです」
職員
「どこから連絡が来るの?」

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「昔のお客さんから。『元気にしてるか、会いたい』って」
職員
「あー嫌だ、嫌だ」

これまで人を信じることができなかったというパクさん。

今は、支援者とのかかわりや職業訓練を通じ、再出発への自信を深めています。

性売買をしていた パクさん(仮名30代)
「(性売買の世界にいた)女性たちの雇用は、誰が保障するのでしょうか。その女性たちは、食べるものも無くなるから、また同じように(性売買の)仕事を探すはずです。だからそうした女性たちへの支援は、必ず必要だと思います」

被害者支援などのために韓国政府が投じる予算(2026年)は、日本円にして年間約30億円。

多額の税金を費やすことに反対の声も上がっていますが、“被害者の人権保護や不法に巨大化した性産業の解体など、社会全体の利益に繋がる”として支援が進められています。

日本でも「買う側」にも罰則へ「売春防止法」見直しが進む

上村彩子キャスター:
日本では24日、法務省の有識者検討会で、売春防止法の見直しに向けた報告書案が示されました。

今の法律は、1956年に制定され、罰則が始まったのは1958年です。

しかし、女性が大半を占める「売る側」には、勧誘などの行為に罰則がある一方、男性が大半を占める「買う側」に罰則がありませんでした。

その中で、これまで罰則のなかった「買う側」についても、「売る側」と同じく、罰則を設ける方向で一致したということです。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
日本では、「売る側」がビジネスとして売春を行っているのだから、「売る側」を取り締まるという考えが古くから続いています。「買う側」も処罰するのは当然で、むしろ時間がかかったとも言えます。

藤森祥平キャスター:
いまの法律では、売春行為そのものには「売る側」「買う側」に罰則はありません。この見直しについて、法務省の検討会では「売春が地下に潜って、見えにくくなる」「売春をする人の中には、支援などの対象とすべき人もいる」といった慎重な意見が出ています。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
規制に加え、生活の苦しさや暴力団に強要されているなど、「売る側」が置かれている境遇にも目を向ける必要があります。規制とあわせて、生活や自立への支援も民間の団体に頼るだけではなく、国や自治体が公的に支援していくことが大事だと思います。

========
<プロフィール>

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身

記事全文を読む
  1. 台風18号 火曜日の夜から水曜日の朝にかけて奄美や沖縄本島にかなり接近 一部の家が倒壊するほどの猛烈な風が吹く見込み 九州は酷暑日予想も【台風情報】
  2. 【韓国の性売買規制】「1日で20人相手に…」韓国の“性売買地帯”は20年で一変 「売る側」は被害者…韓国の保護・自立支援の現状は【news23】
  3. 福島県内で保管中の「除染土」 さいたま市・仙台市の政府出先機関で再利用へ 東京以外での再利用は初
  4. 4年前に廃止の“緊急速報メール” 「気象庁などと連携をして情報発信のあり方を検討していく」赤間防災担当大臣
  5. 「ICCへの検事派遣などを今後も続ける」と平口洋法務大臣 トランプ政権によるICC赤根所長への制裁受け
  6. 混乱の福岡県議会 蔵内勇夫議長「きょう議員を辞職する」東京で取材に応じる 辞職理由は述べず
  7. パキスタン軍トップがイラン訪問 米イランの覚書“復活”を打診 イラン「約束を守るべきは米国だ」
  8. 羽田第1ターミナル「北側サテライト」公開 木を使った内装デザイン、自動運転の移動手段も 保安検査場から徒歩15分… 荷物預けは30分前に厳格化
  9. 大橋信と小島夢貴が200m平泳ぎで揃って決勝進出 “ロス世代”のアジア大会代表が直接対決へ【ジュニアオリンピックカップ】
  10. 【 10万人に1人の難病・間瀬翔太 】新たな障がい『聴覚、言語、機能障害』診断書を公表「同じ障害や悩みを持つ人達のヒーローでありたい」【 脳動静脈奇形 】
  1. 【イオンモール爆発】「保身と動揺により事実と異なる報告」従業員2人死亡のテナント運営会社「ハビタ」が遺族に改めて謝罪
  2. 【売春防止法改正議論】「オジの方が捕まってほしい」現行の「売る側」のみ罰則に批判…法務省が「買う側」の勧誘にも罰則を設ける報告書案【news23】
  3. 【速報】「間違いありません」東京五輪の競泳銀メダリストの本多灯被告が初公判で起訴内容認める 危険運転傷害の罪で起訴 東京地裁立川支部
  4. 【速報】「中野ブロードウェイ」の時計店で窃盗事件 男2人組がハンマーでショーケースを割り腕時計4本(2億円相当)を盗み逃走中 犯行時間は10秒程度か 警視庁
  5. 相模原市で男子高校生(17)死亡…頭部には外傷も 現場近くの防犯カメラには“バイクの後ろを追うように走る車” 事件に巻き込まれたか【news23】
  6. 【 10万人に1人の難病・間瀬翔太 】新たな障がい『聴覚、言語、機能障害』診断書を公表「同じ障害や悩みを持つ人達のヒーローでありたい」【 脳動静脈奇形 】
  7. 【韓国の性売買規制】「1日で20人相手に…」韓国の“性売買地帯”は20年で一変 「売る側」は被害者…韓国の保護・自立支援の現状は【news23】
  8. 「車が燃えている」 全焼した車の近くで男性の遺体を発見  埼玉・行田市
  9. 無施錠の車狙い少なくとも16件窃盗か 52歳男を逮捕 「家を売って得た金がなくなった」との趣旨の供述 あわせて120万円相当の被害 警視庁
  10. 新宿カフェ「ベルク」なども楽天市場から撤退へ「『反戦』の思いと相容れない」 楽天G・軍事用ドローン導入の報道を受け
  11. 新潟・阿賀野市の祭りで男子高校生が死亡 灯籠と柱の間に挟まれる ほかにも男性2人搬送
  12. 羽田空港沖で船が護岸に衝突、乗っていた10人全員が重軽傷 個人所有の船で花火大会へ向かう途中“かなりの速度”で操縦か 海上保安庁が実況見分