「こどもNISA」2027年開始 12歳から引き出しOK・親世代も囲い込み?政府と金融機関の狙い【Nスタ解説】
2027年1月から始まる「こどもNISA」。今月から口座開設の事前受付がスタートし、お金を学ぶ企画が開かれるなど関心が高まっています。一体どんな制度で、どのような狙いがあるのか、詳しく解説します。
対象年齢は0〜17歳「こどもNISA」2027年1月から開始
高柳光希キャスター:
2027年1月から始まる「こどもNISA」について見ていきます。
NISA(少額投資非課税制度)は、非課税で行うことができるというのがポイントです。
普通の株式投資や投資信託は20%程度の税金が課税されますが、NISA口座で行う場合は20%程度の税金が課されず、非課税で行われます。
現在のNISAは18歳以上が対象で、2025年末時点で2820万口座が開設されています。
1月から始まる「こどもNISA」の対象年齢は0〜17歳で、上限は月5万円で年間60万円となっています。総額の上限は600万円のため、満額で行い続けると10年間で上限に達することになります。
ただ、引き出す際の年齢に制限があります。最速だと10歳で満額まで投資はできますが、引き出すことができるのは12歳からです。
さらに、親だけでは引き出すことができず、子どもの同意(書類の提出)が必要となります。用途に関しても、教育費や生活費など、子ども本人のために充てる必要があるということです。
こどもNISA
▼対象年齢:0〜17歳
▼年間の上限:60万円(月5万円)
▼総額の上限:600万円
▼払い出し:12歳〜
▼払い出しの条件:子どもの同意、子ども本人のための用途(教育費や生活費など)
実際に親御さんに取材をした際、どのような声が聞かれたのでしょうか?
7割超の親が将来の教育資金に「不安」
TBS報道局 経済部 蓮井啓介記者:
取材した際、親御さんたちは「こどもNISA」に相当な関心を持っていると感じられました。
松井証券の調査によると、17歳以下の子どもを持つ親の39.3%は「こどもNISA」を利用したいという意向を示しており、注目が高まっていることが伺えます。
政府は「貯蓄から投資へ」という流れを加速させたい考えです。またそれによって、次世代の子どもたちの資産形成にも役立てようとしています。
<なぜ?政府は「こどもNISA」後押し>
▼『貯蓄から投資へ』流れを加速させたい
▼『次世代の資産形成』を支援
2023年まで「ジュニアNISA」という制度がありましたが、18歳まで引き出すことができないなど、使い勝手が悪いとの理由から、制度が終わってしまいました。
ですが、「こどもNISA」では12歳から引き出しが可能になり、教育的にお金のかかる期間を賄える制度となっているため、将来的な教育費にも対応してほしいという狙いがあります。
高柳キャスター:
松井証券の調査によると、将来の教育資金について「不安」と回答した親が7割を超えることが分かっています。
「子どもの将来のために少しでも…」親からは様々な声
3日に行われたイベントでは、様々な声が聞かれました。
親
「インフレが進んでいって大学とか行きたいってなった時、授業料とか下宿費とか生活費がどうなっちゃうのかなって。子どもの将来のために少しでも、彼女が将来、楽になるような貯蓄ができたら」
小学4年生の親
「今後の教育費もそうですし、この子が大人になるためにちょっとずつ積み立てていって、大人になった時に『これだけ貯まったよ』って言えたら」
小学5年生の親
「(貯金だけだと)やっぱり不安。お金に動いてもらえるように、自分もそういうのに興味をもって、(子どもと)一緒にお金のことを考えられていいなと思いました」
信州大学特任教授 山口真由さん:
子どもへの金融リテラシーは大きいと思っています。私の場合はNISAの個人の非課税枠を使い切っているわけではないため、私のNISAを使って子どもの教育に使えばいいと思っています。
しかし今、子どもに残してあげられる最大のものは、資産よりもむしろ金融リテラシーだと思うため、小さい時からお金のことを考えておいてほしいと感じます。
井上貴博キャスター:
近い将来のものに関しては預貯金で、先々のものは長期で分散投資でという考え方だと思います。
自分の子どもの時のことを考えると、親や周りの人とお金の話をするのは品がない、はしたないという空気があった気がします。ですが、どのように資産形成していくかというのは、30代になって初めてとても重要だと気がつきました。
私のような気持ちにならなくていいかもしれない。子どもたちがやるやらないは別にしても、この差は大きいのではないでしょうか。
口座開設で特典も…金融機関は顧客獲得へ
高柳キャスター:
実は今、金融機関各社も特典や強みを活かして、次のような顧客獲得に乗り出しています。
▼SBI新生銀行
子ども名義の新規口座開設→2000円(最大) など
▼SBI証券
「こどもNISA」口座開設予約・開設など→2000円
「こどもNISA」専用「ゼロカン」(手数料なし)登場 など
▼PayPay証券
100円〜投資可
PayPayポイントで投資可 など
▼楽天証券
親 口座新規開設・初期設定→1500円
子ども 口座新規申込・開設&「こどもNISA」申込→1000円 など
このように、「こどもNISA」に合わせて各社が顧客獲得に乗り出しているということです。
TBS報道局 経済部 蓮井記者:
これには各社の狙いがあり、親世代を巻き込んだ顧客獲得競争、囲い込みになっています。
まず、多くの金融機関では親世代も同時に口座を開く必要があります。金融機関としては「こどもNISA」で子どものための口座を獲得すると、親も一緒にNISA口座を開いてくれるメリットがあります。
次に、こどもNISAの口座を一度作って投資を始めると、基本的には証券会社を変えることができないため、特定の証券会社を長く利用してくれるメリットもあります。
高柳キャスター:
ただ、投資には注意点もあります。そもそも投資商品のため、損をしてしまう可能性があり、保障もないためバランスを考えて投資をする必要があります。
また、近年ではNISAにお金を使いすぎて生活費などがなくなってしまう「NISA貧乏」という言葉もよく聞かれます。
家族で話し合ったうえでNISAを活用した投資をすることが非常に大事です。
出水麻衣キャスター:
投資をすると、世の中の動きに対しても興味が出てくると思います。お金のリテラシーだけでなく、ニュースの見方も変わるなど、色々な良いことがあるのではないでしょうか。
井上キャスター:
投資ができる家庭がある一方で、投資ができない家庭もあると思います。そのため、格差の固定化にならないような手立ては作っていかないといけないと感じます。
信州大学特任教授 山口真由さん:
格差を広げるというよりは、むしろ「こどもNISA」がきっかけで格差が是正されていくような取り組みにならなければと思います。
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<プロフィール>
蓮井啓介
TBS報道局経済部 財務省担当
“責任ある積極財政”・消費税減税を取材
山口真由さん
信州大学特任教授 ZEN大学教授
財務省、弁護士を経て現在は「家族法」研究が専門