アメリカ産「生ジャガイモ」輸入解禁議論…背景にトランプ政権の圧力 最大の懸念は「病害虫」まん延 日本のジャガイモ激減の危機も【サンデーモーニング】
家庭で料理に使用されるジャガイモはほとんどが北海道産ですが、アメリカ産の輸入解禁となれば、具体的にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
【写真を見る】10年以上作付け不能な畑も 収穫激減を招く「病害虫」のリスクとは
背景には“トランプ政権”からの圧力?米国産ジャガイモの輸入解禁
17世紀の初めにインドネシアの「ジャカルタから来たいも=じゃがたらいも」がなまって「ジャガイモ」になりました。
いま流通している「男爵」や「メークイン」は、明治時代以降に導入されたと言われています。
一方、アメリカの代表的な品種「ラセット」は、でんぷん質が多くフライドポテトには適していますが、煮くずれしやすいため肉じゃがには向いていません。
そんなアメリカ産ジャガイモ。輸入解禁の議論の背景にあるのは、トランプ政権からの圧力です。
第1次政権下の2020年に解禁を求められ、2025年に行われた関税交渉の中で、日本に輸出を拡大したい農産物のひとつとしてジャガイモを名指ししました。
農業が盛んな州は伝統的に共和党支持者が多く、トランプ氏にとっては格好のアピール材料で、日米間で協議が進められています。
一度入れば根絶困難?生ジャガイモがもたらす「病害虫」のリスク
最大の懸念は「病害虫」のまん延です。
現在すでに加工用に限って輸入が認められていますが、密閉型コンテナで運び、許可された指定工場に直接持ち込んで加熱処理を行い、ポテトチップスになっています。
一方、土が付着したままの生のジャガイモの形で世の中に出回るとなると、病害虫が一気にまん延するリスクがあるのです。
日本でこれまで発生したことのない病害虫が加わるリスクもありますが、生産者がいま特に警戒しているのが「ジャガイモシストセンチュウ」や「ジャガイモシロシストセンチュウ」という虫です。
体長は1mmほどで人体への害はありませんが、ジャガイモの根に寄生して生育を妨げ、収穫量を大幅に減らすおそれがあります。
乾燥にも寒さにも強い「シスト」という殻の中で最長で30年も卵が生き延びるため、根絶が難しいのが特徴です。
日本では2015年に、北海道・網走市で「シロシストセンチュウ」が初めて確認され、10年以上たった今もジャガイモが作れない畑が残っています。
現在は他の地域に広がらないように抑え込まれてはいますが、アメリカでも発生事例があり、駆除やまん延の防止に苦戦しました。
新たにアメリカから侵入してくれば、殻1個につき数百個の卵が入っていて、国内最大の産地・北海道を中心に爆発的に増える危険性があるのです。
また、トマトやナスなどにも寄生するため、全国的に被害が及ぶ可能性もあります。
専門家「そもそも入れないが鉄則」高自給率の国産ジャガイモに迫る “脅威”
こうした状況の中、政府は「日米双方が納得できる合意が見いだせない限り、輸入が解禁されることはない」としています。
ジャガイモ生産の実態に詳しい北海道大学大学院の小林国之准教授は「病害虫は『管理すればよい』ものではなく『そもそも入れない』ことが鉄則」と話しています。
そのうえで「輸入となれば、病害虫が混入しないような流通・出荷体制をアメリカ側が整備しているのか、現地で日本側が監督することなどが重要だが、その体制整備は容易ではない」と言います。
国内自給率が6割を超えているジャガイモ。安い輸入品との競合によって日本の農家の経営が圧迫されれば、国内の生産基盤が弱まる懸念もありますが、価格競争の問題以前に、病害虫によって日本のジャガイモが激減するかもしれません。