GMOサイバー攻撃会見で明かされた“盲点”「仮想サーバー=VPS」に不正侵入 2か月間なぜ気づかず?AIの急速な進化に対策は【サンデーモーニング】
最先端のサイバーセキュリティーを掲げてきたGMOに、犯人はどのように侵入し、なぜ対応が遅れてしまったのでしょうか。
【写真を見る】GMOが管理するサーバーをマンションに例えると…
「仮想サーバー=VPS」に不正侵入
GMOはインターネット事業のほかにも手広く事業を行っていて、傘下に150を超えるグループ企業があります。
今回被害に遭ったのは、手元の資金の何倍もの額で為替取引ができるFXを行う顧客でした。不正侵入を受けたのは直接FXを取り扱う証券会社ではなく、FXの自動売買を稼働させるためのサーバー(業務用コンピュータ)を提供していた会社です。
この事業は、GMOが管理するサーバーの一部を何人もの個人向けに貸し出すもので、「仮想サーバー=VPS」と呼ばれます。
例えるなら、マンションの部屋を賃貸するような形で、GMOは大家さんであり、管理人。そして、FXの自動売買をする人たちが部屋、つまりVPS(仮想サーバー)を借りているという構図です。
自動売買では、あらかじめ設定しておいた条件に従って、プログラムが自動で売買を行うため、本来はパソコンなどを常時起動しておく必要がありますが、自宅のパソコンの電源を切っていても自動でプログラムを動かし続けるためにVPSが利用されています。
被害発覚の2か月前には不正侵入か 侵入された可能性のあるVPSは最大で約2万7000件
今回の事件では、主に2つの被害が出ました。一つ目は、FXの不正取引です。
サイバー攻撃の犯人は、何らかの方法でGMOが提供している部屋のひとつ、つまり誰かが借りているVPSに侵入。そこを足掛かりにして、今度はGMOの管理サーバーにまで侵入しました。これは管理人室に入って、マンション全体の部屋に入れるマスターキーを手に入れたようなものです。
これが、被害発覚の2か月前に起きていたことです。
その後、犯人は手にしたマスターキーを使って次々と別の部屋に侵入。部屋の住人が気付かないうちに、不正なFX取引を行って金銭的な損害を与えたとみられています。
被害総額はわかっていませんが、不正に侵入された可能性のあるVPS(仮想サーバー)は最大で約2万7000件に上ることがわかりました。
もう一つの被害が、利用者の手元のパソコンから個人情報が抜かれたことです。
パソコンからVPSを遠隔で操作したり、ファイルを交換したりできる設定になっていたため、犯人はこれを悪用してVPS側からパソコンへと侵入し、そこで盗み出したとする個人情報を人質にGMOに金銭を要求。
GMOが支払いを拒むと、個人の名前や住所のほか、ウェブサイトの閲覧履歴だとする情報などを公開したのです。
他の金融機関は大丈夫?元警察庁サイバー捜査課長が強調するブラッシュアップ
こうした被害を防ぐことはできなかったのか。
サイバーセキュリティーに詳しい、元警察庁サイバー捜査課長の棚瀬誠さんは、GMOのサーバーシステムについて「管理人室に簡単に侵入でき、マスターキーの保管場所まで丸見えのような状態だったともいえる。管理人室への不正な侵入があった時点でアラートが鳴るような機能があるべきだが、その機能が無かったのか、うまく作動しなかったのではないか」と分析。
「いずれにせよ不正侵入に2か月以上も気づけなかったのが悔やまれる点」と指摘しています。
GMOへのサイバー攻撃では、金銭的な実害が出たことに衝撃が走りましたので、気になるのが他の金融機関の安全性です。
棚瀬さんは、「日本の金融機関は、VPS事業者と違って金融庁のガイドラインに沿って非常に厳しいセキュリティーが施されているので、ハッカーによる不正侵入や不正送金はまだ相当難しいのが現状」だといいます。
一方で、AIの急速な進化が予断を許さないなかで、「特にサイバー攻撃の端緒を検知する仕組みのブラッシュアップが求められている」とも強調しています。