「墨守」は墨を守ることをあらわした言葉ではありません。
これらは確固たる意志で守り抜くことをあらわした言葉となります。
しかし、なぜ堅牢な守りのことを墨守と表現するのでしょうか?
そこには墨子という人物が関係しているそうです。
ここではそれら「墨守」という言葉について紹介します。
特に気になる意味や語源について詳しく解説します。
「墨守」とは
まずは「墨守」という言葉が何を指すのか見ていきましょう。
特にどのような人をあらわすのか詳しく説明します。
「墨守」といわれる人
「墨守」とは頑強に守り通すことをあらわす言葉です。
特に自説や旧習などをかたくなに守って譲らないことを指します。
人などに対しては約束などを守り通す人を指したりする表現となります。
その一方で頑固で自分の考えや間違いを曲げない人もあらわすそうです。
そのため、「墨守」はポジティブにもネガティブにも使用されるわけです。
ポジティブにもネガティブにも使われる
「墨守」には良い意味も悪い意味もあります。
ポジティブな意味では「信念を守り抜く」というニュアンスがあります。
逆にネガティブな意味では「自分の考えを守り過ぎて変化を受け入れられない」というニュアンスがあるのです。
もちろん、どちらの意味で使用しても問題はありません。
ただ、使用するシーンで捉え方が変わるので注意しましょう。
状況によって褒め言葉にも侮蔑の言葉にもなるので気をつけてください。
「墨守」の由来
では、「墨守」という言葉はどこから生まれたのでしょうか?
ここからは「墨守」の語源について簡単にまとめていきます。
中国のある人物の行動から来ている
「墨守」は中国の故事「墨子―公輸」に登場する逸話が語源となります。
その昔、中国の戦国時代に公輸盤という優秀な技術者がいたそうです。
彼は敵の城壁を乗り越えるのに役立つ「雲梯」という大きな梯子を開発したそうです。
それを楚の国の王に献上したところ、とても気に入ってもらえたそうです。
その結果、王はその新兵器で宋の国を攻めようと計画してしまいます。
それを伝え聞いた非戦主義者の墨子は楚王に攻撃をやめさせようと進言します。
しかし、楚王は新兵器を試してみたかったため、聞き入れてくれません。
そこで墨子は公輸盤を相手に模擬戦を提案したわけです。
その結果、9回戦って9回とも見事に勝利してしまいました。
これにより墨子は城を守りきれる力を証明して見せたのです。
そこから守りが堅牢であることを「墨守」と表現するようになったそうです。
謎が多いとされる「墨子」とその思想「墨守
その反面、高い築城技術を持つ技術者でもあったのだとか。
その力は攻めにも使えたのですが、墨子はあえて守りに用いました。
それが「墨守」という言葉に通じているわけです。「墨守」を含む四字熟語
ここからは「墨守」が含まれる四字熟語について見ていきましょう。
旧套墨守
「旧套墨守」は昔からの古い方法や形式、慣習などを守り続けることです。
また、古い方法や形式、慣習などにとらわれていて融通がきかないことをあらわします。
「旧套」は古い方法や形式、慣習を意味します。
「墨守」は自分の考えを守って譲らないことを指します。
この四字熟語もポジティブにもネガティブにも使える言葉です。
輸攻墨守
「輸攻墨守」とは攻める方も守る方も万策を尽くして戦うことです。
名工として名高い「輸」が攻め、智恵者の「墨」が守って戦ったという逸話から来ています。
「輸」は中国春秋時代の魯の国の公輸盤のことです。
「墨」は中国戦国時代の宋の国の墨子のことです。
つまり「墨守」の由来となった人物から生まれた言葉となります。
まとめ
「墨守」は中国の墨子という人物から生まれた言葉です。
これらは堅牢に守ることをあらわした言葉となっています。
その昔、中国の宋の国を守った墨子から来ている言葉です。
これらは古いものに囚われて頑固になっている人をあらわす一方、堅実に約束を守る人などもあわらします。
良い意味でも悪い意味でも使用される表現なので注意しましょう。
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