愛猫を迎え入れても、なかなか懐いてくれず、思い悩んだことのある飼い主さんも多いはずです。今回は、飼い主さんとの距離がぐっと縮まった「うちの子シーン」を3つ紹介します。ご自身の体験を思い出しながら読んでみてください。
1.膝に乗って喉をゴロゴロ
この世には飼い主さんの膝のうえをこよなく愛する猫がいます。タイミングなどいっさいわきまえず、飛び乗ってきては、「あったけぇ…」という心の声を洩らします。特に、寒い冬場は、最寄りのスーパー銭湯のように、連日通い詰めるほどです。
よく考えてみると、人間の膝のうえに乗る行為は、猫にとってかなり危険です。「悪いやつ」の手にかかれば、身体を拘束されたあげく、どこかに連れ去られる恐れもあります。膝のうえと同じように、自由を愛する猫からすると、相当に困った状況です。
ハイリスクな展開を含んでいるのに、あえて膝に乗るのは、飼い主さんを信頼し切っているからです。いっしょにいて安心。愛猫はそう認識しています。
迎え入れた当初はよそよそしくても、日頃のお世話を通じて、愛猫は飼い主さんがどんな人物なのか、理解するようになります。愛猫の「しっぽピーン」や「スリスリ」は、お世話の仕方が間違っていないことの証です。
そして、ある日、何の前触れもなく、愛猫が唐突に飛び乗ってきて、飼い主さんの膝を奪います。大事なものを奪われたのに、飼い主さんはこれ以上ないくらいの笑顔です。
見た目よりもズシリとくる重み、思いがけないほどのぬくもりを感じつつ、飼い主さんは「うちの子になった!」という喜びに包まれます。
ぎこちない手つきで撫でられながらも、膝のうえの愛猫は上機嫌です。ゴロゴロのメロディーにのせて、「めっちゃ良いやつ!」と飼い主さんを褒めてくれています。
2.安心してごはんを食べてくれる
外暮らし経験のある猫を迎え入れた飼い主さんの場合、ごはんの場面で、「うちの子になってくれた…」と実感することかあるかもしれません。
外で暮らす猫は、ごはんのチャンスが極端に限られています。たとえごはんにありつけたとしても、まわりに他の猫がいれば、横取りされかねません。
外猫の多くは、野生本能が濃厚なため、ごはんを食べつつも、しばしば顔を上げて、周囲を見渡します。おそらく、大きなストレスになっているはずです。
飼い猫としておうちで暮らすようになると、食いっぱぐれることもなければ、よその猫にごはんを奪われる心配もありません。まわりを警戒することなく、目の前のごはんに集中できます。外猫時代とは、決定的な違いです。
愛猫がごはんをガツガツ食べるのも、中途半端に残すのも、飼い主さんの深い愛情に基づいた安心感があるからです。安心してごはんを食べられることほど、猫にとっての幸せはありません。
まわりを警戒することなく、夢中になってごはんと向き合う愛猫を見れば、迎え入れた当初のさまざまな不安は消えます。「本当にうちの子になってよかった…」と飼い主さんが実感するのは、まさにそんな瞬間です。
3.いっしょに寝てくれた!
愛猫を迎え入れたら、「絶対にいっしょに寝たい!」と熱望する飼い主さんも多いことでしょう。
「添い寝」してくれるかどうかは、愛猫次第であり、人選は相当にシビアです。イビキをかく人、寝相が極端に悪い人、悪夢にうなされて叫ぶ人は、同じ家族でもNG対象として厳しく峻別されます。
睡眠時は、食事中と同じように、猫が無防備になりやすい瞬間です。できるだけ行儀がよく、居心地のいい人と「添い寝」したいと愛猫が願うのも、無理はありません。
数々の審査ポイントをクリアしたうえで、愛猫の好みにピタリとハマった者だけが、晴れて「添い寝」の座を勝ち取れます。愛猫に深く信頼されている証拠です。日頃から愛猫の気持ちに寄り添った対応を心がけているからでしょう。
初めて愛猫がいっしょに寝てくれた日のことを、飼い主さんは今でも鮮明に覚えているはずです。まぎれもなく「うちの子」として、記憶と記録に刻まれたひととき。興奮し過ぎて眠れなかったことも、きっと良い思い出です。
ちなみに、猫の「添い寝」には、「甘えたい」「安心したい」「暖を取りたい」以外にも、「飼い主さんを守ってあげたい」という意味もあります。顔の近くで、お尻を向けて寝る状態は、まさしく最高レベルのセキュリティです。
「うちの子」はもちろん、「心強い用心棒」であることを知れば、よりいっそう愛猫への愛おしさが増すにちがいありません。
まとめ
猫は本来、警戒心の強い単独行動主義者です。たとえ人慣れしようとも、つかず離れずの距離を好みます。今回は、飼い主さんとの関わりを通じて、愛猫がついに「うちの子」になった場面を3つ紹介しました。
もちろん、挙げた3例だけに限られたものではありません。飼い主さんの数ほど「うちの子シーン」はあるはずです。貴重な思い出を胸に、これからも愛猫と幸せな日々を過ごしてください。
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