事態が迫りどうにも動けない状況を「切羽詰まる」と言います。
「切羽詰まる」はまさに追い込まれた状態をあらわす言葉です。
しかし、そもそも切羽とは何をあらわす言葉なのでしょうか?
今回はそんな「切羽詰まる」についてご紹介したいと思います。
特に気になる「切羽」が何を指すかについても解説します。
「切羽詰まる」とは
まずは「切羽詰まる」がどのような言葉なのかを見ていきましょう。
「切羽詰まる」の意味
「切羽詰まる」は事態が間近に迫りどうにもならなくなることです。
また、それによって身動きが取れなくなってしまうことを指します。
特に追い込まれて何もできなくなっている状態をあらわす言葉です。
近年では何かに追われること全般を「切羽詰まる」と表現します。
ただ、人によっては「行き詰まる」と混合している方も多いです。
これらは違いもあるので注意しましょう。
「行き詰まる」との違い
「切羽詰まる」は物事が差し迫ってにっちもさっちもいかなくなることです。
一方で「行き詰まる」は物事がうまくいかなくなることです。
似た状況ではあるものの、両者は深刻度がそれぞれ異なります。
「行き詰まる」よりも「切羽詰まる」の方が深刻な事態と言えます。
特に可及的速やかに解決しなくてはならないこと全般に使用するのが「切羽詰まる」です。
「行き詰まる」は勉強や仕事がうまく進まないときなどをあらわす言葉であり、深刻度自体はそこまで高くありません。
そのため、「切羽詰まる」との違いは深刻度にあると覚えておきましょう。
「切羽詰まる」の由来
では「切羽詰まる」とはどこから来た言葉なのでしょうか?
特に「切羽」とは何をあらわす言葉なのでしょうか?
「切羽」は日本刀の金具の一部
注意喚起語
「切羽詰まる」の「切羽」とは日本刀の金具の一部を指します。
刀は複数の部品が組み合わさって完成します。
その一部が切羽と呼ばれる部分です。
この「切羽」は刀の鍔を固定する金具となっています。
これらは刀に欠かせない部品の1つであり、重要な役目を持ちます。
そんな言葉から生まれたのが「切羽詰まる」という言葉なのです。
切羽は「詰まる」ようなものではない
ただ、「切羽詰まる」とは言いますが「切羽」は詰まりません。
もともと「切羽」は刀の鍔を固定する金具をあらわしています。
これらは緩衝材としての役割があり、刀に欠かせない部位となります。
しかし、もともと詰めるような部品ではありません。
本来は「取り付ける」「はめ込む」ものとなっています。
そのため、なぜ「詰まる」と表現するのかは謎です。
詰まりすぎると刀が抜けなくなるという書き方をされることもあるものの、刀の構造上それはあり得ません。
ただ、言葉で見ると「詰む」から来ている可能性があります。
「詰む」という言葉は逃げ場を失うという状況をあらわします。
そのため、逃げ場がない状況を指す表現として「切羽詰まる」という言葉が生まれた可能性もあるかもしれません。
ただ、それがなぜ切羽と関係するのかは不明なままです。
もしかしたら「切羽」ではなかった・・・のかもしれない
刀の構造上、切羽が詰まるようなものではないと断言できます。
そのため、もともとは違う言葉だったものが転じたと考えられます。
そこから「切羽」に置き換わったと考えるのが自然でしょう。
「切羽詰まる」の類義語
ここからは「切羽詰まる」の類義語を見ていきましょう。
絶体絶命
絶体絶命とはどうしても逃れられない困難な状況にあることです。
これは追い詰められてしまった状態をあらわす言葉となっています。
特に命の危機が迫っているような場面で使われます。
そういう意味では「切羽詰まる」の類義語と言えるでしょう。
尻に火が付く
「尻に火が付く」とはのんびりしていられなくなる状態のことです。
事態が差し迫っていて追い詰められていることをあらわします。
これも「切羽詰まる」に似たシチュエーションを指します。
窮地に立つ
「窮地に立つ」とは万策尽きた苦しい場面のことです。
「窮地」は追い詰められて困り果てた境遇をあらわす言葉です。
例えば、2つから1つを選べないような過酷な状況などで用いられます。
そのため、「切羽詰まる」にも似ています。
まとめ
「切羽詰まる」は事態が間近に迫りどうにもならなくなることです。
どうしようもない状況をあらわして「切羽詰まる」と表現します。
その「切羽」とは日本刀の部品をあらわす言葉だそうです。
ただ、なぜ「切羽」が「詰まる」のか、その理由は不明です。