「あぐらをかく」は、足を組んで座る姿勢だけではありません。
油断することを意味する慣用句としても用いられます。
そこでここでは、「あぐらをかく」という言葉についてその意味や類義語について解説します。
「あぐらをかく」とは
「あぐらをかく」を、姿勢と慣用句2つの意味から見ていきましょう。
意味①姿勢として
左右に開いた足を足首で交差させて座ることを「あぐらをかく」と表現します。
これは姿勢そのもの、もしくは動作をあらわしています。
この座り方は、女性よりも男性の座り方とされることもあって、堂々と居座るような様子ともされます。
意味②慣用句として
「あぐらをかく」は、調子に乗って油断することを意味する慣用句でもあります。
呑気に構えていて何も努力していない様子の例えとしても使用されます。
「あぐらをかく」の「あぐら」とは
ここからは「あぐらをかく」の「あぐら」について説明します。
「胡坐」と漢字表記する理由
「あぐらをかく」のあぐらの漢字表記は「胡坐」となります。
この胡座の「胡」というのは古代中国で北方や西方のにい異民族指す言葉として用いていました。
当時、彼らは地べたに座っておらず上記のような椅子に腰掛けていました。
この椅子には、両膝を開いて足首を組む形で腰掛けていました。
その座り方から椅子を用いずに地べたに座ることも「胡坐(あぐら)」というようになったのが、現在のあぐらのはじまりともされています。
もともとは正式な座り方だった「あぐら」
いまでは、オフィシャルな場で畳などに座る際は、正座で座るのが一般的です。
しかし、古くは「胡坐」が正式な座り方だったとされているのです。
室町時代の頃、女性は服装の変化から胡坐で座ると股が露出してしまう危険性が出てきたため、女性の正式な座り方が正座へと変化しました。
それに合わせるように、江戸時代に入ると男性の正式な座り方も正座になり、対して楽な座り方として「胡坐」が定着しました。
現代では「あぐら」になることを楽に座れるということで「足を崩す」という表現をされることもありますが、室町時代末期戦国時代の頃まではオフィシャルな場における座り方だったようです。
「あぐらをかく」の類義語
最後に「あぐらをかく」の類義語を見ていきましょう。
これらの類義語には「思い上がり」や「慢心」などがあります。
思い上がり
「思い上がり」とは、自分に対して過大評価をしていることです。
自分の価値が実際以上に良いと考えているということです。
もともとは意識を高く持つことを指す言葉でした。
それが次第に調子に乗ること全般を指すようになりました。
慢心
「慢心」とは、自分を価値以上に過大評価して驕り高ぶっていることを意味します。
実際の評判ではなく、自分の価値を勝手に決めてしまうようなことを指す言葉です。
近年では他人を侮って見下すような態度のことも指しあらわすことがあります。
まとめ
「あぐらをかく」は足を組む座り方の姿勢そのものでもありますが、油断している事をあらわす慣用句でもあります。
優位な立場や状況ににあって調子に乗り、何の努力もしていない様子を指す言葉です。
この「あぐら」は、古代中国で胡と呼ばれていた異民族の座り方という事から来ました。
現在では楽な姿勢とされますが、古くはあぐらが正式な座り方とされていました。