「きしめん」と「うどん」ともに麺類の一種ですが、見た目は非常に似ています。
しかし、その由来も異なりますし規格上でも違いがあったります。
そこでここでは、「きしめん」と「うどん」の違い、そして「ほうとう」などとの違いについて解説します。
「きしめん」とは
まずは、「きしめん」がどのような麺類なのか見てみましょう。
「きしめん」のはじまり
「きしめん」は幅が広く薄い形状をした麺類のことです。
その麺を使用した料理のことを指す場合もあります。
その起源については諸説あります。
そのひとつとして、江戸時代に東海道の芋川(現在の愛知県刈谷市)名物だった平打ちうどんが「きしめん」のルーツだという説があります。
「芋川うどん」と呼ばれた平らなうどんは、江戸時代初期から名物とされてきたとされます。
他にも、池鯉鮒宿(ちりゅうじゅく)で提供されていた雉の肉を入れたうどんが起原だという説もあります。
現在の愛知県知立市にあった三河池鯉鮒宿では、「雉麺(きじめん)」と呼ばれる雉肉を入れたうどんがあり、それが名古屋にまで伝わり名前も若干変化して「きしめん」になったとされています。
「きしめん」という名前の由来は?
池鯉鮒宿の「雉麺(きじめん)」が変化して「きしめん」になったとする説のほか、
さらに「もともとは麺でなく碁石型だったので棊子麺(きしめん)」と付けられたとする説や、「紀州の者が作った紀州麺(きしゅうめん)」から来たとする説もあります。
「うどん」との違い
ここからは「うどん」との違いについて見てみましょう。
乾麺における麺の太さの違い
「きしめん」と「うどん」は、麺類の中でも異なるものとされることがあります。
特に日本農林規格(JAS)では、乾麵における麺の太さがそれぞれ異なる定義立てがされています。
「うどん」の太さの定義
「うどん」は、「太さの長径が1.7mm以上となるよう成形したもの」と定義されています。
「きしめん」の太さの定義
「きしめん」は、「太さの幅が4.5mm以上かつ厚さが2.0mm未満となるよう帯状に成形したもの」という定義されています。
「うどん」と比べると平たい麺となるのが特徴です。
伝統的な作り方だときしめんは「めんつゆ」も違う
愛知県、特に名古屋周辺地域の伝統料理とされる「きしめん」は、「めんつゆ」でいただくのが主流です。
そのめんつゆもまた、うどんと異なることがあります。
「きしめん」は、平たい形状という事もあり口に含んだ時に味が薄く感じられるとされます。
そのため、汁はしっかりとした味付けにする必要があった事から、伝統的なめんつゆはムロアジやたまり醤油で味付けするのが一般的とされています。
ムロアジは、カツオよりも独特のクセのある濃いダシが出ます。
たまり醤油は、ほんのりと独特の香りがします。
このムロアジとたまり醤油を合わせることで、濃厚な「めんつゆ」が完成します。
「ほうとう」もまた別物
「きしめん」や「うどん」に似た食べ物に「ほうとう」があります。
この料理は、「きしめん」はなにが違うのでしょうか。
「ほうとう」とは
「ほうとう」は、山梨県を中心に食されている郷土料理です。
小麦粉を練ったものを、ざっくりと切って太く短い麺状にしたものです。
この麺状にしたものを、白菜やカボチャといった野菜とともに味噌仕立ての汁で煮込んで作られます。
「ほうとう」は麺とは限らない
この「ほうとう」、必ずしも麺とは限りません。
一種の「すいとん」とされることもあり、地域によっては練った小麦粉をちぎって小さな塊状にしたものとすることもあります。
まとめ
「きしめん」は、「うどん」よりも平たい形状をした麺類です。
JAS規格では、うどんは「太さの長径が1.7mm以上となるよう成形したもの」、きしめんは、「太さの幅が4.5mm以上かつ厚さが2.0mm未満となるよう帯状に成形したもの」と定義されています。
きしめんが名古屋を中心とした郷土料理ですが、山梨県の郷土料理「ほうとう」と野菜とともに味噌で煮込む料理もあります。