黄金や珠玉のように優れた法律や規則を「金科玉条(きんかぎょくじょう)」と言います。
これらは非常に重要な決まりなどを意味する言葉です。
しかし、なぜそれが「金科玉条」なのでしょうか?
今回はそれら「金科玉条」という四字熟語について解説します。
ここではこの言葉の意味はもちろん由来や語源についても説明します。
「金科玉条」とは
「金科玉条」はポジティブな意味とネガティブな意味を持ちます。
ここではまずそれぞれの意味について見ていきましょう。
「金科玉条」のポジティブな意味
「金科玉条」とは黄金や珠玉のように善美を尽くした法律や規則のことを言った四字熟語です。
「金」「玉」は黄金や珠玉などの貴重なものや大切なものを指します。
「科」「条」は法律や規則などの条文を表します。
つまりは非常に重要な決まりのことを言う言葉です。
転じて、人が絶対的な拠り所として守るべき決まりのことも意味するようになったとされています。
中でも自分の主義や主張、立場の根幹となる思想や信条のことを言う言葉として使用されます。
「金科玉条」のネガティブな意味
「金科玉条」は融通が利かないことの例えでもあります。
実際に「金科玉条の如く堅苦しい」のように使用されます。
このように「金科玉条」にはポジティブな意味とネガティブな意味があるので、使用の際は注意が必要です。
特に物事であれば問題ないですが、特定の人物に使用する際は注意しましょう。
「金科玉条」の由来
では「金科玉条」はどこから来た言葉なのでしょうか?
ここからは「金科玉条」の由来や語源についてまとめます。
「新」王朝を絶賛する詩の一節から
「金科玉条」は新王朝を絶賛する揚雄の詩「劇秦美新」から来ています。
特に新しく誕生した王朝とその体制を賛美した一文から来ているのだとか。
その一節には「懿律嘉量、金科玉条、神卦霊兆、古文畢発、炳煥照耀、宣臻に靡ず」とあります。
また、注意書きとして「善曰く、金科玉条は法令を謂うなり。金玉はこれを貴んで言う」とも残されています。
つまり、もともと新王朝の法令を貴んだ言葉だったわけです。
事実、新王朝の法律や規則を黄金や珠玉のようだと称えた表現が「金科玉条」となっています。
そこから来たのが「金科玉条」という四字熟語です。
ちなみに、日本に伝わったのは奈良時代のことなのだとか。
「科」と「条」とは
「科」も「条」も絶対に守ろうとする考え方を意味します。
それら最重要の決まり事を指す表現として使用されます。
例えば、ある国のリーダーが放った言葉を「金科玉条」として扱うことがあります。
それら絶対に守らなくてはならない決まりのような意味で使用されるわけです。
絶賛された「新」王朝は一代で滅んだ
「金科玉条」は新王朝の体制を讃えた言葉となっています。
新王朝とは古代中国の王朝の1つのことです。
当時、新王朝は揚雄が絶賛したように優れた法令を持つ王朝になるだろうと期待されていました。
しかし、その実態は違いました。
事実、周の時代を理想とした政策を行うも失策に終わってしまうわけです。
実際に理想主義的かつ復古主義的な政策を行った新王朝でしたが、当時の実情に合っておらず国内は混乱してしまったのです。
その結果、国内外に対して高圧的な態度を取ったために離反を招くこととなってしまいました。
それにより新王朝の統治は失敗に終わり、不満の火種も次第に大きくなっていったのです。
結果、新王朝は一代で滅亡してしまったのでした。
まとめ
「金科玉条」は黄金や珠玉のように優れた法律や規則を指します。
しかし、現代では良い意味でも悪い意味でも使用される言葉です。
そのため、使用する対象によって使い分けが必要です。
そこはポジティブにもネガティブにも捉えられることを知って使用しましょう。