大いに慌てふためくことを「周章狼狽(しゅうしょうろうばい)」と言います。
これらは激しくうろたえることなども意味する言葉です。
しかし、なぜそれが「周章狼狽」と表現されるのでしょうか?
今回は「周章狼狽」という四字熟語について解説します。
ここでは特にこの言葉の意味と由来、語源などについてわかりやすく説明します。
「周章狼狽」とは
まずは「周章狼狽」の意味について見ていきましょう。
「周章狼狽」の意味
「周章狼狽」とは大いに慌てふためくことを言います。
同じく、激しくうろたえることなども表す四字熟語です。
特に予想していなかったことが起きて酷くパニックになることを言った言葉となります。
これら「周章狼狽」の「周章」と「狼狽」は、それぞれ酷く慌てふためくことやうろたえることを指します。
これらは同じ意味の熟語を重ねることでより意味を強調した表現となっているのが特徴です。
「周章狼狽」の用い方・例文
「周章狼狽」は予測不可能なことに遭遇して動揺した様子を意味する言葉です。
そのため、予定通りに物事が順調な状態では使用しません。
むしろ何が起こったのかすらわからずパニックになっているような様子で使用するのが「周章狼狽」だと言えます。
これらは同じ意味を持つ熟語同市なので「周章する」「狼狽する」などのようにそれぞれ使用することもできます。
もちろん、どちらも同じくパニックになっているような様子を意味する表現です。
「周章」と「狼狽」それぞれの由来
ここからは「周章」と「狼狽」それぞれがどこから来たのかについて見ていきましょう。
「周章」の由来
「周章」は「周」「章」それぞれの意味から来ているわけではありません。
確かに「周」は歩き回るというようなニュアンスもあります。
しかし「章」にはそのような意味合いが含まれていません。
そのため「周章」は慌てる様子を擬態語として表現したものと考えられます。
実際に「周」「章」は最初の音が同じで、それぞれ頭韻を踏む形となっているのが特徴です。
これらの熟語表現に関しては「双声」と呼ばれ、擬態語の一種とも言えます。
それら擬態語の表現の1つとして生まれたのが「周章」と考えられているわけです。
ちなみに、熟語の「周章」は「あわてる」と読むこともできます。
「狼狽」の由来
「狼狽」はそれぞれ「狼」「狽」から意味が来ているとされています。
「狼」は動物のオオカミのことを指しますが、ここでの「狼」は架空の生物を指します。
「狽」も実在しない架空の生物を指しているのだとか。
これらは唐代「酉陽雑俎」にあるエピソードから来ています。
その昔、前脚が長い「狼」という獣と後脚が長い「狽」という獣がいたそうです。
それら「狼」と「狽」はお互いに手足の長さが違うため、一緒になって歩かないと転んでしまうのだとか。
そこから現在のような意味が生じたと思われます。
なお、これら「狼狽」も擬態語の一種です。
「周章狼狽」の類義語
最後に「周章狼狽」の類義語を見ていきましょう。
右往左往
「右往左往」とは混乱して右に行ったり左に行ったりすることを言います。
どうしてよいのかわからずうろうろとさまよってしまうことを意味する表現です。
それだけでなく、混乱して秩序がないことの例えとしても使用されることが多いです。
ちなみに「右左」は文字通り右と左を意味しています。
「往」は行くという意味を持っています。
要は右や左に行き来することを言うわけです。
それらあっちへ行ったりこっちへ行ったりと動揺している様子が「周章狼狽」に通ずるのではないでしょうか。
心慌意乱
「心慌意乱」とは慌てて心が乱れ、何がなんだかわからなくなる状態のことです。
「心慌」は焦って慌ててしまうことを意味します。
「意乱」は心が入り乱れて混乱することを意味します。
つまり、何が何だかわからない状態になっていることを言う言葉なのです。
それら酷く動揺している様子が「周章狼狽」と同じです。
まとめ
「周章狼狽」は訳がわからなくなるほど動揺することを意味する四字熟語です。
特に大いに慌てふためいて激しくうろたえることなども表す四字熟語となっています。
これらは「周章」と「狼狽」それぞれに分けても、同じ意味で通用する熟語となっています。
むしろ現代ではそれぞれが日常生活で使用されていると言えるでしょう。