物事を恐れてびくびくする様子のことを「戦々恐々(せんせんきょうきょう)」と言います。
これら「戦々恐々」は特定の物事に怯えることも意味します。
しかし、なぜ「戦々恐々」と表現されるのででしょうか。
今回はそれら「戦々恐々」がどのような言葉なのか解説します。
ここではその意味はもちろん、成り立ちや類義語についてもまとめます。
「戦々恐々」とは
まずは「戦々恐々」の意味について見ていきましょう。
「戦々恐々」の意味
「戦々恐々」とは物事を恐れてびくびくしている様子を意味します。
また、物事に対して慎重に腰を低く構えることも表す言葉です。
さらに、慎みを持って謙虚にすることも指す言葉となります。
ただし、現代では単純に怖がること全般を意味することが多いです。
何かに対して特に怯えるような様子を「戦々恐々」と表現します。
なお「戦々」も「恐々」もそれぞれ単独で同じ意味を持つ言葉です。
四字熟語にはこのように同じ意味の熟語を重ねて意味を強調するものがいくつか見られます。
「戦々恐々」の用い方・例文
「戦々恐々」は特定の状況に対して恐れるような場面で使用します。
例えば「リストラ宣告に戦々恐々とする」のように使用します。
この場合はリストラという具体的なものに対して恐れることを言うわけです。
特に「戦々恐々」は具体的な対象に恐れを抱く様子を意味します。
そのため、漠然とした不安や心配などに「戦々恐々」を使用することはあまり多くありません。
逆に「取引先へのミスが発覚して戦々恐々とする」というように、特定の事柄に対して恐れる場面で使用されます。
そこは怯えること全般にも使用されるため、意外にも幅広い表現と言えるでしょう。
「戦々恐々」の成り立ち
では「戦々恐々」はどこから来た言葉なのでしょうか?
ここからは「戦々恐々」の成り立ちについてまとめます。
「戦」は「たたかい」ではなく「おののく」の意味
「戦々恐々」と聞くと、戦争などの戦闘に怯えることを意味するように思えます。
確かに「恐」は特定のことに対して怯えるような様子を意味します。
しかし、その一方で「戦」は「たたかい」ではなく「おののく」様子を意味する言葉となっているのです。
そこは戦争や戦闘などは関係ないので、間違わないように注意したいところです。
「戦々恐々」の由来は不安になる行動の描写から
「戦々恐々」は古代中国の書物「詩経」から来ているそうです。
事実、その一節に「戦戦兢兢、如臨深淵、如履薄氷」とあります。
この一節は深い溝淵を覗き込んだり、薄い氷の上を歩いたりする際のように慎重で謙虚な行動をすることを意味する言葉です。
「戦々恐々」はその一部である「戦戦兢兢」の部分が転訛したものと考えられているわけです。
実際に「戦々恐々」の別表記には「戦々兢々」などもあります。
つまり「戦々恐々」は「詩経」から伝わった四字熟語ということです。
「戦々恐々」の類義語
最後に「戦々恐々」の類義語についても見ておきましょう。
「戦々恐々」の類義語には「小心翼々」や「薄氷を踏む思い」などがあります。
小心翼々
「小心翼々」とは臆病でいつも何かに恐れていることの例えです。
これらは単におどおどしていることの例えとしても使用されます。
「小心」は気が小さくて臆病なことを意味する言葉です。
「翼々」は傷つけられぬようにかばうことを意味します。
つまりは常に何かを恐れているような様子を言う言葉となります
ちなみに、現在は批判的な意味で使用されることの方が多いです。
ただ、もともとは細かい気配りができて慎み深いことを言いました。
そういった点も含めて「戦々恐々」に通ずるものがあると言えるのではないでしょうか。
薄氷を踏む思い
「薄氷を踏む思い」とは非常に危険な状況に挑むことの例えです。
これらはもともと「深淵に臨んで薄氷を踏むが如し」という慣用句として使用されていました。
すでに気づいている方も多いかもしれませんが、これらの表現も「戦々恐々」と同じ「詩経」の一節から来ています。
そういった点でも意味が似ている言葉と言えるでしょう。
まとめ
「戦々恐々」は特定のことにびくびくする様子を言います。
これらは「戦々」「恐々」という同じ意味の熟語を重ねて作られている四字熟語となっています。
どちらも何かに対して怯えることを言った表現です。
これらは「詩経」から来た言葉であり、日常生活でも多々使用されます。
ぜひ、その意味は正しく覚えておきましょう。