年末年始の神社や、冬の街角で販売されている「甘酒」。
ホッとする甘さとじんわり来る温かさで冬の厳しい寒さにぬくもりをくれる優しい飲み物ですね。
そんな冬の飲み物という印象が強い「甘酒」ですが、実は夏にこそ甘酒は飲むべきといわれることもある、というのをご存知でしょうか?
「飲む点滴」とも言われる甘酒にはどのような栄養や効果があるとされるのかという点と併せて解説します。
健康にいいといわれるのは「米麹甘酒」
甘酒には材料の異なる2タイプがあります。
一つは蒸した米に麹菌を付けて発酵させた「米麹」から作るものと、日本酒のもろみを圧搾したあとに残る「酒粕」から作るものです。
米麹甘酒とは
米麹甘酒は名前に酒と付きますが、アルコール成分は含まれていません。
また、甘味も米麹の持つ甘さだけで作られていますので、加糖されていないのでカロリーはその分控えめになっています。
ブドウ糖を含み、他の栄養価も豊富なことから、「飲む点滴」と言われているのはこの米麹甘酒のことになります。
酒粕甘酒には気を付けて!
日本酒のもろみが原料となっている酒粕から作る甘酒は、製造過程で加糖していることからカロリーが高くなっています。
また、お酒を使用している事からアルコール成分が含まれています。
ですから、アルコールに弱い人やこども、そして妊娠中の人は飲むのがおすすめされない飲み物です。
一方で、酒粕甘酒はアルコールを含んでいるので体が温まりやすくなりますから屋外など体が冷えやすい環境での摂取は推奨される飲み物となります。
また、食物繊維を豊富に含んでいることから、便秘に悩む人も酒粕甘酒を飲むと悩みが解決する事があるかもしれません。
「飲む点滴」といわれる理由
米麹甘酒が「飲む点滴」といわれる理由、それは含まれる豊富な栄養価にあります。
必須アミノ酸9種全て含む米麹甘酒
人体を構成する20種類あるといわれるアミノ酸。
その中には、体内で合成できないので食事などで摂取する必要のあるものがあります。
この体外から栄養として摂る必要のあるアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。
人間の場合、下記9種類のアミノ酸を食事などで摂る必要があリます。
・リジン
・フェニルアラニン
・ロイシン
・イソロイシン
・メチオニン
・バリン
・スレオニン
・トリプトファン
・ヒスチジン
実は、米麹甘酒にはこの9種の必須アミノ酸全て含まれています。
つまり、米麹甘酒を飲めば、一度で必須アミノ酸を摂取できるということです。
米麹甘酒に含まれる食物繊維やオリゴ糖!
甘酒に含まれる食物繊維やオリゴ糖。
この2つの栄養素には、腸内の善玉菌を増やし環境を整えるはたらきがあります。
美肌効果があるビタミンBも米麹甘酒に含まれている
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6といったビタミンB群が、米麹甘酒には含まれています。
肌の細胞の活性化、血行促進、老廃物の除去の効果があるとされることから、美肌効果に期待ができるとも。
甘酒は夏にこそ飲む!
冬のイメージの強い甘酒ですが、むしろ夏にこそ飲むべきと言われることもあります。
ブドウ糖には疲労回復効果も
米麹甘酒には、大量のブドウ糖が含まれています。
ブドウ糖はでんぷんなどの糖がすでに分解されている状態なので、摂取すると「糖」として急速に体内に取り込まれます。
疲労には糖の摂取が必須なので、分解済みのブドウ糖を摂取するとより効率的に疲労回復ができるのです。
甘酒は夏の季語
現在では冬に飲まれることの多い甘酒ですが、江戸時代は夏に飲まれるものでした。
現在でも甘酒は夏の季語とされています。
現代とは違い、日常的に栄養不足の多かった江戸時代、暑い夏を乗り切れず倒れる人も多かったそうですが、甘酒を飲むことで夏を乗り切っていました。
飲み方も次第に変わっていき、江戸時代の初期は温かい甘酒を飲んでいたのに対し、中期以降になると冷やした甘酒を飲むようになり、さらに温かいものも冷やしたものも両方供されるようになりました。
現代だと冷やした甘酒というのは珍しい飲み方になっていますね。
まとめ
甘酒が「飲む点滴」と言われているのは、米麹甘酒に多種多量の栄養素が含まれているのが理由です。
米麹甘酒を飲めば、必須アミノ酸の全種だけでなく、腸内環境を整える食物繊維やオリゴ糖、さらに美肌効果を見込めるビタミンB群まで摂取できるのです!!
この米麹甘酒は、江戸時代の倒れそうになっている人たちを助けてきた飲み物でもあるんだとか。