「捲土重来」の意味や由来とは?「臥薪嘗胆」とは何が違う?

2023-09-05 23:00

勢いを盛り返して巻き返す事を意味する「捲土重来」。
この言葉は、古代中国の逸話から生まれた四字熟語です。

同じような成り立ちと意味合いの四字熟語として「臥薪嘗胆」がありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

そこでここでは、「捲土重来」という言葉の意味や用い方、類義語について解説します。

「捲土重来」とは

ここでは、「捲土重来」の意味や例文から用い方について見ていきましょう。

「捲土重来」の意味

「捲土重来」は、一度敗れたり失敗したりした者が再び勢いを盛り返して巻き返すことを意味します。

「捲土」とは土煙が巻き上がることで、勢いの激しいことを意味しています。
「重来」は再びやって来ることですので、表面上の意味としては勢いよく再びやってくるとなります。

「捲土重来」の用い方・例文

「捲土重来」は、諦めず困難に立ち向かい再び立ち上がる様子をあらわします。
逆境にあってもくじけることなく立ち向かい、成功を勝ち取るといった場面で用いられます

個人的な挑戦や目標で使用される場合

・もう立ち直れないかと思うほどの失敗だったが、捲土重来を果たした
・困難な状況だけど、捲土重来の意志を持って頑張ろう

ビジネスや競争の文脈で使用される場合

・競合他社に市場を奪われてしまったが、この新サービスで捲土重来して市場での地位を取り戻す
・我々はこの挫折を乗り越え、捲土重来を成す戦略を展開する必要がある

「捲土重来」の由来

「捲土重来」という言葉は非常に古くから用いられてきました。
その由来について見ていきましょう

詩『題烏江亭』の一節から

「捲土重来」は、中国唐代の詩人「杜牧」の代表的な詩『題烏江亭』の一節を出典としています。

勝敗兵家事不期 包羞忍耻是男児
江東子弟多才俊 捲土重来未可知

(勝敗は兵家も事期せず 羞を包み恥を忍ぶはこれ男児
江東の子弟才俊多し 捲土重来も未だ知るべからず)

詩のタイトルに含まれる烏江亭は、西楚の覇王と言われた「項羽」が前漢の高祖「劉邦」に唯一敗北を喫した垓下の戦いで逃げてきた地です。
しかし、追っ手から逃げることができず、ついにこの地で命を落としたとされています。

この詩では、項羽の生まれた江東と呼ばれる地域には才能あふれる人物が多かったので、もう一度勢いよく劉邦に挑んでいればどんな結果になっていたか分からないと詠んでいます。

項羽が討たれてから千年後に詠まれた『題烏江亭』

題烏江亭を詠んだcは、前述の通り唐代の人物です。
それに対して、「項羽」が活躍したのは、秦朝滅亡後となる紀元前200年頃です。

項羽が戦場に散ったのが紀元前202年、杜牧が生まれたとされるのが803年のことですから、1000年以上もの間があります。
現代では共に昔むかしの出来事とまとめてしまっていますが、杜牧の時代でも項羽は歴史上の人物だったわけですね。

「臥薪嘗胆」との違い

捲土重来と似たような言葉として「臥薪嘗胆」があります。
この言葉も古代中国で成立したのですが、どのような意味と成り立ちなのかを見ていきましょう。

「臥薪嘗胆」の意味

臥薪嘗胆は、将来の目標達成や成功のために長い期間にわたり苦労を重ねることを意味します。
どれだけ辛く屈辱的でも、我慢して耐え続けることを指す言葉としても用いられます。

座右の銘とされることもありますが、その場合は我慢強さや、苦労や苦心に耐える粘り強さ、そして苦労を重ねても達成しようとする必死さという意味合いが込められます。

「臥薪嘗胆」の由来

臥薪嘗胆は、古代中国の2人の人物の因縁から生まれた言葉です。

中国が春秋戦国時代と呼ばれる時代に、「呉」という国がありました。
この国の王「闔閭(こうりょ)」には「夫差(ふさ)」という息子がいました。

ある時、南の隣国「越」との戦いに敗れ、闔閭自身も余命幾ばくもない大ケガを負いました。
そこで、闔閭は「越が自分の仇だ」という事を夫差に伝え、復讐を願いながら亡くなりました。

この言葉を聞いた夫差は、父の仇を果たすため越国に戦いを挑むことを誓います。
そして、越国を討つという強い気持ちを忘れないように、部下には毎日父の最期の言葉を復唱させ、自分は毎日硬い薪に寝ることにしました。
これが「臥薪」の由来です。

強い復讐心を抱いた夫差は、見事に越王「勾践(こうせん)」を戦で破ると、拿捕することに成功します。
ここで勾践の首を上げればよかったのですが、夫差は命乞いに応じて命を助けてしまいました。

夫差の召使いとなった勾践は、その後国に戻ることを許されました。
しかし、戦に負け召使いにされ屈辱の日々を過ごしてきたことを忘れてはいませんでした。
苦い肝を嘗めて夫差への復讐心を忘れないようにして日々を過ごた末、呉が周辺国との戦いで劣勢になったのを見計らい呉を攻めると、10年の歳月をかけついに決着をつけました。
夫差は自害に追い込み、呉を滅亡させたのです。
この勾践の逸話が「嘗胆」の由来となっています。

そして、両者の逸話を合わせて「臥薪嘗胆」という四字熟語となりました。

「捲土重来」と「臥薪嘗胆」の違い

「捲土重来」と「臥薪嘗胆」はいずれも困難や挫折に立ち向かう姿勢を表現する中国の成語ですが、意味合いにはいくつかの違いがあります。

「捲土重来」は敗北や挫折の後に再び力を蓄え、復活することを指します。
劣勢に立たされたとしても、必要な準備や計画を編むことで再び力を蓄えて戻ってくるという意味合いがあります。

「臥薪嘗胆」は苦難や試練に耐え、自己の意志や決心を鍛えることを指します。
この言葉は困難な状況や逆境に立たされても、忍耐強く努力を続ける姿勢を指す言葉です。

「捲土重来」は力を取り戻すことに焦点を当てているのに対して、「臥薪嘗胆」は困難に立ち向かう姿勢を強調している語句となります。

まとめ

「捲土重来」は再起を図る事を意味する四字熟語です。
失敗しながらも諦めずにチャレンジして成功を果たすというニュアンスでも使用されます。

この言葉は、唐代の詩人「杜牧」が詩の中で項羽が果敢に再度劉邦に挑んでいれば歴史はどうなっていたか分からないと詠んだことに由来します。

  1. 「どこから見ても全員センター」侍ジャパン強化試合チェコ戦オープニングアクト“シリフレ”126人の想い【プレミア12】
  2. 熱海パールスターホテルの中国料理がリニューアル
  3. 厚生年金加入の「106万円の壁」を撤廃へ向け調整 企業規模要件も撤廃へ
  4. 11月8日は『いい歯の日』 ゆすぎは“キャップ1杯”の水?歯ブラシ選びのポイント・交換頻度は? 歯磨き新常識【Nスタ解説】
  5. 水をほとんど使わないコメ作り カギは“ビール”? 新農法はメタンガスも削減【Nスタ解説】
  6. 「完全に冬」東京も8℃ 今季一番の寒さ!おでんや銭湯に行列 週末は気温差・空気の乾燥に注意【Nスタ解説】
  7. 坂本花織、SP今季世界最高で首位発進!千葉&青木が自己ベスト、日本勢男女で表彰台独占の可能性も【NHK杯】
  8. 「率直にお詫び」松本人志さん 訴え取り下げ、女性らに謝罪 松本さん側と文春側 双方コメントどう見る?【Nスタ解説】
  9. 地震学会での批判や指摘に「特段修正の必要ない」 南海トラフ地震臨時情報について評価検討会会長が見解 気象庁も現在のやり方の継続を表明
  10. トランプ陣営に183億円献金 “蜜月”イーロン・マスク氏 要職か? 「AI運転」など利益相反の懸念も【Nスタ解説】
  1. 松本人志さん 訴え取り下げ 復帰は? 文春側もコメント発表「女性らと協議のうえ、取り下げに同意」【Nスタ解説】
  2. 「率直にお詫び」松本人志さん 訴え取り下げ、女性らに謝罪 松本さん側と文春側 双方コメントどう見る?【Nスタ解説】
  3. なぜ追い込まれた?日産9000人のリストラ 社内から「売れる車がない」
  4. 「こんなに食べるのかよ」無人販売店で“馬肉泥棒” 大胆な犯行が防犯カメラに!被害額は13万円以上
  5. リニア中央新幹線のトンネル掘削工事を中断 東京・町田市の住宅で水と気泡
  6. 入院中の三笠宮妃百合子さま 全身の機能低下 孫の彬子さま イギリスから予定変更して急きょ帰国へ
  7. 【速報】文春記事めぐる松本人志さんの名誉毀損訴訟で松本さん側が訴え取り下げを発表 松本さん側が女性に謝罪へ
  8. 携帯大手による“実質値下げ”競争に苦言「行きすぎた値下げは疑問、日本の通信を壊す」ソフトバンク社長
  9. 【松本人志・文藝春秋】双方代理人連名で "裁判終結" を公表 「関係者の静謐を乱す行為や誹謗中傷等は厳にお控えください。 」
  10. 静岡市・久能山東照宮でいましか見られない幻想的なライトアップ!徳川家康の貴重な所蔵品も【すたすた中継】
  11. 教員の給与 働き方改善なら段階的引き上げ 財務省案
  12. トランプ陣営に183億円献金 “蜜月”イーロン・マスク氏 要職か? 「AI運転」など利益相反の懸念も【Nスタ解説】
×