日本銀行が3月にもマイナス金利を解除するのではないかという観測が市場で強まり、1ドル=147円台まで円高が進んでいます。
けさの東京外国為替市場で円相場は1ドル=149円台前半で取引されていましたが、その後、147円80銭台まで1円以上、円高・ドル安が進み、およそ1か月ぶりの水準となりました。
相場を動かしたのは、日銀が早ければ3月にもマイナス金利の解除など、金融政策の大転換に踏み切るのではないかとの観測です。
日銀 植田総裁
「賃金と物価の好循環という観点から、現在進行している春季労使交渉の動向に注目しております」
きょう国会に出席した植田総裁は、2%の物価安定目標について「実現の確度が引き続き少しずつ高まってきている」との認識を示し、「春闘の動向に注目している」と発言。
目標の実現が見通せるようになればマイナス金利の解除など「大規模緩和策の修正を検討する」とした上で、「物価安定の目標のもとで、出口戦略を適切に進めていくことは十分可能である」と自信をのぞかせました。
また、きょう、日銀の金融政策を決める9人のメンバーの1人である中川審議委員が島根県松江市で講演。
日銀 中川順子審議委員
「(物価安定目標の)見通しの実現の確度が引き続き少しずつ高まっているという風に判断しています」
中川氏は物価安定目標を達成する上でカギとなる賃金と物価の好循環が「高水準の企業収益に支えられ、展望できる」との見解を示しました。
その上で、目標の実現が見通せる状況になれば、イールドカーブ・コントロールやETF=上場投資信託の買い入れなどについても「修正の要否を判断する」と話しました。
このほか、けさ発表された1月の実質賃金が去年と比べ0.6%の減少となり、前の月からマイナス幅を縮めたこともマイナス金利の解除観測を高める一因となりました。
政府内でもマイナス金利の解除を容認する意見があるなか、日銀が今月18日、19日と開く金融政策決定会合で大転換に踏み切るのかが焦点となります。