福島県には13年を経ても、重くのしかかる問題があります。福島第一原発事故では、大量の放射性物質がまき散らされ、除染で出た土が福島県内に保管されています。2045年までに、福島県外で最終処分することが決まっていますが、その見通しは立っていません。
【動画】問われる「除染土」の行方 「極めて非科学的」自宅が“中間貯蔵施設”に 福島・大熊町出身の男性が明かす危機感 【つなぐ、つながる】
記者
「中間貯蔵施設に来ています。除染土が1トン以上入った土嚢が無数に積み上げられています。こういった場所が町のいたるところで確認することができます」
除染土を一時保管する中間貯蔵施設。かつて人が住んでいたこの場所に除染土の搬入が始まったのは、9年前です。東京ドーム11杯分の土が保管されています。2045年までに福島県外で最終処分することが法律で決まっていますが、その見通しは立っていません。
環境省の担当者
「まずは多くの人に現状を知ってもらうことも重要だと考えていまして、全国的な理解醸成を進める」
去年から始まった処理水の海洋放出は、十分な理解がない中で進められました。福島では、こうした経緯とその後の社会の状況に、中間貯蔵施設の今後を重ね合わせる声も少なくありません。
中間貯蔵施設の地権者 門馬好春さん
「『福島の復興のため』とか、極めて非科学的な進め方。その辺のところが、国民の共感を得ない」
大熊町出身で、自宅が中間貯蔵施設となっている門馬好春さん。議論が進まない現状に危機感を募らせています。
全国的な理解が得られないままに議論が進めば、福島とそれ以外の地域で対立が起こるのではないかと、懸念しています。
中間貯蔵施設の地権者 門馬好春さん
「本来、国側が批判を受けなければいけないが、(現状のままでは)いつの間にか批判の矛先が福島県に向けられてくる。事故を起こしたわけではない被害者側に向けられる」
国は最終処分する量を減らすため、除染土を再利用する計画を進めています。
しかし、おととし公表した東京・新宿御苑などでの再利用計画は、暗礁に乗り上げていて、手詰まり感も漂っています。
福島県民との約束の期限まで、残り21年。県外処分への道のりは、まだスタートにも立っていないのが現状です。
中間貯蔵施設の地権者 門馬好春さん
「30年でも短いのに、あと21年に近づいているなかで、やはり時間というのは非常に足りない」