今年の春闘は大企業の集中回答日を迎え、去年を上回る大幅な賃上げ表明が相次ぎました。
【動画】春闘 大企業の集中回答日 去年超える大幅賃上げ相次ぐ 中小や非正規雇用の労働者にまで賃上げの動きを広げられるか
「物価が上がっているので、もっと(賃金も)上がってほしい」
「(賃金が)追いついていかないかな。物価がどんどん上がっていくので」
例年以上に高まる賃上げへの期待。きょう、大きな“ヤマ場”を迎えました。
午後2時。キリンホールディングスの本社では、経営側と労働組合の交渉が行われていました。そして先ほど、経営側が示したのは“初めて”の満額回答でした。
キリンHD 坪井純子 取締役
「長い目で人的投資を増やしていきたい」
妥結した賃上げは、ベースアップと定期昇給分を合わて平均で7.5%。去年を上回る賃上げで、過去最高水準です。
記者
「今まさに記入が行われているんですが、ボードを見てみると満額の文字がずらりと並んでいます」
今年の春闘で大企業から相次いだのは、満額回答や組合の要求額を上回る大幅な賃上げです。
トヨタ自動車 総務・人事本部 東崇徳 本部長
「賃金・賞与とも過去最高の水準でございます」
トヨタ自動車は4年連続の満額回答。過去最高の水準となりました。
日本製鉄は、組合が要求したベースアップ相当分を上回る月額3万5000円で回答。こちらも過去最高額です。
日本製鉄 三好忠滿 人事労政部長
「一流の処遇ということで、従業員には一流の水準にふさわしい、一流の実力をつけて生産性向上などに最大限発揮することを強く望んでいます」
日立製作所や三菱電機などもそろって満額回答で、「去年を上回る賃上げ」が並びました。
大企業が大幅な賃上げを決めた理由。それは、物価高と人手不足です。
日立製作所 田中憲一 常務
「高い物価が続いている。賃金を引き上げることで優秀な人材を確保する」
実質賃金は22か月連続のマイナスで、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていません。
また、日本はこの30年、賃金が伸びておらず、人手不足が深刻化する中、人材を確保するには賃上げが欠かせないのです。
その一方で…。
「非正規労働者は闘うぞ」
きょう、都内で声をあげたのは非正規雇用で働く人たち。一律10%以上の賃上げを求めてストライキを行いました。
賃上げを求めてきましたが、企業からは満足な回答が得られませんでした。
スーパーでアルバイトとして働く人
「どれだけ忙しくても賃金が上がることはないし、評価されることがなかった」
中小や非正規雇用の労働者にまで賃上げの動きを広げられるかが今後の焦点です。