身近な動物たちにまつわる噂や言い伝えは数々ありますが、中でも猫にまつわる話は種類が多く、内容も多岐にわたっています。中にはすぐに「嘘でしょう」と疑う話もありますが、「もしかしたら本当?」と信じてしまうようなものも混じっています。猫にまつわるよくある噂をランキング形式で紹介し、その真偽についても考えてみたいと思います。
なぜか猫に多い噂話
私たち人間にとって身近な動物といえば、犬と猫でしょう。歴史的には、猫よりも犬の方が先に人と一緒に暮らし始めています。しかし不思議なことに、ことわざや言い伝え、噂話の類は、猫の方が数も内容の幅も多いように感じます。
犬といえば、忠犬ハチ公や南極物語といった、忠実さや人間の犠牲になったかわいそうな話が多いのですが、なぜか猫には少し冷めた視線を感じるような話が多いのも印象的です。
猫にまつわるよくある噂ランキング
今回は、猫にまつわるよくある噂話をランキング形式でご紹介するとともに、分かる範囲でその真偽についても考えてみたいと思います。
第1位:『犬は人につくが猫は家につく』
集団行動する習性の犬は、たとえ引越しても一緒に暮らす「家族」がいればすぐに新しい環境にも馴染めます。
しかし、単独行動する習性の猫は、「住環境」がとても大切。そのため、たとえご家族と一緒でも、新しい環境にはなかなか馴染めません。
『犬は人につくが猫は家につく』という噂は、犬と猫の習性の違いを端的に表しています。しかし、猫は人にもよく懐きます。そのため、完全に間違っているとは言えませんが、「真」とも言い切れません。
第2位:『猫は死に際を人に見せない』
昭和の時代は、飼い猫が家の中と外を自由に行き来しているのが一般的でした。そのため、飼い猫が家に戻って来なくなることがよくあったようです。
また、人目に触れない場所で猫の亡骸が見つかることも多かったため、こういう噂が広まったのでしょう。
猫に「死」という概念はないと考えられており、死に際のことを考えることもないはずです。具合が悪くなり、安全な場所に身を潜めて体力の回復を待っていたものの、残念なことに回復できず、そのまま亡くなったというのが事実だと思われます。
第3位:『猫には霊が見える』
家の中でくつろいでいた猫が、突然動きを止めて一点を真剣な顔で見つめている…。そんな光景を目にした飼い主さんは多いはずです。猫のそのような様子を目にして、(猫には霊が見えるのだ)と思われるようになったのでしょう。
実際は、人間には聞こえない壁の中の排水管の音や虫の声などに集中しているのだろう、と考えられています。
第4位:『猫は9回生まれ変わる』
『猫は9回生まれ変わる』ということが、まことしやかに囁かれています。中には、生まれ変わって飼い主のもとに戻ってくるという噂まであります。実態は、臆病で慎重かつ身体能力の高い、猫の危機回避能力の高さを表した言葉なのでしょう。
1560年に出版された、イギリスの小説家ウィリアム・ボールドウィンの『猫にご用心』という小説や、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の中にもこれに類する表現があるということなので、起源は海外のようです。
第5位:『猫はペットボトルに近づかない』
門の前に水の入ったペットボトルがたくさん並べられている家をよく見かけます。野良猫が敷地内に侵入するのを防ぐために置かれているのです。
最初は見慣れないために、猫も警戒して近寄らないでしょうが、実害のないことが分かれば、全く効果がないはずです。
第6位:『黒猫が横切ると不吉』
中世ヨーロッパでは、「魔女狩り」が行われました。その際、黒猫は魔女の使いだという噂が広まり、一緒に迫害を受けたという暗い歴史があります。
その影響で、欧米では未だに黒猫は不幸の象徴だとの考えが残っているようです。
第7位:『黒猫は幸運をもたらす』
日本では、黒猫は「福猫」と言われて大切にされていました。日本で初めて飼い猫についての記録が残っているのは、平安時代の宇多天皇の日記です。そして、その宇多天皇が大切に世話をしていた猫も、黒猫でした。
江戸時代には『黒猫を飼うと結核が治る』という噂が広まり、黒猫のブームが訪れました。今でも、黒い招き猫には魔除けや厄除けの意味があるとされています。
第8位:『猫にアワビを食べさせると耳が落ちる』
猫と一緒に暮らしている方なら、「アワビを食べると猫の耳が落ちるので、決して食べさせてはいけない」という話を耳にしたことがあるでしょう。
アワビの内臓には、クロロフィルという成分が含まれています。これを猫が摂取し、日光にあたると炎症を起こします。猫の耳の毛はとても薄く、日光にあたりやすいために炎症が起きやすく、激しいかゆみでかきむしるためにこのような噂になったのでしょう。
第9位:『猫は味にうるさい』
猫はせっかく出したフードに口をつけず、またいで通り越してしまうことがあります。そのため、猫は味にうるさいとかグルメだとかいわれています。
しかし、人間と比べると猫の味に関する感度は低いです。苦味や酸味には敏感ですが、糖分の甘みはほとんど認識できないといわれています。
実際には、味ではなく、嗅覚で美味しさを判断しているようです。
第10位:『猫が顔を洗うと雨が降る』
これは、猫のひげの敏感さを表している言葉です。猫のひげは、湿度の細かな変化も敏感に察知するため、雨が降りそうになると顔を洗う頻度が増すということです。
猫は習慣的に顔を洗いますので、普段の様子を把握していないと、天気予報には使えないでしょう。
まとめ
生活に密着した天気予報から幽霊まで、猫の噂は数も内容の幅も多岐にわたることが分かりました。それだけ、猫は世界中の人々に親しまれ、かわいがられてきたということなのではないでしょうか。
黒猫迫害のような不幸な歴史は二度と繰り返さずに、猫たちと人間とが、共に快適で幸せに暮らしていける世の中にしたいものです。
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