猫の口腔トラブルで『抜歯』をするメリット・デメリット 食べるのに支障はないの?

2024-04-03 11:00

猫は歯肉炎や歯周炎、口内炎など口腔内の病気にかかりやすい動物です。単純な歯周病を除き、猫の多くの口腔トラブルの原因は完全には分かっておらず、症状を緩和する対症療法が主体です。その中のひとつが抜歯です。抜歯は一見残酷に思えるかもしれませんが、痛みが治らない猫のQOL(生活の質)を守るために有効な処置でもあります。ここでは、猫の抜歯治療のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

抜歯が必要になる猫の口腔トラブル

ソファに顔を押し付けている猫

猫の抜歯が必要となる原因は、「歯周病」や「歯の破折」、「難治性口内炎」などがあります。

歯周病

歯周病は猫にとって一般的な病気で、3歳以上の猫では約7〜8割が歯周病になっているといわれています。

歯周病は、細菌による歯肉の炎症が原因です。歯と歯肉の間に細菌が繁殖し、歯肉に炎症を起こすのですが、あごにまで到達してしまうと骨まで溶けてしまうリスクがあります。

歯周病と似たような症状では、「吸収病巣」というものもあります。原因は十分に解明できていませんが、本来、乳歯の根っこを溶かして永久歯に入れ替える働きをする吸収細胞が、永久歯まで破壊してしまうとされる病気です。

どちらも症状が進むと、歯肉が炎症し、歯がグラグラして、強い痛みを伴います。

痛みによって食欲が低下してしまうため、ステロイドなどの消炎剤や痛み止め、抗生物質で対処することもあります。とはいえ、これらだけでは根本的解決とならないため、抜歯が推奨されるケースが多いです。

歯の破折

歯の破折は、けんかや事故、硬いものを無理やり噛んだことなどによって起こります。

露出した歯髄から菌が入ると、歯根や全身に菌が回り、身体全体にも影響する恐れがあるため、あまり痛がっていなくても放置するのは危険です。

破折により抜歯するか、歯冠治療や歯内治療など抜歯しない治療ができるかどうかは、折れ方などにもよって異なります。歯の特殊治療の中には歯科専門獣医でないとできないものもあるため、早めにかかりつけ獣医へ相談することが望まれます。

難治性口内炎

歯周病は3歳以上から高齢まで年齢を重ねるほど進行していきますが、さらに若いうちから口内炎に苦しむ猫も多く存在します。特に尾側口内炎と呼ばれる口腔内の奥で起きる口内炎は難治性の場合が多く、抗生剤や痛み止め、消炎剤などの内科的治療だけでは完治しないケースがほとんどです。

この難治性の口内炎に対して、全臼歯抜歯または全顎抜歯など広範な抜歯が行われる場合があります。歯は口腔内で感染巣になりやすい部位なので、できるだけ抜いてしまおう、という治療法です。

ほぼ全ての歯を抜くことになるので抵抗があるかもしれませんし、100%良くなるという保証もありません。しかし、口内炎による腫れがひどく、痛みで飲み込むことも辛くなるような場合はこの治療法が推奨される場合もあります。

抜歯で期待できる効果(メリット)

子猫のあくび

抜歯直後はもちろん痛みがありますが、長期的に見ると抜歯には、根本的な猫のQOLを改善するメリットがあります。

猫は歯がなくても咀嚼せずに食事を摂れるため、生活上の問題となることはあまりありません。

逆に、病巣となっている歯を放置すれば、口腔内や全身にも影響が及ぶ可能性があります。

歯肉の炎症は強い痛みがあるため、猫は食事を摂れなくなり、そこから引き起こされる弊害(肝臓や腎臓の悪化、脱水、衰弱など)が懸念されるからです。

抜歯によって問題の歯、あるいは、すべての歯を取り除くことで、病原菌が溜まりにくくなるため、痛みを除去して適切に食事ができる状態にし、それ以上の感染を予防する効果があるのです。

その結果、飲食がラクになり、栄養状態が改善されるなどと健康的な生活を取り戻せるでしょう。

抜歯をする際の問題点(デメリット)

オレンジ背景のグレー猫

猫の口腔トラブルによる抜歯にも、デメリットはあります。手術のための全身麻酔のリスクや費用の負担などです。

抜歯は全身麻酔下で行われるため、特に高齢猫や基礎疾患のある猫では十分な配慮が必要です。

これは飼い主側が受診前に警戒することではなく、あくまでも担当する獣医師による事前検査や経験による見解を参考にしましょう。

また、猫の抜歯は年齢や持病によって日帰りの場合もあれば1泊以上の入院となることもあります。一概には言えませんが、手術費用のほかに検査費用や入院管理費などがかかり、病院や猫の状態によって、およそ5万〜18万円程度の差があります。

このような費用のデメリットは、飼い主側にあるため、猫の健康の重要さを慎重に判断する必要があるでしょう。

猫の抜歯後はどうなる?

食事をするグレー猫

抜歯手術後の数日は、入院の疲れや抜歯した部位が痛むことがあり、猫もすこし元気がないかも知れません。

もし、依頼する病院が疼痛管理に力を入れている場合、極力痛みを感じないように処置してくれますので、手術前に確認しておくとよいでしょう。

猫は、歯がなくても食事に困ることはあまりありませんが、抜歯した傷がふさがる10日~2週間くらいは、ウエットフードなど柔らかくて食べやすいものを与えましょう。

長期的には、歯がないことで口腔内の細菌増殖が減るので、免疫疾患などがない限りは、口腔内炎症は改善が期待できます。

ただし、基礎疾患(猫エイズ、腎不全など)で抜歯後も口内の炎症が治らないケースもあることに留意しましょう。

まとめ

歯科検診

猫の抜歯について、メリット・デメリットを解説しました。

口内に痛みのために食欲が低下すれば、猫のQOLが低下してしまいますから、獣医師から抜歯を提案されたら、前向きに検討したほうが猫のためにもなるでしょう。

猫の口腔内の状態は外見からはわかりにくいため、定期的に健康診断を受けて診てもらうとよいかもしれません。

早期に発見・治療ができれば、抜歯になる前に症状を止められるケースもあります。

一方で、やむを得ず獣医師から抜歯を提案された場合には、猫の健康を最優先に考え、獣医師と相談しながら抜歯の是非を慎重に判断してください。

猫の口腔内の健康は、飼い主さんの積極的な関与が欠かせません。かかりつけの獣医師と協力して、猫の健康やQOLの維持に努めていきましょう。

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