「弾丸登山」や「ポイ捨て」、「混雑」など防ぐ目的…富士山で予約システム開始へ 「吉田ルート」で通行料2000円【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-14 20:58

7月の山開きを前に、富士山の山梨県側の登山ルートで5月20日から事前予約の受付が始まります。外国人観光客を中心に大人気の富士山、混雑回避の狙いがあります。

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富士登山に今夏予約システム導入へ 山梨側ルートは通行料2000円徴収

南波雅俊キャスター:
2023年夏季の富士山登山者数が22万1322人で、20万人を超えたのは2019年のコロナ前以来ということで、登山者はかなり増えてきています。

そのうち約6割が山梨側の「吉田ルート」を通るため、「吉田ルート」に予約制度が導入されるということです。

富士宮ルート(静岡):五合目(約2400m)登山客の約22%
御殿場ルート(静岡):五合目(約1450m)登山客の約7%
須走ルート(静岡):五合目(約2000m)登山客の約9%
吉田ルート(山梨):五合目(約2300m)登山客の約62%

新たな取り組みとして7月1日から9月10日までの期間、「吉田ルート」は1日上限4000人までに制限します。

5月20日から予約が開始され、事前の予約枠は1日最大3000人です。これに予約をしていない当日利用客1000人を含め、1日4000人を超えた場合にはゲートを閉じて、通行規制をしていく取り組みです。ゲートを通るために新たに通行料2000円がかかるというわけです。

「吉田ルート」の事前予約から登山までの流れですが、前日までにスマートフォンやパソコンで富士登山オフィシャルサイトから予約・決済を行ってください。日本語に加えて英語や中国語にも対応しています。

当日は5合目受付で予約完了メールのQRコードをかざすことで、リストバンドを受け取ることができます。こうすることで「お金を支払った」という証明になります。

五合目登山ゲートを午後4時から翌日午前3時まで閉鎖します。これも新たな取り組みです。ただ、山小屋を予約している人は、午後4時以降も通行可能で、通行予約がなくても登山ができるということです。

混雑緩和だけでなく…ごみのポイ捨て、登山道での仮眠などを減らす維持・管理の狙いも

規制を行う背景には、▼混雑緩和や、▼増えているごみのポイ捨てを減らす、▼ゲートを閉じるという意味では、深夜に出て早朝に御来光を見るという▼「弾丸登山」の防止です。体調不良になる登山客も増えているそうです。また、▼それに伴う登山道での仮眠なども増えているので、こういったことをなくしていきたいという狙いがあります。

ホラン千秋キャスター:
2023年は1日4000人を超えた日が5日間しかなかったということですが、この先はもっと増えるという見通しなのでしょうか。

南波キャスター:
コロナ前には1日4000人を超えていた日が10日以上あったということもありますし、今は海外からの登山客も増えているという現状もあります。

通行料の2000円を徴収することで、通訳など外国人のサポートや、巡回での呼びかけを増やすという部分にもお金が使われます。ごみのポイ捨てを減らしたり、「弾丸登山をやめてください」という呼びかけにも繋げる狙いがあるのではないかと思います。

ホランキャスター:
弾丸登山されないようにゲートを閉鎖したり、ごみのポイ捨てを掃除するお金であったり、維持管理の部分ですね。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
人数を絞ることが目的というよりも、登る人に対して「事前にしっかり準備してから来てほしい」というところと、お金の部分で、やはりこれだけ人が集まれば消費していく物や管理しなければいけないものも増えますから、(維持管理という)そちらの意味合いが強いのかなと思います。

井上貴博キャスター:
富士山はもちろんですが、全国各地でオーバーツーリズム問題が言われるようになっていますので、各観光地がお金を徴収しても良いのではないかなと思います。徴収しないところがあれば、それによって分散化もできるのではないでしょうか。

例えば富士山なら1万円など、もう少し値段を高く設定して、一方で地元の人は申請時に割引が受けられるとか、そういうことを前向きに考えていくべき時なのではないかと思います。

3つの登山ルートがある静岡県は登山計画などの登録を「促す」のみ

南波キャスター:
一方で、静岡県側には3つのルートがあります。こちらはこれまでも任意で協力金1000円を徴収していました。

新たな取り組みとして、社会実験として登山計画などを記入するウェブでの事前登録を促すということですが、こちらも任意です。

静岡県の富士山世界遺産課は「来年以降に向けて山梨県の状況を見ながら、富士山の管理のあり方についてしっかり取り組んでいきたい」として、弾丸登山など注意を呼びかけています。

山梨県は条例でお金の徴収やゲートを作ることができる状況ですが、静岡県はまだ条例が整備されていないため、こういった呼びかけにとどまっている状況です。

井上キャスター:
何でも無料で恩恵が受けられるという意識は徐々に変えるべきなのかもしれません。

元競泳日本代表 松田さん:
何かトラブルがあったときには誰かが探しに行かなくてはいけませんから、誰が山に入っているのかということは、しっかり把握できた方がいいと思います。

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<プロフィール>
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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