「心が折れそうになる」電気・ガス補助金終了で飲食店から悲鳴 標準的な家庭でも年2.2万円負担増との試算も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-24 20:30

4月の全国の消費者物価は去年より2.2%上昇しました。伸び率は2か月続けて縮小したものの、物価上昇のペースは今後、再び加速しそうです。そのワケとは…

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物価上昇ペース再加速も

都内のラーメン店。1杯950円の味噌ラーメンが看板商品ですが…

味噌らーめん専門黒勝 石黒勝也 店主
「食材費が上がって、ラーメン(の値段)を上げたい気持ちはあるけど、一番安い味噌ラーメンが1100円ってなると、やっぱりちょっと高いなと思われる」

円安の影響などで、麺の原料となる小麦粉の仕入れ値が上がっているほか、チャーシューもおよそ25%値上がりしました。

きょう発表された4月の全国の消費者物価は、去年の同じ月より2.2%上昇しました。伸び率は2か月連続で縮小したものの、日銀が目標とする2%を上回る状況が続いています

この上昇ペースを再び加速させる可能性が高いのが、電気とガス料金の補助金の打ち切りです。政府は物価高対策として続けてきた補助金を今月の使用分で終了。6月以降は電気代やガス代が値上がりする見込みです。

こちらの店では、営業時間中、常に温め続けているスープの火を客が少ないときには、弱くしてガス代を節約。光熱費を抑えるため、エアコンのフィルターもこまめに掃除しています。

味噌らーめん専門黒勝 石黒勝也 店主
「(夏は)エアコンとか扇風機とか使うので、必然的に電気代は上がっていく。正直やっぱり心が折れそうになる」

影響は私たちの家計にも…

民間のシンクタンクによると、電気・ガス補助金の終了で標準的な家庭では年間で2万2000円負担が増えると試算。さらに、今月からは再生可能エネルギーの普及のため、電気代に上乗せしている料金も値上がりし、家計への負担は増すばかりです。

岸田総理
「来月からは1人4万円の所得税・住民税の定額減税を行い、物価上昇を上回る所得を必ず実現してまいります」

来月からは岸田政権の“目玉政策”である所得税と住民税の定額減税が始まりますが、その効果をどこまで実感できるかは不透明です。

標準世帯では年間で約3万2000円の負担増と試算…定額減税の恩恵は?

日比麻音子キャスター:
ウクライナ侵攻により燃料価格の高騰が起きたことに対し、電気・ガス料金に補助を出して負担を抑えていましたが、これが6月から終了ということになります。

民間のシンクタンクによると、補助金の終了による年間負担増は2万2000円程度、そして再エネ賦課金の増額は1万円程度といわれているため、4人くらいの標準世帯の場合、年間で約3万2000円の負担が増えることになります。

すでにもう気温が上がっていて、厳しい暑さが予想されています。命を守るために電気を使わなければならないというシーンが増えてきますから、この負担をどのように乗り切っていくかというところですね。

南波雅俊キャスター:
飲食店の皆さんも大変でしょうが、私たちも生活するなかで、特に高齢者の方などはエアコンの使用を控えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。そこだけはやはり命を守る、身体を守るという意味でもしっかりしていただきたいと思いますし、自分たちもしていかなくてはと思います。

日比キャスター:
今後の見立てについてはTBSテレビ経済部の蓮井啓介記者によると、補助金が終了したことで、1人4万円の定額減税による個人消費の回復に水を差す可能性があるのではないかということです。

今後心配な点としては「歴史的な円安水準」の影響で、夏以降に価格転嫁の可能性もと指摘しています。

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