「朝起きて盗んでの繰り返し」抜け出せない貧しさに若者が吐き出す怒り 南アフリカ総選挙 政治不信強まる“ボーン・フリー世代”が鍵

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-29 12:20

シリーズ「現場から、」です。BRICS=新興5か国の一角として世界から注目される南アフリカで、きょう総選挙が行われます。今回、結果を左右するとされているのが、その多くが格差に苦しめられている若い世代です。

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アフリカ有数の経済大国、南アフリカ。ところが、今も国民の6割が貧困ライン以下で暮らしています。

記者
「駅なんですが、数年前まで電車が運行していたんですけれども、レールや電線が盗まれる被害が相次ぎ、今は電車が運行できなくなっています」

新型コロナ以降、貧しさに追い打ちをかけられた市民による略奪が横行しました。

さらに、街を歩くと…

「(Q.何しているの?)食べ物を買うために、お金を稼ごうと思って」

まさに今、建物から鉄を剝がし、盗んできたという集団がいました。

「朝起きてはここに来て、盗んでの繰り返しです。仕事がないから」
「働いたことがないです。(Q.仕事を探そうとはした?)はい。でも見つからなかった」
「(Q.どうやって生計を立てている?)盗みです」

南アフリカの失業率は30%あまり。全員働き盛りの20代にもかかわらず、仕事がなく犯罪を重ねていると自白します。

南アフリカでは30年前、白人が黒人を差別し統治した「アパルトヘイト=人種隔離政策」が撤廃され、マンデラ大統領率いる初の黒人政権が誕生しました。

以来、与党ANCは国民の絶対的な支持のもと、政権を維持してきました。ところが、30年経った今も人口の1割が富の7割を独占するなど格差は解消されないまま。

国民の支持は失われ、今回の選挙でANCは初めて過半数割れする見通しが強まっています。

特にアパルトヘイト撤廃後に生まれた若い世代は、政治的に自由な「ボーン・フリー世代」と呼ばれ人口の半分にのぼりますが、マンデラ氏やANCに恩義を感じたことがなく、政治不信を強めています。

こうした世代から支持を集めるのが、黒人によるポピュリズム政党「経済的解放の闘士」。

経済的解放の闘士 ンドロジ議員
「EFFは抑圧に耐えてきた人たちの味方です」

白人の土地の強制収用など過激な公約を掲げ、世論調査では支持率は最大野党「民主同盟」に続きます。

今回、初めて投票するという若者に話を聞くと…

初めて投票する人
「多くの人が仕事に就けず、寝る場所や食べるものすらない状況です。そんなのはもう終わるべきなんです。(Q.ANCには投票しない?)投票しないです」
「絶対にありえません」

希望の選挙から30年。若者の選択が注目されます。

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