トヨタなど5社が認証不正…でも安全性「問題ない」?認証の課題とは?取引先1000社超、生産停止で経済への影響も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-06-04 21:41

トヨタ自動車やマツダなど5社が国の認証を不正に取得していた問題で、国土交通省はトヨタ本社に立ち入り検査を行いました。不正をきっかけとした検査は初めてのことです。

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豊田章男会長「認証制度の根底を揺るがすもの」

4日、国交省の検査官はトヨタ自動車本社で試験データの確認をしたほか、担当者への聞き取りを行いました。

トヨタ自動車 豊田章男 会長
「本当に申し訳ございませんでした。こうした行為は認証制度の根底を揺るがすもので、自動車メーカーとして絶対にやってはいけないことだと考えている」

認証不正があったのは、現在も生産中の「ヤリス クロス」など3車種と「クラウン」など生産を終了した4車種のあわせて7車種です。

クラウンで行った衝突試験の映像。今回の不正があった試験ではありませんが、エアバッグの試験で不正があったと報告されました。

こうした試験での不正の影響は広がりをみせています。

オートプラザ・ストリーム 泉谷叡 店長
「こちらが『ヤリス クロス』になります。3年落ちのモデルになるが、今でも人気車種」

扱う車の8割がトヨタ車というこちらの店では在庫を抱えていますが、今後の売れ行き次第では格安で売らざるを得ないといいます。

オートプラザ・ストリーム 泉谷叡 店長
「一般的に出されている価格よりは、かなりマイナスになる。赤字になってしまう」

宮城県のトヨタ自動車東日本の工場では、認証不正の対象となった3車種すべてを生産していますが、6月6日から生産を停止することにしています。生産停止で心配されるのが…

齋藤健 経済産業大臣
「生産停止にともなうサプライヤー(取引先)等への影響を速やかに調査し、その結果を踏まえて、必要な対策について検討したい」

トヨタの3車種だけでも部品メーカーなど、取引先は1000社以上にのぼります。齋藤経産大臣は関連産業全体への影響を調査する考えを明らかにしました。

立ち入り検査を行った国交省は…

斉藤鉄夫 国土交通大臣
「現時点で確認されている限りでは、ダイハツ工業の不正事案に比べ、対象の車種や生産台数は限定的だと認識している」

そのうえで、経済への影響を抑えるため、国の安全性の基準に合うかどうか、確認試験を速やかに行うとしています。

550万人の雇用を支える自動車関連産業で起きた今回の不正は、経済への影響も含め、今後も大きな影響が出そうです。

認証不正があっても安全性に問題はなし…メーカーの言い分、どう捉える?

良原安美キャスター:
自動車などの量産に必要な型式指定の取得を巡り、トヨタ自動車、マツダ、ホンダ、ヤマハ発動機、スズキの5社が認証不正を行っていたと発表しました。

型式指定を取得すると、車検を通さずに車を生産販売できるようになるわけですが、5社で合わせて38車種、500万台を超える車が対象となっています。

5社のうち、トヨタ自動車では現在生産されている3車種(「カローラ フィールダー」「カローラ アクシオ」「ヤリス クロス」)において、歩行者・乗員保護試験での虚偽データを提出していたという不正が発覚しています。

3日、トヨタ自動車の豊田章男会長が会見を行い「今回の問題は、正しい認証プロセスを踏まずに量産、販売してしまった点にある」と説明しました。

マツダの毛籠勝弘社長は、どうして不正を行ってしまったのかということについて、「現場で自己的な解釈を生み、法令に定められた手続きから逸脱する手法をとってしまうことによって生じた」と説明。

ホンダの三部敏宏社長からは「都合のいい技術的解釈と言ってもいいと思います」という説明がされました。

対象の車種に乗っている方も多いと思いますから、安全性が心配されます。各社からは…

トヨタ自動車 豊田章男 会長
「法規に定められた基準はクリアしておりますので、安全にお使いいただける事を確認している」

マツダ 毛籠勝弘 社長
「引き続きお乗りいただいて安全性の問題はございません」

ホンダ 三部敏宏 社長
「使用の継続に当たっては当事案に関して対応いただく必要はございません」

といった説明がなされました。

ホラン千秋キャスター:
不正を行っていたが安全性に問題はないということです。安全性に問題がないのであれば、認証不正をしなければいいのにと思ってしまいます。

自動車評論家 桃田健史さん:
3社の言い分は、あくまでも社内での再試験の結果が「安全」というもので、何かあればメーカーが保証するということです。本来は、国土交通省の検査や再試験の結果を待つのが筋ですよね。

「認証自体が曖昧」自動車評論家が指摘する問題点と課題は?

ホランキャスター:
誰もが知るメーカーで不正が行われる背景にはどのようなことがあるのでしょうか。

自動車評論家 桃田健史さん:
認証自体が曖昧ということが非常に大きいです。3日の会見でも「読み解き方によって違います」という話がありましたし、性善説に基づく部分が多いです。メーカーが行ったものを、そのまま書き写して良いという部分もあり、そうした曖昧な状況が長年ずっと続いてきました。

今回は技術の深掘りと、(認証の)状況がマッチしていないことを知らなかったなど、非常に曖昧な部分があったようです。デジタル化などでブラッシュアップしなければいけません。

井上貴博キャスター:
経営責任や日本経済への影響もあると思います。

立て続けに各社の認証試験の不正が発覚していますが、「安全性には問題がない」という説明で、アンバランスさがあり、どう受け止めて良いのかわかりません。

国も「遺憾であります」というだけではなく、今の認証試験や制度が車の進化に合っているのかという検証も行うべきではないのでしょうか。

自動車評論家 桃田健史さん:
そういった話はずっとありましたし、今回、抜本的な改革をするということで、国土交通省の中で検討会が始まっています。

DX化を徹底して、いつ誰がどこで(認証試験を)行ったかを記録して不正が行われないようなシステムを作らないといけません。さらに、何のための試験で、その試験がどう安全に紐づくのかということを明確にする必要があります。曖昧さが消えない限り、「何のための認証なのか」という印象が残ります。

井上キャスター:
クリアにならないと消費者としては戸惑うだけです。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
電子化、自動化が進んでいて、検査項目も増えているでしょうから、ルールを作る側の歩み寄りと、データを出す側が正しいデータを切り取るということを双方がやっていってほしいです。

自動車産業は日本を支えている産業ですから、世界と比べて後れを取ってほしくないという思いもあります。

ホランキャスター:
「認証は非常にふわっとしている」ということですが、ふわっとした基準から、不正をどう割り出すのでしょうか。

自動車評論家 桃田健史さん:
やらなければいけないことをやっていないなど、単純にイエスかノーで判断できるようになっています。

井上キャスター:
海外メディアもこの問題を批判的に報じるでしょうから、日本の企業価値が損なわれることにもなりかねません。日本の企業価値をどう守って、世界に打ち出していくかという意味でも、認証試験をもう一度吟味してほしいです。

自動車評論家 桃田健史さん:
そのうえで、お客さん第一、信頼第一だと思っています。

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<プロフィール>

桃田健史さん
自動車評論家
専門は自動車産業、自動車技術、交通など

松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父

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