ネーションズリーグの男子大会で、日本代表(世界ランク4位)はアメリカ(同5位)との予選ラウンド最終戦にセットカウント3-0のストレートで勝利した。主将の石川祐希(28)、西田有志(24)が欠場した中、勝利で最終戦を飾り、大会通算成績を9勝3敗とした。「前回大会以上の成績」を目標としている男子日本代表が銀メダルに輝いた女子に続く悲願の決勝進出へ、解説を務めた福澤達哉さん(37)が試合を振り返り、28日から始まるファイナルラウンドについて語った。
【写真を見る】福澤達哉さん、男子日本代表は「チャンスが今目の前にある」 女子に続く悲願の決勝進出へ28日からファイナルR【ネーションズリーグ】
南波雅俊TBSアナウンサー:アメリカ戦、福澤達哉さんとお伝えしてきましたが、3-0のストレートで勝ちました。
福澤さん:おめでとうございます。素晴らしい。(拍手)いい試合でした。途中からただのファンになっちゃって、「すごい!」とか「ナイスレシーブ!」とか言ってましたね(笑)それくらい今日は良かったです。
南波アナ:今日は宮浦(健人、25)行けるぞって第1セットで仰っていて、本当に行ったなと(笑)
福澤さん:そうですね。序盤でサービスエースが出たっていう所と、清水(邦広)選手もよく「バナナサーブ」なんて言ってるんですけど、曲がる、本当に取りずらいサーブを序盤から思い切って打っていた。あとはスパイクの後のパフォーマンスですよね。西田選手の派手なパフォーマンスはイメージあると思うんすけど、宮浦選手のパフォーマンスってあんまりイメージないと思うんで。どっちかっていうと、虎視眈々と侍魂で攻めていく安定した仕事人みたいなイメージでしたけど、昨日のフランス戦辺りから殻を破ったじゃないですけど、チームを引っ張ってくれてましたから。彼自身も大きく成長したポイントですし、彼の成長イコール日本の成長ですから、これはもう期待できますよね。
南波アナ:パフォーマンスという意味ではエバデダン・ラリー選手(23)も。
福澤さん:めちゃめちゃ良かったですよ、ラリー選手、ブロックにスパイクに。ミドルブロッカーっていうと長年切磋琢磨してきている山内晶大選手(30)、小野寺太志選手(28)、髙橋健太郎選手(29)に目が行きがちなんですけど、しっかりその下の世代も育ってきているよっていう所。そういった先輩がいるからこそ、そこに追いつけ追い越せで、パリに出たときに必ず活躍する。そういった印象があるので、ますます全ポジション、若手も含めて、本当に頼もしい期待できる選手がたくさん出てきてるなっていうのを改めて今日感じましたね。
南波アナ:リベロも山本選手(29)と小川選手(27)の「W智大」。
福澤さん:どうします?もうジャンケン(笑)そんなノリじゃ決められないすけど、それくらい頭を悩ましますね、全バレーボールファンの皆さんが「どっちなんだ?」って思ってると思うんですよね。それくらい今日のパフォーマンスも良かったですし、タイプが違うだけに、判断しづらいんですよね。今日の小川選手も本当に素晴らしいポジショニングからの、ここ取られたらまずいなっていう所をしっかり繋いでくれてましたし、今日は拾って拾って拾って、日本は何も攻めてないけど、最後相手がミスって点数になるっていう、まさにレシーブで点数を取ったみたいな。そういったシーンも見られましたから、世界トップリベロが2人いるっていう、そこもまた大きな日本の強みですよね。
南波アナ:深津(旭弘)選手(36)のトスのコンビネーションもよく合ってましたね。
福澤さん:深津に関しては、今日一番感動してます。私の1個下なんですけども、高校の頃から彼のこと知ってるんですよね。非常にナイスガイで本当に明るいキャラクター。チームの中でも先輩後輩関わらず愛されるキャラクターなんですけど、バレーボールに関しては非常に真面目で一生懸命向き合う中で、ネーションズリーグのスタートから、波があるというか思うようにいかない試合もあったりして、本人は悔しいって思う中で、ずっと頭を悩ませながらやってきたと思うんですけど。それでも心折れずに、かつ自分がなぜこの年齢でここに呼ばれてるのかっていうことを、しっかり理解した上で、毎日の練習を過ごしてたのを見てきてたので、やってきたことは裏切らないんだなっていうのを改めて今日の試合で、彼を通して私は感じることができましたし、関田(誠大、30)と深津、2人のセッターが多彩な攻撃を操る。より一層日本のレベル、安定感っていうのが増してくるんじゃないかなと思いますね。
南波アナ:その深津の高いトスにバチンと合わせた甲斐(優斗)選手。
福澤さん:甲斐はやっぱりもうどこで、どのタイミングで大化けするかわからない選手なんですよね。今でさえ、もうパフォーマンスが試合を重ねるごとに上がってきてますけども、やっぱり西田(有志)選手、高橋藍選手がそうであったように、何かきっかけで世界トップにぐっと行く、そういったポテンシャルを持った選手でありますから、今日もあの強心臓と唯一、世界と高さで対抗できる選手。そういったところで日本の一番欲しい技術っていうのが、着実に育ってますから、そういったところも含めて、ますます注目して見ていきたいなと思いますね。
南波アナ:そして日本はこれで予選ラウンドは9勝ということになりました。まだちょっと順位が最終的に確定はしていないんですが(予選ラウンド終了後4位)、ファイナルラウンド出場を既に決めているという状況で、まず準々決勝。今回目標としては、決勝進出がチームの目標ですから、ファイナルラウンドに向けてというところでは?
福澤さん:やっぱりどこと当たっても、このファイナルラウンドっていうのはどっちが勝ってもおかしくないっていう試合になってくると思うんですね。今大会であっても、予選ラウンドを思い返してもらったらわかると思うんですけど、キューバであったりドイツであったり。世界ランクだけで見れば日本が勝つんじゃないかなって序盤に思ってたとしても、相手は素晴らしいパフォーマンスをしてくるわけなので、対戦相手どうこうというよりかは、まずその準々決勝に対してベストなパフォーマンスを気持ちと、身体の面を含めていかに持っていくかというところ、ここはオリンピックと共通するんです。やっぱり対戦相手はどこであろうと1個1個のその試合を勝ち抜いて、勢いを持ってその流れを繋いでいくことで、優勝、メダルに繋がる。これがまさに東京オリンピックの時のフランスがそうだったんですよね。予選ラウンドで、もう他の試合の結果次第で抜けるか抜けられないかわからないっていうところまで追い込まれたチームが、最終的に金メダルに行くわけですから。それをオリンピックの前に自分たちで結果をつかみにいく。そういったチャンスが今目の前にあるわけですから。あとは何度も言うように石川選手がインタビューでも言ってましたけど「銅メダルまでは取った、でも決勝に行って金メダル銀メダルを取るイメージがまだ持ててない」って言うんですよね。それをオリンピック前に持つ一番最後のチャンスでもあるわけなので、そこを持ったらその自信とともに、一気にメダルっていう、オリンピックへのメダルへの道っていうのはぐっと近づいてますから。そういった意味でもこのファイナルラウンド、ますます目が離せないとなってくるんじゃないかなと思いますね。
南波アナ:楽しみです。福澤さんとともにお伝えしてきました。本当にナイスゲームでしたね。
福澤さん:はい、放っておいたらずっと喋ってると思うのでこの辺で終わりたいと思います(笑)
南波アナ:ありがとうございました。