フィリピン政府は、南シナ海で領有権を争う中国側が神経を尖らす軍事拠点への補給活動の予定について、事前に明らかにする方針を示していましたが、一転して「公表はしない」と撤回しました。
南シナ海のアユンギン礁付近で17日、中国海警局がフィリピン軍の補給船に乗り込み「臨検」を行った問題では、兵士1人が大けがをしたほか、複数の兵士が一時拘束されるなどしましたが、フィリピン政府は「誤解に基づく偶発的な事故だった」として、抑制的に対応。中国側との緊張がエスカレートしないよう、軍事拠点への補給活動を予告する方針を明らかにしていました。
しかし、フィリピンのテオドロ国防相は24日の記者会見で、「攻撃的で意図的な武力行使だった」と中国側を非難。「補給活動に関する事前の公表はしない」と一転して、方針を撤回しました。テオドロ氏は「戦争を煽るようなことはせず、平和的な解決を模索する」と強調していますが、中国側の妨害がさらに激しくなる可能性もあります。
方針転換の理由についてフィリピン政府は、「マルコス大統領が当事者の兵士たちに自ら話を聞いて決断した」と説明しています。