猫は見つめられるのが大の苦手です。一方で、飼い主さんを遠慮なく凝視することもしばしばあります。「見つめられるより、見つめていたい」…ヒトの恋愛哲学のような考えがあるのでしょうか。今回は、なぜ愛猫が見つめてくるのか、3つのキーワードをもとに、不思議な行動について考察します。最後まで目を離さずに読んでみてください。
猫にとって見つめる行為とは?
猫同士の見つめ合いは、「敵意」の表明です。やがて唸り合い、場合によっては、ケンカにまで発展します。
ニャンキー漫画で言うと、地元のショッピングセンターで鉢合わせした、スリ中(スリスリ中学)のミケ島とフミ中(フミフミ中学)のクロ谷が、顔面スレスレでメンチを切り合うようなものです。一触即発の危険性をはらんでいます。
よっぽどのことがない限り、猫が相手を凝視することはありません。飼い主さんに鋭い眼差しを向けた場合、攻撃性はなく、何らかの気持ちを訴えかけていると言っていいでしょう。以下、3つのパターンに分けて真意を推測してみます。
1.ねだる
熱視線の中で、おそらく最も強烈な「圧」を感じるのは、ごはんをねだる状況でしょう。猫の体内時計は非常に正確で、定刻通りのごはんタイムが信条です。
いつもの時間が過ぎているのに、飼い主さんが家の用事にかまけていると、愛猫はヤキモキします。あえてすり寄って行かないのは、飼い主さんの多忙ぶりを気遣ってのことです。
背中を焦がすような愛猫の視線にハッと我に返り、ようやくごはんタイムを迎えます。お気に入りのフードをひと通り食べ、満足したかと思いきや、相変わらずの一点凝視。
あまりにも力強い眼差しは、まるで見る者すべてを石に変えてしまうメドゥーサのようです。じっと見つめ返していると、そのうち、飼い主さんは巨大カリカリフードに姿を変えられてしまいます。
食事後も続く熱い視線には「もっとちょうだい!」という意味があります。おかわりに応えるべきか、健康のことを考え、さらっとかわすべきか、飼い主さんの経験と判断力が求められる場面です。巨大カリカリフードにされてしまう前に、迅速に結論を出してみてください。
2.甘える
猫の特権は、好きなときに「甘える」ことです。甘えたいなぁ、という感情が高まると、飼い主さんをじーっと見つめてくることがあります。
その視線ビームを専用のスコープで見てみると、星のようにキラキラ輝く無数のハートマーク。甘えたい感情のベースには、飼い主さんに対する「好きだなぁ」が源泉かけ流しのごとくあふれています。
ごはんの要求以外に、愛猫がじっと見つめてきたら、ゆっくりと瞬きを返してみてください。同じように返してくれたら、飼い主さんの「好きだなぁ」も愛猫にストレートに伝わっているはずです。
3.いじける
クールに思われがちな猫ですが、実は、豊富な感情の持ち主です。同居猫がいる場合、他の猫に対しヤキモチを焼くことがある、と言われています。
たとえば、ごはんの内容や量、あるいは、抱っこやナデナデを含めた対応の違いがあると、猫は優遇されている一方に嫉妬します。
人間の世界だと、そのままサスペンスドラマになるところですが、猫は思慮が深いので、愛憎劇に発展することはありません。ほどよい距離から飼い主さんをじっと見つめることで、「ちぇっ!」と静かにいじけます。
本当はもっと甘えたいのに、素直に甘えられない。みなさんの中にも思い当たる人はいることでしょう。どうやら猫にも人間と同じような感情の動きがあるようです。そこもまた、いとおしく、グッとくるポイントかもしれません。
まとめ
「猫の目はヒトほどにものを言う」という猫格言の通り、猫の眼差しは意外に雄弁です。今回は、凝視の真意として、3つのポイントに絞って解説しました。
野生の世界では、猫同士の見つめ合いは、果たし合いと同じです。一方、愛猫が飼い主さんを見つめるのは、過去の学習効果によるもの。そうすることで、ごはんなどのハッピーな結果が手に入ったからです。
以上のことから、愛猫の凝視には何らかの意図がある、と結論づけたいところですが、相手は他ならぬ猫なので、「ニャーんも、考えてないニャ」という可能性もあります。
見つめる状況ごとに愛猫の心理を想像し、適切な対応を心がければ、飼い主さんはきっと、より多くの「好きだなぁ」ビームを受け取れるはずです。
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