【インタビュー】市原隼人、「本当の正義とは、いまだ誰も分からないのではないか」 WOWOW×テレビ東京『ダブルチート 偽りの警官 Season2』

2024-07-16 08:30

現在WOWOWにて、「WOWOW×テレビ東京 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season2」が放送・配信中だ。Season1の交番勤務の警察官・多家良啓介(向井理)に代わり、俳優の市原隼人が巨大詐欺組織を喰らう詐欺師の主人公・田胡悠人を演じる。社会に蔓延る詐欺事件をテーマにしたクライムエンターテインメントの本作について聞いた。

―社会に蔓延る詐欺事件をテーマにしたクライムエンターテインメントの本作ですが、作品の印象はいかがでしたか。

本当に難しい作品だと思いました。台本の頭から最後まで各プロデューサーや監督陣と一緒に読み合わせを行い、自分が演じる人物をどう見せていくか、話し合いました。今でも(撮影当時)どれが正解なのか答えがでていません。ですが、その逡巡が役にも投影出来ればいいかなと思いました。主人公の田胡はかっこよくもなく、美しくもなく、そして後々美化されることもない人間だと思うんです。ただただ、生々しく生かされている人物なのです。

観てくださるお客様も、結局自身も何かを隠して生きてきたかも知れないと思われたり、少なからず境遇は違くとも、主人公と同じようなことを思ってしまった時もあったのではないかと、思われたりするかも知れません。僕自身も人には見せたくない姿を映像に残してしまっているような気もしていまして、そんな部分からお客様にいろいろと感じていただければと思っています。

―“演じている”人を演じることは難しそうですね。

今回は形で誰かを騙すというところにはまったく着目してはいません。心情的な部分、ヒューマン的な部分を詐欺師の目線で描いています。主人公が誰かを騙している時と部屋に帰った時の心情は、まったく違うんです。田胡悠人という人間は、重い足かせに引っ張られてるような、影をまとった救いようがない人生を送っていますので、ひたすらに田胡の孤独な心情に寄り添う事を意識いたしました。

―圧倒的な詐欺の知識とセンスを誇る田胡悠人ですが、ミステリアスな分、何を大切に演じましたか。

司馬遼太郎さんの本で岡田以蔵が主人公の「人斬り以蔵」に、不幸な子が生まれたという一節があるのですが、田胡悠人も、まるでそのような人生だと思うのです。生まれた時から今作の物語の定めを決められていた不幸な人間なのか、それはどう生きても変えられない定めなのか、そんなことも感じながら撮影を紡いでいました。

―印象的に残っている場面はありますか。

人前で詐欺をする時には凜としているのですが、冒頭の田胡悠人という人物がひとりで歩くだけのシーンなどは胸を真っ直ぐに張れず、小さくなって歩いているんです。トボトボと。一歩前に踏み出すにも重いものを引きずっているような感覚で、そういったところですべて象徴してるかなと思いました。決して胸を張れるような生き方ではないんです。

自分の想いのたけを誰かに伝えるのではなく、常に自分の中での葛藤があり、誰かにそれを押し付けるわけでもなく、誰かに嘆くこともなく、すべて自分で抱えている人間だと。そんな、WOWOW製作ならではの掘り下げた人物像を求めました。

―情報解禁時のコメントで「一つ笑みを零せばすべて崩れてしまうような、そんな繊細な空気感の中で撮影が進んでいく」と言われていたかと思いますが、実際いかがでしたか。

実際そうでした。カメラの前に立つと役としてどうしようもない感情に襲われますし、共演者の方に自分から話しかけることもできなくなるんです。詐欺のシーンはとてもテンポがよく、自分のペースに引き込もうとする話術があるのですが、基本的には覇気がない人物なのです。本当に目立たない人物。そんなセリフも出て来ます。

つまり、元々のスタートラインはどこにでもいる人間で、ひとつの境遇により誰しもが踏み込んでしまう領域なのかなと感じていますので、その部分を映像で表現したいと思っています。

―さまざまな問いかけをしそうな『ダブルチート 偽りの警官 Season2』、この作品と出会ってよかったと思うことはありますか。

より時間を大切にしたいと自分自身は思うようになりました。誰かがまわりにいることや、少しでも笑えていること、そんな環境が当たり前じゃないのだと。いつすべてが崩れるか分からないですし、それと同時に自分の正義というものが、実はそうではないのかも知れないということ。様々な方が、時にわがまままとこだわりの差が分からなくなることもあると思うのですが、改めて正義や道義の難しさを感じさせられました。すべて理解しているようで、全ての概念が崩れていく矛盾した心。本当の正義とはいまだに誰も分からないのではないか、僕自身、そう思わされました。

ヘアメイク:大森裕行 (VANITES)

「WOWOW×テレビ東京 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season2」
WOWOWプライム・WOWOWオンデマンドにて、毎週土曜日 午後10:00~放送・配信中
WOWOWオンデマンド、WOWOW公式YouTubeチャンネルでは、第1話を無料見逃し配信中

The post 【インタビュー】市原隼人、「本当の正義とは、いまだ誰も分からないのではないか」 WOWOW×テレビ東京『ダブルチート 偽りの警官 Season2』 first appeared on YESNEWS | 超肯定的ニュースサイト.
  1. 知人から1800万円を横領 一晩で1500万円を「シャンパンタワー」に使う 自称不動産業の男を逮捕 千葉県警
  2. 浜崎あゆみさん 「弱き自分よ、気を抜かず、甘えず、おごらず、立ち止まらずに行ってくれ。振り返るのは今じゃ無い。ホンマに頑張ってくれ頼む」 想いつづる
  3. 【松田翔太】「ずっと憧れていた」英スポーツカー「TVRタスカン」を入手して「クラクラ」の投稿
  4. 「アクセルとブレーキを踏み間違えた」 男性(76)の運転する乗用車が美容室に突っ込む 埼玉県白岡市
  5. 三菱UFJ元行員が客の貸金庫から現金・貴金属など盗む 被害額は時価で十数億円
  6. 「よりかわいくできるように努力」 警視庁のマスコットキャラクター「ピーポくん」が新たなデザインに
  7. 東京・歌舞伎町のコンカフェ4店舗を一斉摘発 「アニメソング系」や「土地神メイド」などコンセプトのカフェで無許可接待行った疑い 未成年キャストも… 警視庁
  8. 「丁丁発止」とはどんな意味?その由来は『モノのぶつかりあう音』
  9. 在日クルド人団体「大きな一歩で未来への希望」 さいたま地裁のクルド人ヘイトデモ「禁止」決定を評価 弁護士は「一日も早く差別撤廃条例の制定を」
  10. 【速報】中国政府 日本人に対する「短期滞在ビザ」免除措置再開を発表
  11. 【ニャンちゅう】 声優・津久井教生さん 「パソコンに詳しい友人が ALSの進行で不具合になっていたことを 一気に解決してくれました♪」「こういう方たちに支えられています♪」 想い明かす
  12. キッチンで大型犬が大騒ぎしたので取り押さえたら…思った以上に『不服そうな表情』に3万いいね「可愛いww」「ただただ愛おしい」と爆笑
×