犬はおもちゃで遊ぶことが大好きですが、とりわけぬいぐるみを大事にする、ぬいぐるみに「執着」するという子がいます。ぬいぐるみを片時も離さずに「執着」してしまう理由にはいったいどんなものがあるでしょうか。
犬がぬいぐるみを離さない「執着」の理由
犬はボールやロープ、棒などおもちゃを使って遊ぶことがありますし、それらを使って飼い主さんと一緒に遊ぶことはもっと好きです。
好きなおもちゃの種類には当然それぞれの犬の好み・個性があり、「ボールは好きだけれどひも状のものはあまり…」という子もいれば、「棒が大好き!」という子もいます。逆に、おもちゃにはそれほど興味がない、という子もいるようです。
おもちゃで遊ぶことが好きな犬の場合、多くの場合は本能的にそのおもちゃを獲物と見立てて狩りに模した遊びをすることがあります。追いかける、かみつく、振り回す、引きちぎるなどはこの「狩り」に必要な動作です。
家庭で飼育されるようになった犬にとっては一見不要な行動ではありますが、実は本能を満たすためには重要な行動と言えるでしょう。
そして、犬が好むおもちゃにはもちろん「ぬいぐるみ」も含まれます。犬によってはボールや棒などには興味を持たないのに、ぬいぐるみだけは片時も離さないという子もいるようです。ほかのおもちゃと違い、ぬいぐるみをかわいがる、離さないという犬の場合は、狩りなどの遊びを要求する以外の心理が働くことがあります。
犬がぬいぐるみを離さずにいる心理状態とは、ずばり「執着」です。そしてその執着は、「獲物の代わり」「仲間の代わり」「自分の子どもの代わり」と表すことができます。どれも自分の傍から離したくないものですよね。
犬は本来群れで生活する性質を持っているため、家族とともに生活することを好みます。しかし現代では、共働き家庭の増加により、犬もお留守番をする時間が増えていると言われています。そのため、群れの仲間がいない状態が寂しく、生物の形をしたぬいぐるみを仲間の代わりに見立てて傍に置き心細さを解消している面もあるかもしれません。
執着しすぎている時の対処法
犬がおもちゃに強く執着していると、おもちゃを片付けようと手を伸ばした飼い主に「取るな!」とかみついたり、唸ったりすることがあります。
ぬいぐるみの場合も同様です。これでは片付けもできませんし、汚れたおもちゃを洗ったり消毒したりすることもできません。
犬がものに執着する場合、「これは自分のものだ」「手ばなしたら返ってこない」という気持ちが働きます。これを放置すると、おもちゃで遊んでいる近くを通りかかっただけで威嚇をするようになってしまいます。
これをやめさせるためには、「おもちゃは飼い主に預けても返してもらえる」ことを理解してもらうことが大切です。
片付けたいときやおもちゃから口を離してほしい時、「ちょうだい」「出せ」と声をかけてみましょう。
うまく手放してくれたら思い切り褒めます。犬がおもちゃを手放したらほめ、またおもちゃを預けるといった風に何度も繰り返すと、犬は「おもちゃを離しても返してもらえる」と学習し、執着が薄れていくことがあります。
おもちゃに執着している場合は、おもちゃは自由に犬が持ち出せないようにしておくことも大切です。飼い主がおもちゃを持ちだしたら遊ぶ、そして必ず飼い主が回収し片づけることが重要です。
偽妊娠の可能性?!
犬の「執着」について語る場合、「偽妊娠」についても触れる必要があります。
雌の犬の場合、避妊手術をしていなければ半年から一年ごとに発情が起こります。発情後はおよそ二カ月ほどの間、ホルモンのバランスが崩れ「偽妊娠」と呼ばれる状態になることがあります。
この状態になると、犬の身体は妊娠した時と同じような状態になり、乳汁がでたり情緒不安定になったりすることが増えます。また、巣穴を掘ろうとしたり、ぬいぐるみを子犬に見立てて寝床に運んでベロベロと嘗め回す行動も多く見られるようになります。
一過性のものではありますが、この期間、犬はぬいぐるみを離そうとはしなくなるのです。
偽妊娠で執着が強くなっている場合、時期が過ぎるのを待つしかありません。およそ数日から数週間でホルモンバランスが落ち着き、いつもの状態に戻っていくでしょう。
なお、偽妊娠を「何回も繰り返す」「以前より執着がすごい」という場合は、女性ホルモンが大いに関係している状態です。避妊手術のことも含め、かかりつけの獣医師さんに相談をしてみてください。
まとめ
犬がぬいぐるみを手放さない理由は、とにかく「執着」が理由です。
強すぎる執着心の場合、飼い主との関係を壊しかねないため、なるべくゆっくり「おもちゃは返してもらえる」ことを覚えてもらいましょう。一人で遊ぶより一緒に遊ぶほうが楽しい、ということを分かってもらうのも良いでしょう。
また、確率は非常に低いものと思われますが、偽妊娠ではなく本当に妊娠しているかもしれない場合には、早めにレントゲンやエコーなどで検査をしましょう。
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