猫の魅力は、身体能力や性格などさまざまです。中でも、複雑でバラエティに富んだ毛柄を一番の魅力だと挙げる猫好きさんも多いのではないでしょうか。イエネコの祖先であるリビアヤマネコの毛柄は、キジトラの一択でした。そこで今回は、そこから新たに生まれた「茶トラ」猫に焦点を当て、その魅力に迫ってみたいと思います。
毛色が猫の性格を知るヒントになる!?
猫の性格は、遺伝子だけで決まるものではありません。社会化期と言われる生後2〜7週齢頃までの期間が大切で、この間の出会いや経験が、性格の形成に大きく影響することが分かっています。
比較的最近の研究では、猫の毛色と性格に関連性が見られることも分かってきました。人口的な交配によって確立された猫種にも特徴的な性格が見られますが、その中でも毛柄による性格差があることがわかっています。
つまり、毛色からもある程度その猫の性格を予測できるということです。そこで、人懐っこい子が多い毛色だと言われている茶トラの魅力について、ご紹介したいと思います。
「茶トラ」猫の魅力とは
ここでは、以前東京農業大学や法政大学によって行われた、猫の毛柄と性格の関係性の調査結果を参考に、「茶トラ」猫の魅力についてご紹介します。
1.猫らしさを持ちながら飼いやすい
茶トラ猫の性格として特徴的な点のひとつが、「猫らしさを持ちながらも飼いやすい」ということです。
茶トラ猫は多くの猫らしい性格を持っていますが、他の毛柄の猫と比較して目立って低い評価だったのが「気が強い」「わがまま」「攻撃的」「警戒心が強い」「神経質」「臆病」というものでした。これらの性格が強い場合、飼い主さんになかなか慣れてくれないことが多いです。
しかし、茶トラ猫の性格にはそのようなネガティブ要素は少ないため、初めて猫と一緒に暮らす飼い主さんにとっても、飼いやすい猫だと言えるでしょう。
2.落ち着いて暮らせる
他の毛柄の猫よりも目立って高い評価だったのが、「おとなしい」「おっとり」「温厚」「従順」でした。
子猫の頃は好奇心旺盛でも、成猫になり本来の温厚でおっとりした性格が出てくると、落ち着いた猫になる可能性が高いでしょう。
特に比較的高齢の方が猫を迎えたい場合は、茶トラの成猫を迎えると相性が良いかもしれません。
3.おとなしいけど甘え上手
他の毛柄の猫と比べて「甘えん坊」「人懐っこい」という項目も高い評価だった茶トラ猫は、おとなしいけれども甘え上手な猫だと言えるでしょう。
明るい茶色の毛柄は家の中でも目立ち、甘える声で鳴いたりいつの間にか寄り添われたりと、片時も目を離せません。
4.食いしん坊
茶トラ猫はオスが多いからか、「食いしん坊」という項目でも高い評価を出しています。愛猫が美味しそうにご飯を食べる姿は、見ていて嬉しいものです。
しかし、茶トラ猫はおっとりとした性格でもあるため、総合的にあまり活動的だとは言えません。
いくら甘え上手でも、ねだられるままにご飯やおやつをあげると、すぐ肥満になってしまうため注意も必要です。
5.多少ヲタク気質あり?
東京農業大学の研究をベースに行った法政大学の調査では、茶トラ猫は他の毛柄の猫と比べて「こだわり」が強いということも分かりました。
幅広い好奇心であちこちを探るよりも、何か興味を惹かれたことにこだわって楽しむ、ヲタク気質に通じるものを持っているのかもしれません。
愛猫のこだわりを見つけることで、一緒に楽しく遊べるのも魅力のひとつです。
「茶トラ」猫の毛柄
茶トラとは、全身が茶色でトラ柄の縞模様が入っている毛柄の呼称です。茶色といっても明るいオレンジ色なので、英語では「レッド・マッカレルタビー(トラ柄の縞模様)」とか「レッド・タビー」などと呼ばれています。
縞模様は、額のMや目の横のクレオパトラのような縞も含めてキジトラ猫と同じです。全てキジトラだったリビアヤマネコが、人との暮らしで栄養状態が安定したことで繁殖のサイクルが早まり、突然変異の出現率が上がって毛柄のバリエーションが増えたのだと考えられています。
また自然の中では目立つ色の茶トラは、人と暮らすことで生存への不利が解消され、人懐っこい性格であることが生存に有利に働いた結果、現在の性格になったのだと考えられています。
「茶トラ」猫にはオスが多い
一般的に『茶トラ猫の約8割はオス』だと言われています。それは、毛色を茶色にする遺伝子がX染色体上にあることが理由です。
猫の毛柄は複数の遺伝子の組み合わせで決まります。遺伝子は、細胞の中の染色体上に格納されています。猫は18対(36本)の常染色体と、1対の性染色体を持っています。メスの性染色体にはX染色体が2本あり、オスの性染色体にはX染色体とY染色体が1本ずつあります。
毛柄を決める遺伝子のほとんどは常染色体上にありますが、茶色の毛を出現させる遺伝子だけは、X染色体上にあります。同じ場所にある遺伝子には優性と劣性があり、この遺伝子の場合、優性のO遺伝子は毛を茶色に、劣性のo遺伝子は他の遺伝子に従い黒やキジになります。
オスの場合はX染色体が1本なので、茶色(O)か黒orキジ(o)のいずれかになり、メスの場合は茶色(OO)、サビor三毛(Oo)、黒orキジ(oo)のいずれかになります。
※詳細は割愛しますが、他の遺伝子の影響で白猫になったり白い斑が入ることもあります
メスの場合、O遺伝子が2つ揃わなければ全身が茶色にならないため、茶トラ猫にはオスが多くなるのです。つまり「茶トラ猫の特徴」には、オスに多く見られる特徴が含まれているという点も考慮しておきましょう。
まとめ
今回は、「茶トラ」猫の魅力について解説しました。
猫の性格は、さまざまな要因によって形成されます。しかし、毛柄による性格の傾向を参考にすると、「茶トラ」猫はおとなしくて人懐っこい、初心者にも飼いやすい猫だということがわかりました。
甘え上手な食いしん坊なので、甘やかせすぎに気をつけながらかわいがれば、お互いに信頼の絆を結び、のんびりと豊かな生活を楽しめそうです。
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