お盆の時期に行われるのが「迎え火」という儀式です。
しかし、なぜお盆の時期に「迎え火」をするのでしょうか?
今回はそんな「迎え火」について解説します。
「迎え火」とは
ここでは「迎え火」が何かを解説します。
先祖の霊の道標となる迎え火
「迎え火」とはお盆に戻ってくるご先祖様が迷わず家に戻って来られるように火を焚いて待つ風習のことです。
日本では古くから墓地や玄関先で「焙烙」と呼ばれるお皿におがらを重ね、火を焚くことによってその煙を頼りに霊が戻ってくると信じられてきました。
おがらは麻の皮部分を剥いた後に残った芯部分のことです。
古くから麻は邪気を清めるとされ「迎え火」などで重宝されてきました。
ちなみに、昔は直接地面に火を焚いていたものの現在は火事や住宅事情の配慮から「焙烙皿」を使用するのが一般的となっています。
こうした「迎え火」は現代の日本にも残っており、地域によっては別の形で執り行われている場合もあるそうです。
行い方は宗派によって異なる
宗派によっては「迎え火」を行う地方もありますが、逆に行わない地方もあります。
これは地域に根付いた習慣などによっても変わってきます。
特に「迎え火」は各地域の宗派だけでなく、その家や本人の宗派に合わせて行うのが一般的です。
そのため、必ずしも行わなければならないものではありません。
行い方に関しても宗派によって変わってきます。
迎え火を行う時期や場所
「迎え火」は毎年お盆の時期になると行われます。
お盆は8月13日~16日前後の期間とされます。
日本ではお盆の時期になるとご先祖様の霊が現世に帰ってくると信じられており、この時期に墓参りなども行うのが特徴です。
「迎え火」もそんなご先祖様を迎えるための儀式です。
なお「迎え火」の場所は特に決まっているわけではありませんが、墓地や玄関先が一般的とされます。
迎え火と関連する「精霊馬」と「盆提灯」
ここからは「迎え火」に関係している「精霊馬」や「盆提灯」について解説します。
精霊馬とは
「迎え火」では「精霊馬(しょうろううま)」を用意します。
「精霊馬」はご先祖様の霊が家に帰るために乗る乗り物のこと。
主に「なす」や「きゅうり」に箸を突き刺して作るのが一般的となっています。
盆提灯とは
「迎え火」では「盆提灯(ぼんちょうちん)」も用意します。
「盆提灯」はご先祖様の霊が家に戻るために使用する灯りのこと。
主な形状としては吊るすタイプの御所提灯(ごしょちょうちん)、床や畳に支えを立てて使う大内行灯(おおうちあんどん)などがあります。
「送り火」との違い
ここからは「送り火」との違いを解説します。
送り火とは
「送り火」とはお盆に帰ってきたご先祖様をあの世に送り出すために火を焚く風習を意味します。
「迎え火」はご先祖様の霊が迷わず戻って来られるように火を焚くのに対し「送り火」は送り出すために火を焚くのが特徴です。
その点が両者の違いとなるのではないでしょうか。
ただし、どちらもセットとして扱われることがあいます。
そのため、「迎え火」を行ったら「送り火」も行うのが普通です。
そうしないと現世に帰ってきたご先祖様があの世に戻れなくなってしまいます。
送り火もやり方は様々
「迎え火」と同じく墓地や玄関先で「焙烙」におがらを重ね、火を焚くことによって霊を送り出します。
地域によっては墓地や玄関先だけでなく、海や川や山など様々な場所で「送り火」を行っているのが特徴です。
中には祭りのように盛大に執り行うものもあります。
例えば、京都の「大文字焼き」も実は「送り火」の一種です。
「大文字焼き」は山の表面に火を放ち「大文字」を描く儀式です。
これは京都の名物にもなっています。
他にも日本では「灯篭流し」などの別の形の「送り火」が行われる場合もあります。
まとめ
お盆に欠かせない儀式の1つ、それが「迎え火」です。
これはご先祖様が迷わず家に帰って来られるよう、明かりを灯す一種の儀式のようなものです。
対して、ご先祖様を送り出す際に明かりを灯すことを「送り火」と言います。
日本では古くから行われている儀式なので、お盆の時期にはぜひ執り行ってみてはいかがでしょうか?