パリオリンピック™トライアスロン会場のセーヌ川が水質悪化で水泳の公式練習が中止になりました。大雨が降ると、下水管の水や路上のゴミが流れ込むセーヌ川。パリ市などが水質の改善に努めてきましたが、川の水をすくってみると…。
【写真を見る】セーヌ川の水すくってみると「少し濁っているように見え…」“水質悪化で練習中止”トライアスロン本番は大丈夫?【news23】
セーヌ川の“水質悪化”で公式練習中止に 本番は大丈夫?
パリオリンピックの開会式直前に起きた国鉄の高速鉄道放火事件。フランスの警察が、国鉄の施設内で工具などを持っていた極左グループの男の身柄を拘束したと現地メディアが報じました。
男は過去にも、国鉄の施設内に無断で侵入して有罪判決を受けたことがあるということで、警察が事件との関連を調べています。
オリンピックの競技会場ではこんなことが…
記者
「セーヌ川ではトライアスロンのスイムの公式練習が行われる予定でしたが、中止となりました」
中止の理由は、水質の悪化。セーヌ川は大雨が降ると、下水管から水があふれたり、路上のごみが流れ込んだりするため、パリ市などがオリンピック開催を機に、日本円で約2330億円かけて地下貯水場を建設。水質の改善に努めてきました。
セーヌ川の水をすくってみると…
記者
「少し水が濁っているように見え、底の方には砂のようなものが沈殿しています。ちょっと匂いを嗅いでみます。特ににおいは臭いといった印象はありません」
アメリカ人観光客
「10年前より綺麗だよ。人助けのためなら飛び込むけど、泳ぎたくはないな」
アメリカ人観光客
「パリ市が頑張ったのは評価できる」
大会組織委員会は、「直前に降った雨が水質悪化の原因」と説明。30日から始まる本番については、「天気予報を考慮すると、競技開始前には基準値を満たすと確信している」としています。
オリンピックの二面性、葛藤の中で…
小川彩佳キャスター:
選手たちが奮闘している一方で、様々な物議を醸しているパリオリンピックですが、斎藤さんはオリンピックを見ていますか?
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
全然見ていないです。わたしは反・五輪で、ボイコットしています。
理由は色々あって、あまり行きすぎた商業主義が好きじゃないというのもあるんですが、今回、私がオリンピックを見ない一番の理由にしてるのは、「スポーツウォッシュに加担したくない」ということです。
それはどういうことかというと、イスラエルの問題です。ロシアは今、戦争理由にオリンピックに出ることができないです。
ところが、国際司法裁判所のICJが、「イスラエルのやっていることはジェノサイドであり、占領政策自体も国際法違反だ」ということを勧告しているにもかかわらず、国際社会やオリンピック協会はイスラエルとしての参加は認めているというダブルスタンダードがあるんですね。
もし仮に、みんなが「盛り上がって、平和の祭典になってよかった」というふうになってしまったら、もしかしたらパレスチナ、ガザの人たちが忘れられてしまって、ジェノサイドを覚えている人たちがいないということに、私は少しでも抵抗したいなと思ってオリンピックは見ないようにしています。
小川キャスター:
平和の祭典をうたうのであれば、ダブルスタンダードはどうだったのか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
確かにダブルスタンダードの面はあるんですが、そもそもオリンピックというのは二面性があると私は思っていて、例えば、商業主義というのはもちろんあるんですが、一方で、スポーツの純粋なメンタルももちろんありますよね。それからナショナリズムを煽るという面ももちろんあるんですが、それとは別に、国境を越えてたたえ合うという面もあったり。
確かに平和の祭典なんですが、実際の平和構築には無力であることも確かなんですよね。
問題はそういう葛藤の中で、少しでも良い方向に向けていこうと人々が努力していくことが尊いんじゃないかなと私は思っていて、今回はそういう努力がどこまで進んでいるのかなと思って、注目して見ています。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済思想社会思想
著書『人新世の「資本論」』が50万部突破
星 浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年