日経平均株価が5日、ブラックマンデーを超える過去最大の下げ幅となりました。この歴史的株安は、私たちの生活にどう影響するのでしょうか?
【動画】日経平均の“大暴落”で生活・景気への影響は?「1週間で損失1000万円」世界同時株安も【news23】
投資歴20年の男性。
投資歴20年
「(この1週間の損失は)1000万円ぐらい」
1週間での損失額は、およそ1000万円…
投資歴20年
「失った金額でいくと一番大きいですかね」
記者
「都内の証券会社では下げ幅の大幅な拡大に先ほどから電話が鳴りやまず、現場は緊張感に満ちています。先ほど、日経平均株価の下げ幅は一時、4600円を超えました」
岩井コスモ証券の担当者
「“パニック”的な売りなんだと思います」
「“パニック”売りも少し入っていたりして」
5日の株式市場は売りが売りを呼ぶ、まさにパニック状態。
記者
「3400円を超えてどんどんと下げ幅拡大しています。4000円を超えました。4000円以上下げて取引が続いています」
日経平均株価が連日、暴落しました。5日の終値は3万1458円で今年一番の安値に。下げ幅は4451円で過去最大となりました。
個人投資家50代
「朝からYahooのニュースを見ながら『えっ えっ』って。(保有株は)たぶん200万円とか、そのくらいは下がっているのでは」
個人投資家30代
「誰かが売り始めたら、みんな狼狽して売っちゃったのかなって」
今年に入って投資を始めたという男性、保有していた株が15%ほど下落していました。
個人投資家20代
「一気にここまで下がったのでびっくりした。今日だけで(損失は)6万円とか、もうちょっといったかなという感じ」
株の暴落といえば。1987年に起きた世紀の大暴落、ブラックマンデー。
「3800円っすか」
「もう来るもんがきたって感じがしますね」
「なんでこんなに下がらなくちゃいけないのかわからない」
翌日の下げ幅は3836円でしたが、今回はそれを上回りました。
今年、新NISAが始まり、先月には史上最高値の4万2224円をつけたばかりの日経平均。それからわずか3週間で1万円以上値を下げました。
NISAを始めたばかりの投資家は…
NISA利用(30代)
「(利益が)ゼロになるんじゃないかと不安」
NISA利用(20代)
「思っていたより落ちていたので、びっくりした」
“貯蓄から投資へ”と呼びかけてきた金融担当大臣は。
鈴木俊一金融担当大臣
「新NISAをきっかけに投資を始めた方々に動揺が生じているという報道も目にしております。長期、積立、分散投資の重要性を考慮して、冷静に判断していただきたい」
なぜパニック売りとなったのか。一つ目は突如広がったアメリカの景気後退の懸念です。先週末の雇用統計が予想よりも悪かったことで、市場が疑心暗鬼に。
もう一つが、想定以上の円高です。円相場は午後、1ドル=141円台をつける場面も。わずかひと月前には160円台だった円相場は、日銀の追加利上げなどを経て20円近く円高に。株価に逆風となりました。
株安は世界に広がっています。
記者
「取引所で表示されている韓国の銘柄すべて株価が下落しています」
韓国の株式市場でも“過去最大の下げ幅”を更新。韓国メディアは「最悪の一日」と報じています。
ヨーロッパでは…
記者
「ロンドン市場も影響を受けていて、3%を超える株価急落となりました」
世界同時株安となる中、動揺はいつ止まるでしょうか?
■NY株一時1200ドル超安に「“パニック的”売りが止まらず」
一気に急落した株価ですが、ニューヨーク市場で取引が始まりました。現地から伝えてもらいます。
並木航 NY支局長:
ニューヨーク市場は取引が始まると同時に売り注文が殺到していて、ダウ平均株価は先週末に比べ一時1200ドル以上も急落しました。現在も900ドルほど値下がりしている他、ハイテク企業の多いナスダック市場も値下がりしていて、市場関係者は「パニック的な売りが止まっていない」と話しています。
市場が注目するサービス業などの企業が景気をどのように感じているかを示す「ISM非製造業景況指数」が発表され、51.4と前月よりも2.6ポイント上がり、市場予想も上回ったことから、株価は一時下げ幅を縮めました。
今回の同時株安は、「アメリカが景気後退に入るのではないか」との懸念が急速に高まっていることが背景にあります。市場関係者は「中央銀行にあたるFRBの幹部が、今後の政策を巡りどのように発言するのか今週の市場は神経質な展開になる」と警戒感を示しています。
■日経平均“過去最大”下落のワケ
藤森祥平キャスター:
株価の急落が続いている市場でいま何が起きているのでしょうか。
23ジャーナリスト 片山薫 記者:
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストにお話をお聞きしました。歴史的株安の要因の一つは、7月31日の日銀・植田総裁の発言にあったとみています。植田総裁は「さらなる利上げ」を示唆したので、それにより円高になりました。
これまで株というのは「円安だと株高」という構図でしたが、潮目が変わり「円高になると、株安」という流れになっています。この株安の動きを見た投資家の売りが、さらに売りを呼んだということで、歴史的な大幅な株の暴落になったのではないか、と説明しています。
小川彩佳キャスター:
今後、下落がさらに続いていくことになるのでしょうか。
片山薫 記者:
井出真吾チーフ株式ストラテジストは、日経平均の今後の予想は「年内は2万8000円台まで落ちる可能性もある」と見ています。ただ一方で、「3万8000ぐらいまで上がることもある」と、かなり乱高下してどちらに振れるのかわからない。振れ幅も非常に大きいので、それだけ不安定だ、というふうに見ています。
■日経平均が“大暴落” 生活・景気への影響は?
小川キャスター:
今回、下落したことによりどのような事が景気への影響として出てくるのでしょうか。
片山薫 記者:
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストに聞きをしました。プラスとマイナスがありますが、マイナスのほうが大きいのではないか、と見ています。
マイナス面としては、今回の急落でシニア層を中心とした長期投資が難しい人には「数百万円の損失が出ることもありうる」という“トラウマ”になるんではないか。そして目減りした株価で今度は消費を抑えるのではないか、という懸念が出ています。
しかし、円安で物価高が厳しかったですが、円高になれば輸入物価を押し下げる効果があり個人消費にプラスの側面もある、と指摘しています。
ただ、熊野主席エコノミストは「不況の可能性を意識した方がいい」と話しています。これまでも株価が急落し、そこから不況になるケースもありました。今すぐそうなるとは言えませんが、やはりそういう可能性は意識する局面だと話しています。
小川キャスター:
いろんな可能性が頭の中を駆け巡ってしまいますが、いい面というのを見ると、家計を圧迫してきた物価高が少し楽になる可能性もあるみたいですが。
マライ・メントラインさん:
それに期待したいですね。すこし楽になりたいな、と思います。今は円高と言われていますが、正直外から見て日本円はまだ安いです。だからインバウンド観光など、これからも日本に観光客が入ってくると思うので、観光業に関しては「人気の国の日本」というのがずっと続くのではないかな、と思います。なのでそこは明るいテーマだと思います。
■『株価』について「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『株価』について「みんなの声」を募集しました。
Q.株価暴落 最も心配な影響は?
「資産や株式配当の減少」…17.6%
「賃金や雇用」…28.0%
「全世界的な不況」…32.3%
「特になし」…14.6%
「その他・わからない」…7.6%
※8月5日午後11時11分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは6日午前8時で終了しました