コメの品薄いつまで?不足する原因の一つが猛暑と水不足による品質低下… 新潟県のコシヒカリ生産者が迫られている“決断”【news23】

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2024-09-06 15:30

新米が出回り始めても、いまだ落ち着きを取り戻していないコメの不足。原因の一つとされているのが、猛暑などによるコメの品質低下です。新潟県のコシヒカリ生産者が迫られている“ある決断”とは?

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1等米 8割→4.9% 猛暑と水不足による「不作」と「品質低下」も影響か

新潟県十日町市のおにぎり専門店「parlor むらげん」では、ふっくらと炊き上がった魚沼産コシヒカリに鮭や明太子をのせ、ふんわりと握られたおにぎりに、自家製野菜を使ったお惣菜と味噌汁を添えたメニューが人気です。

コメを自前で生産しているため、仕入れの影響はないと言いますが…

来店客
「私のほうは大丈夫なんですけど、横浜の息子が『コメがスーパーに行っても無い。生協で頼んでも無い。アマゾンでも無い』ということで、こちら(新潟)から送りました」

店にも「コメを売ってほしい」と依頼があるといいます。

店員 滝澤祥恵さん
「ここ1週~2週間ぐらい『おコメ売っていますか』というのは、ちらほらあります。この辺のスーパーでも売り切れになって」

コメの品薄の解消に時間がかかっている原因の1つに、猛暑と水不足による「不作」「品質低下」があるとされています。

魚沼米穀 井上大樹 代表取締役
「去年の場合は、白っぽいお米がすごくたくさんあった」

コメは、粒の大きさや形や色、水分量などで「1等米」「2等米」「3等米」「規格外」の4つに分類されます。

例年、魚沼産コシヒカリは8割が1等米ですが、2023年は4.9%だったそうです。

1俵60キロを精米すると、1等米は約53キロの白米が取れますが、2等米だと約51キロに減ってしまい、結果的にコメの品薄に繋がったのです。

魚沼米穀 井上大樹 代表取締役
「精米したときの減り具合(の影響)は、ものすごく大きいと思います」

「早いけど倒れちゃったから刈るしかない」台風10号で多くの稲がなぎ倒される

新潟県十日町市の「花水農産」では、コシヒカリなどを生産していますが、去年作ったコメは、例年の品質を大きく下回ったと話します。

花水農産 宮内賢一 代表
「去年は1等米は、ほとんどなかった。全部2等、3等、規格外で。散々な目にあいました。1000万円くらいの被害」

今年は1等級の米が増えることを期待していますが、先日の台風10号で多くの稲がなぎ倒されてしまいました。

花水農産 宮内賢一 代表
「こんなに青くて。早いけど倒れちゃったから刈るしかない」

まだ稲は十分に色づいていないものの、予定を早め、9月5日から新米の稲刈りを始めることにしました。

近年、これまでにない猛暑が続く中で、暑さに強い品種「新之助」の栽培を始めるなど、対策を迫られているといいます。

花水農産 宮内賢一 代表
「コシヒカリだけだと、やっていけないから。特に去年みたいに高温障害になると大変。少しでもリスクを下げようかなと」

コメのランク「1等米」「特A」って何?

藤森祥平キャスター:
やはり猛暑はコメにも影響していて、去年の猛暑により1等米の比率が低下したそうです。農家の皆さんにとって収入に関わる問題なので、今年は非常に心配です。

お米マイスターで、魚沼米穀の井上大樹社長は、「等級によって味は変わらない。購入する時に、その米が1等なのか、2等なのか、わからない場合が多い」と話します。

味などの基準もあります。毎年、日本穀物検定協会が行っている「食味ランキング」というものがあります。

外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価など、6つの評価項目があり、「特A」「A」「A'」「B」「B'」のいずれかのランクが付けられます。

小川彩佳キャスター:
気にしたことはなかったです。新しい品種が出てきたら「食べてみたい」「食べ比べしてみたい」などは思ったことがあります。

五輪メダリスト 田中ウルヴェ京さん:
品種と値段ですよね。ランクがあるのは知っていたものの、これで買う・買わないを決めることはなかったです。

「1人1人の向き合い方だけでは限界」 “当たり前にある”と思っていたコメ

藤森キャスター:
ただ、食味ランキングも猛暑の影響を受けます。

【2023年産 食味ランキング】
特A(43銘柄)
・コシヒカリ 7銘柄
・にこまる 6銘柄 ※暑さに強い
・きぬむすめ 6銘柄 ※暑さに強い

A
・青天の霹靂 ※冷害に強い

特Aにランク付けされている「にこまる」「きぬむすめ」は暑さに強い品種です。暑さの影響がプラスに働いて、1つ上にランクインしたということです。四国や静岡県産のものが多いそうです。

一方、冷害に強い青森県産の「青天の霹靂」は、猛暑の影響で1つランクが下がってしまったそうです。

小川キャスター:
猛暑は、去年・今年だけのことではなく、今後も影響を受けることになると思います。これから、コメにどのように向き合っていけばいいのでしょうか。

五輪メダリスト 田中ウルヴェ京さん:
“日本人特有”というものがありますよね。なぜ私たちは、おにぎりを見ると安心したりするのか、何か原体験なのか。例えば、私なら選手時代に、塩をつけ、海苔をつけない白いおむすびだけを持っていく。ゲン担ぎのように、試合前にそれを食べると結果がよくなるみたいなルーティンがあったりしたくらいです。

世代間の違いはあるかもしれませんが、日本人の私たちにとって、ご飯は、とても特別なもの。それなのに、水や空気と同じように、“コメは当たり前にある”と思っていたのに、今回のようなコメ不足になったりすると、ちょっと慌てるという心理が当然あります。

どう向き合うかとしたら、過剰反応する可能性がある自分がいることを、頭でわかっておくのは少し大事かもしれないと、今回のケースですごく学びました。

一方で、長期的に見れば、温暖化は今後も続いていきます。1人1人の向き合い方だけでは限界で、それを超えて政府など、どのように予期していくか。環境が変わることによって衣・食・住は変わっていきますが、日本はどう対応するべきなのかは、全く違う問題になりますよね。両方考えなければいけません。

コメの等級について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは、コメの「等級」について「みんなの声」を募集しました。

Q.コメ不足問題「等級」どこまで気にする?

「大いに気にする」…8.8%
「多少気にする」…18.6%
「『等級』より『食味』」…15.2%
「ほとんど気にしない」…31.2%
「『等級』より値段」…24.8%
「その他・わからない」…1.3%

※9月5日午後11時14分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは6日午前8時で終了しました

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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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