底が見えない中国の不動産不況 専門家が考える「3つのシナリオ」と日本への影響

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-09-14 06:00
底が見えない中国の不動産不況 専門家が考える「3つのシナリオ」と日本への影響

7月の新規住宅価格指数が前年比で13か月連続でマイナスとなるなど、いまだ底値が見えない中国の不動産不況。今後どうなるのか?そして日本への影響は?専門家が解説します。

【写真を見る】底が見えない中国の不動産不況 専門家が考える「3つのシナリオ」と日本への影響

"解決コスト"は約140兆円との試算も

8月、IMF(国際通貨基金)は、中国経済に関する報告書を公開しました。

その中で「現在も進んでいる不動産市場の調整は経済見通しに対する重要なリスク」とした上で「中国が不動産をめぐる課題を解決するには財政支出が必要」と指摘。

そして、その規模について「4年間でGDPの約5.5%の財政コストがかかる可能性がある」としています。

これは2023年の中国の名目GDPに基づいて計算すると約7兆元、日本円にして約140兆円にも上ります。

これほど巨額な財政支出が求められている中国の不動産問題ですが、この先どうなるのか?専門家は「3つのシナリオ」が考えられるとしています。

リスクシナリオに関わる「不良債権」問題

ニッセイ基礎研究所の主任研究員である三浦祐介さんは、中国の不動産市場の先行きについて「3つのシナリオ」が考えられると話します。

最も可能性が高い「メインシナリオ」は、長期の停滞が続いた後、不動産価格は底を打つものの、その後も需要と供給は軟化しやすく、不安定な状況が続くというもの。

「リスクシナリオ」は、不動産販売の悪化に歯止めがかからず、悪循環が加速しハードランディングに至るというもの。

最後に「楽観シナリオ」ですが、政府の積極的な政策の緩和により不動産の販売が早期に回復するというものです。

三浦さんは、習近平主席が、4期目を目指す2027年を前に、不動産市場の"正常化"を目指す可能性が高いとしていて、中国の不動産市況が、世界的な金融危機にまで発展する可能性は現状、低いと考えています。

一方、大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんは中国経済が抱えるリスクの一つに「不良債権」の問題があると指摘します。

その上で、「不良債権」問題を解決するには2つ重要なポイントがあると言います。

「1つはどれぐらい不良債権があって、どれくらいで解決するかを金融機関が"開示"すること、そしてもう1つは十分なお金を突っ込むこと」

中国の場合、特に"開示"の面では不透明な部分があるとしています。

末廣さんは「どれだけ不良債権があるかをしっかり開示するという所が、うまくいかないと金融の問題になり、"リスクシナリオ"となると思うのですが、それが(中国の)外に波及していくかどうか心配ではあります」と話します。

では、仮に"リスクシナリオ"が現実となった場合、日本への影響はどのようなものが考えられるのでしょうか?

中国経済の悪化が日本企業のビジネスチャンスに?

三浦さんは、中国経済がハードランディング(急激に失速)した場合でも、日本の対GDP比で考えると、その影響は0.1%にも満たないとの試算もあるため、マクロ経済の観点からは「(その影響は)そんなに大きくないのでは」と想定しています。

ただ、不動産に関連する建材や住宅設備などは、中国に進出している日本企業が作っているため、その影響は避けられず、更に個人消費にも影響が及ぶとすれば、飲食サービス業などを含めてダメージを受けやすくなる可能性もあるとのことです。

一方で、日本企業にとって悪影響だけではなく、ビジネスチャンスにつながる可能性もあると指摘します。

最近、日本の回転寿司チェーンが中国に進出し、一時、"10時間待ち"になったことが話題になりましたが、日本がデフレの経験をもとに"コスパ"の高いビジネスを展開してきたことで「逆に今の中国消費者のマインドをうまくつかんで、需要を取っていける可能性がある」と話します。

不動産不況をきっかけに曲がり角を迎えた中国経済。その動向から目が離せません。

===
<取材協力>

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員 三浦 祐介[みうら ゆうすけ]

大和証券エクイティ調査部チーフエコノミスト 末廣徹[すえひろ・とおる]


(TBS NEWS DIGオリジナルコンテンツ「経済の話で困った時にみるやつ」より)

  1. 【読めたらスゴイ!】「水団」とは一体何のこと!?小麦粉をこねて作る食べ物ですが・・・この漢字を読めますか?
  2. お父さんと一緒にお昼寝したい大型犬…まさかの『お誘いの仕方』が可愛すぎると104万再生「抱きしめたくなる」「寝相と座りかたのクセがw」
  3. ブールミッシュが鴨志田和泉氏とコラボで2ヶ月毎に変わるデザインマカロン『ピースフルマカロン』を発売
  4. 新しい警報・注意報等が発表されました
  5. 夜、犬の散歩中に『家族が通りがかったら』一度はスルーするも…気付いた瞬間が可愛すぎると30万再生「1日の疲れ吹っ飛ぶ」「大好きなんだね」
  6. 神奈川・二宮町で住宅全焼の火事 焼け跡から遺体のようなものが見つかる この家に住む90代の夫婦と連絡取れず
  7. 日本製鉄のUSスチール買収計画 アメリカ政府の判断は大統領選後か ワシントン・ポスト紙報道、民主党内や地元ペンシルベニア州の労働者からの反発に配慮か
  8. 赤ちゃん猫がお風呂に入ったら…別人のようなに『変貌した様子』が可愛すぎると5万3000再生「癒やされた」「ママ優しいね」の声
  9. 生まれつき目が見えない犬…盲目でも『安全にお散歩できる理由』に涙が止まらないと609万再生「勇気もらった」「サンドイッチ凄い」と感動
  10. 派閥解消でゲームチェンジの自民党総裁選~“カオス”選挙の行方を左右するものとは~【調査情報デジタル】
  1. 『女子生徒の自宅』やホテルで何度も性行為 県立高校教諭(32)懲戒免職 教諭は「女子生徒と交際していた」
  2. 「暑いから飲みな」エアコン修理の男(40)睡眠薬飲ませ…20代女性に性的暴行疑い
  3. 台風13号 きょう夜にかけて鹿児島・奄美地方に最接近の見込み 暴風に厳重警戒
  4. 日本製鉄のUSスチール買収計画 アメリカ政府の判断は大統領選後か ワシントン・ポスト紙報道、民主党内や地元ペンシルベニア州の労働者からの反発に配慮か
  5. 神奈川・二宮町で住宅全焼の火事 焼け跡から遺体のようなものが見つかる この家に住む90代の夫婦と連絡取れず
  6. “眠れる森の美女”走高跳マフチフが1m97で優勝 今季屋外負けなし 棒高跳デュプランティスは4度目の制覇【DLファイナル】
  7. サニブラウン&泉谷駿介はダイヤモンドリーグファイナルで世界の6位に!2日目は世界女王・北口榛花が登場【陸上】
  8. 重度の知的障害と発達障害も… 生き物を描くパラアーティスト・木下晃希さんの魅力【報道特集】
  9. 底が見えない中国の不動産不況 専門家が考える「3つのシナリオ」と日本への影響
  10. 能登半島地震にみる「自覚無きメディアスクラム」~人命にも影響の被災地渋滞を助長か~【調査情報デジタル】
  11. 台風13号は南西諸島直撃へ 西・東日本は残暑と雷雨続く【予報士解説】
  12. アメリカ人気歌手ジャスティン・ティンバーレイク被告に罰金刑、アルコールの影響下で運転した罪