増えている秋の花粉症 原因は「猛暑とゲリラ豪雨」 今すぐできる対策は?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-09-19 21:10

厳しい暑さが続く中、秋の花粉症シーズンが早くも到来しているようです。今すぐできる対策を花粉症治療の開発に取り組んでいる医師に聞きました。

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今増えている「秋の花粉症」 原因や症状は?

加藤シルビアキャスター:
「秋の花粉症」について見ていきたいと思います。

春の花粉症はスギなどの樹木による花粉症と知られていますが、秋の花粉症はブタクサやヨモギ、ススキ(イネ科)などの草木が原因だということです。これらの草木は住宅街や公園など、身近な場所に生息しています。

注目すべきは花粉の飛散範囲で、500mと比較的飛ぶ範囲が狭いことが特徴です。スギ花粉が200km飛ぶのに比べると、だいぶ狭いということがわかるかと思います。

秋の花粉症はどんな症状なのかというと、「のどの痛み」や「じんましん」などが出ます。日本医科大学大学院の大久保公裕教授は、「スギよりも花粉サイズが小さいので気管支に入りやすく、ぜんそくなど呼吸器に症状が出ることもある」と話しています。

では、春の花粉症の人は秋もかかりやすいのでしょうか。大久保教授は「春のスギ花粉で発症している人は、秋の花粉症にもなりやすい傾向にある」と話しています。

そして、2024年の秋は花粉が増えているのか。大久保教授によると、「今年は特に増えている。特にイネ科の植物の花粉が多い。増えている原因は猛暑とゲリラ豪雨」ということです。

その理由について、まず、猛暑で草木の成長が早かったこと。そして、ゲリラ豪雨で発生した上昇気流に花粉が吸い込まれて舞い上がり、その花粉が雨が降る前に落ちてくることで、秋の花粉が増えてきているということです。

ホラン千秋キャスター:
花粉が増えているから、今まで秋に花粉を感じなかった人も感じやすくなっている可能性があるということですか?

日本医科大学大学院 大久保公裕教授:
これだけ夏が暑いと、今、緑が青々としていますから、花粉もたくさん作られています。スギも「夏が暑いと花粉がたくさんできますよ。翌年は多いですよ」という話があるじゃないですか。ですから、秋の花粉で非常に早く症状が出始めているということは、それだけ多く花粉が作られたということだろうと思います。

井上貴博キャスター:
今や日本で花粉症は国民病とも言えると思うんですが、起点を考えると、初めて報告されたのが1960年代なので、花粉症の歴史は60年ぐらいしかないんですよね。

ですが、これだけ爆発的に増えているのは、花粉量の増加や大気汚染もあるのかもしれませんが、何か説明はできるんですか?

大久保教授:
これは多分、我々の生活がかなり西洋様式になってきているからだと思います。今、ふすまがある家や土間がある家など、風通しがいい家はほとんどないですよね。

つまり、我々は自然なものと遮断されて生きている。そのために自然なものがたくさん体に入ってくると、それをブロックするためにくしゃみで吹き飛ばしたり、鼻水で洗い流したり、鼻づまりで体の中に入れないようにしたりしているんです。

ですから、今の現代社会において、花粉症はある程度避けられない病気になっています。

ホランキャスター:
昔は身近にあったので、触れている機会が多かったから慣れていたということですか?

大久保教授:
そういうことです。症状は出ず、それを自然なものとして受け止めていた。

ところが、今は砂場がないなど、子どもたちが細菌に触れる機会が減ったために、低年齢から花粉症になってしまう。

秋の花粉というのは特に下からくるので、子どもたちが運動会のときに走ったりすると花粉が舞い上がって、それを吸って、秋の花粉症というのが増えてきていると考えます。

井上キャスター:
確かに無菌状態とは言いませんが、社会が自然を遮断したことで、メリットとデメリットが出てきている。

大久保教授:
一時期、スローライフということも言われましたが、実際に花粉症がひどい人でも、移住して逆に良くなった人がいるという報告をかなり受けています。どのように自然と共生していくかということが大事だろうと思います。

井上キャスター:
先生は治療法の開発もされていますが、近い将来でなにか確立できそうなことはありますか?

大久保教授:
一つ一つを潰していく方法ですね。例えば、スギの花粉症だったらスギの舌下免疫療法をやる。イネ科の花粉症ならイネ科の舌下免疫療法をやる。これから日本でもできていきますが、そういった一つ一つの免疫療法です。

もう一つは、体質を全体的に変化させるような治療法にこれから取り組まなければいけないと思っています。

「乳酸菌がいい」とか言いますが、それはごく一部です。ですが、乳酸菌というのは菌ですから、やはり細菌との接触というのがアレルギーに関して自然なものに対する免疫反応というのを調節するというふうには考えていいと思いますね。

「秋の花粉症」今できる対策は?

加藤キャスター:
秋の花粉症に対して、今すぐできる対策を教えていただきました。

秋の花粉は飛ぶ範囲が狭いので、通勤・通学の際は秋花粉の植物を避けるルートを歩くという対策ができます。

また、ゲリラ豪雨の予報が出た際に、花粉対策としてマスクや眼鏡などを持参するという対策もできます。

ホランキャスター:
長期的にできる対策と短期的にできる対策を分けて考える必要があるんですね。

大久保教授:
これから先も花粉症はずっと続きますので、そういった長期的なことと、もう一つは、「今、どうしたら患者が快適な生活を送れるか」というような注意点をこういったことで学んでいただければと思います。

井上キャスター:
子どもはどうすればいいんだろうと悩んでいる親御さんも多いと思います。

大久保教授:
今は秋の行楽シーズンで、外に出ている時間が非常に長いので、そういったときに花粉症の症状が起こるとすれば、眼鏡を持っていってかけさせる。あるいは、「マスクしよう」というようなアドバイスをしてあげたらいいかなというふうに思います。

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<プロフィール>

大久保公裕さん
日本医科大学大学院 教授・医師 花粉症治療の第一人者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 元理事長

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