社会とのつながりが途切れないように…川崎市にある若年性認知症の人の“第三の居場所”

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2024-09-24 14:49
社会とのつながりが途切れないように…川崎市にある若年性認知症の人の“第三の居場所”

家でも会社でもない第3の居場所

今回は、若年性認知症の人が通う事業所『マイWayサードプレイス(神奈川県川崎市)』を取材しました。

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若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症で全国に3万5000人以上いると推計されています。こうした人たちは、自ら仕事を辞めたり、解雇されるというケースがあり孤立する原因の1つとなっています。

今回取材した『マイWayサードプレイス』は、企業などと雇用契約を結ぶことが難しいとされる人が利用できる「就労継続支援B型」の事業所で、若年性認知症の人の家族から相談を受けて、2013年にJR南武線・津田山駅前に開設されました。

『サードプレイス』という名前の由来と若年性認知症の人たちの仕事内容について、川崎市の若年性認知症支援コーディネーターで、NPO法人「マイWay」の理事として事業所にかかわる渡辺典子さんに聞きました。

NPO法人「マイWay」理事・渡辺典子さん
「ご自宅でも会社でもない『第3の居場所』っていう意味で、仲間に出会えたり、好きなことができる居心地のいい場所になってもらいたいという思いでサードプレイスと名付けました。

 基本的には室内作業がメインになっていて、Amazonの発送作業のお手伝いなどをしています。また、NPO法人の親会社に日本ヴォーグ社というハンドクラフトの会社があります。日本ヴォーグ社は全国に学校を持っていて、生徒たちが使うキットの作成などのお仕事もいただいています」

取材した日は9人がボールペンの組み立て作業や、荷札に紐を通す仕事をしていて、作業中は「自分自身の髪の毛が天然パーマかどうか」といった雑談や、「バブル時代の話」などで盛り上がっていました。

「自家焙煎コーヒー」で社会とつながる

こうした作業のほかに、『マイWayサードプレイス』では、自家焙煎したコーヒーをフリーマーケットなどで販売しています。渡辺さんは、コーヒーを通じた社会とのつながりが生まれていると話します。

写真は50代後半でアルツハイマー型の認知症と診断されて、臨床検査技師の仕事に区切りを付けた63歳の椿さんです。

NPO法人「マイWay」理事・渡辺典子さん
「自家焙煎コーヒーの取り組みをして良いと思ったのが、コーヒーを飲んでいただくことで、地域の方とかいつものこのメンバーだけではなく、外の社会との繋がりとか人との交流の機会を作れることですね。コーヒーを1つのネタとして色々なところと繋がっていけるっていうところが今後の展開としても良かったと思っています」

また、渡辺さんは「若年性認知症と聞くと“そんなことできないだろう”などと構えられてしまう壁があるけれど、コーヒーの販売を通じて“普通のこともできる”というメッセージは届いていると思う」とも話しています。

「やることがある」それが良い

63歳で認知症と診断された現在67歳の前田さんと、コーヒーの焙煎をしていた椿さんは『マイWayサードプレイス』が大切な場所だと感じています。

マイWayサードプレイスに通っている前田さん
「ここに来るとコキ使われますし、むしろその方がいいなって。まず世の中に出たり、会社に行って仕事をするということがなくなる方が怖い」

マイWayサードプレイスに通っている椿さん
「毎日同じテレビを観て、毎日同じところをフラフラ歩いているのもおかしいですよね。そういう意味では自分が仕事をやっていく場所があるっていうことはすごくいいと思います」

若年性認知症に対する社会の理解を深めて欲しい

事業所での仕事を通じて「できること」や「やりがい」を見つけていく若年性認知症の人たちですが、渡辺さんは社会の理解が更に深まることを願います。

NPO法人「マイWay」理事・渡辺典子さん
「若年性だけではありませんが、診断される前の昨日と診断された今日や明日は何も変わらない中で、環境だけが急にガラッと変わってしまう。本人や家族の思いが置いてきぼりになってしまうところがあるので、当たり前の生活をしていけるような社会地域にならないといけないなと思っています。

そのためには、若年性認知症のことを知っていただくために、当事者から色々な思いを届けてもらいたいし、本人の思いを聴いていただける機会がもっと増えていくと良いのかなと思っています」

今回の取材で、当事者の声を聞くことで私自身の認知症に対する認識が改まりました。

先入観を持たず相手のことを理解して、認知症の人も安心して生活できる社会になって欲しいと感じます。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当:宮内悠也)

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