連携「政策的な合意などで判断も」 キーマン 国民民主・玉木雄一郎代表に聞く 自民“惨敗”の衆院選【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-10-28 22:47

自民党の惨敗で、与党過半数割れとなった今回の選挙。争点のひとつは、いわゆる“裏金の問題”でした。自民党への逆風を受け、大物候補者が次々と落選する一方で、当選する候補者も。明暗が分かれる結果となりました。(「Nスタ」10月28日の放送より)

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「ポストはいりません。政策を実現してほしい」

山内あゆキャスター:
今回の選挙では、自民党(191議席)と公明党(24議席)の与党は215議席と、過半数である233議席を割り込む結果となりました。また、立憲民主党は148議席と躍進し、国民民主党は28議席、れいわ新選組も9議席と数を伸ばしました。

これまで国民民主党は7議席でしたが、今回は4倍の28議席になりました。SNS動画で減税や家計支援などの政策を発信したことが影響をもたらしたのではないかといわれています。なかには再生数が1300万回を超えている動画もあるということです。

過半数を割り込んだ自民党は、政権の維持のためには野党との連携が欠かせないということで、連携を模索しています。これに対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は「連立政権への参加はない」と明言しています。一方で、「政策本位で良い政策があれば協力するし、ダメなものはダメと言っていく」とも話していて、気になるところです。

井上貴博キャスター:
たとえば財務大臣などの主要ポストをもらう代わりに手を携えていくことは可能性としてあるのでしょうか。党利党略ではなく日本のことを考えるのであれば、政策を実現するためにも与党に入るというのも考え方の一つとしてありうると思うのですが。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
ポストはいりません。政策を実現してほしいなと思っています

今回は“政治とカネ”が大きなテーマでしたが、あえて私たちは「手取りを増やす」という経済政策を訴えて戦い、一定の支持をいただきました。この政策を実現しないと、支持していただいた方の期待に応えることができません。

“なんとか大臣”などのポストはいりませんので、ぜひ掲げた政策を一つでも二つでも政府与党にものんでいただき、実現してもらいたいですし、それを強く求めていきたいと思います。

ホラン千秋キャスター:
最優先なのは、手取りを増やすという部分で一致できる政党がどこなのかということでしょうか。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
そうですね。特に国民民主党は“103万円の壁”を引き上げようと、ずっと訴えてきました。せっかく今は最低賃金や時給が上がっているのに、103万円分より多く働くと税金がかかり始めます。また、学生さんは親の扶養から外れてしまうので、わざわざ103万円以内で抑えています。

この壁がもう少し上がれば、たちどころに手取りや所得は増えますので、こういった政策をぜひやるべきです。基礎控除を引き上げるというのも非常に筋の悪くない政策なので、これは強く求めていきたいと思います。

総理指名選挙は「『玉木雄一郎』と書きます」

井上キャスター:
玉木さんの話を伺うかぎり、政策を実現することがゴールだということなので、政策ごとに手を組むことはありうるのかもしれません。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自民党・公明党ものみ、立憲ものむということも考えられるわけですが、そういう場合はどうするのでしょうか。まず、総理指名選挙(首班指名)からスタートするかと思います。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
首班指名は「玉木雄一郎」と書きますし、我々の仲間にも書いてもらいたいと思います。決選投票になったらどうするかということですが、ただでどこかの名前を書くことはないので「玉木雄一郎」と書きます。

政策的な合意があったり、選挙で掲げた約束の実現につながるようなことをどちらかができたりするのであれば、それも加味して判断することはありえるかもしれません。ただ、今、現在はそういう話もないので、「玉木雄一郎」と書きます。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
決選投票は上位2人の対決なので、「玉木雄一郎」と書くと無効票になりますが、それでも党全体として玉木雄一郎と書くのでしょうか。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
どちらか入れる理由がないので、その場合は玉木雄一郎と書きます。

山内キャスター:
総理指名選挙(首班指名)とは、総理大臣を誰にするか特別国会で決めるものです。国会議員が1人1票で投票し、過半数を集めればその人が総理大臣になりますが、過半数に届かなければ、上位2人で決選投票になります。

ホランキャスター:
総理指名選挙の前段階で「この部分で連携しましょう」と打診があった場合は、自民党か立憲民主党どちらかの名前を書く可能性もあるということでしょうか。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
まだ具体的な話がないので、何かを申し上げる段階ではないのですが、少なくとも1回目は「玉木雄一郎」と書きます。

私だけではなく、国民民主党の幹部は多分、いろいろな協議を各党と始めていると思います。立憲民主党からはまだ聞いていませんが、自民党からはそういう話がすでにあると思います。

よく話を聞いたうえで、我々や支援いただいた方々が納得できるような理屈があれば、いろいろな形はありうると思いますが、今のところはまだないので玉木雄一郎と書きます。

「ルールをアップデートしていく、大事な新局面に入っている」

ハロルド・ジョージ・メイさん:
私の出身のオランダでは歴史上、一つの党が過半数を取ったことがありません。たとえ1年かけてでもいろいろな党と政策などについて話し合い、政策が合っているところ同士でやるという考え方です。

私は、それは国民にとってすごくいいことだと思います。やはり一つの党が暴走するのではなく、いいところで考え方を一致させるためには、お互いに妥協しないといけない部分は妥協することが大事なのではないでしょうか。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
今までは自公で完全に過半数を占めていたので、政策は国会の外で決まっていました。自民党の部会や公明党の部会を通したら、もうそこでOKだったということです。国会に政策を持ってきても与党は全部賛成し、野党は逆に全部反対するという形で、形骸化していました。

今回はどの党も過半数を取っていないという1993年以降で初のケースだと思うので、新しい政策決定のルールや作法を決めていくための、大事な新局面に入っていると思います。

野党も建設的に加わる必要がありますし、与党も大きな心で、自分たちだけで決めるのではなく、国民民主党も含むいろいろな意見もきちんと踏まえて決定していくという、ヨーロッパなどでは当たり前の、穏健な多党制のなかでの丁寧な合意形成というルールをアップデートしていくことが必要なのではないでしょうか。実は今、そういう局面に来ていると思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
ヨーロッパなどでは、密室で駆け引きのようなことではなく、連立協議をオープンにやるんですよね。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
仮に何かを決めていくのであれば、我々はできるだけオープンに情報交換しながら進めていきたいと思います。

「対決型の国会から、丁寧に合意形成をする国会に変えていく」

井上キャスター:
政治は数だといわれる一方で、今回はどこも過半数を取れていないので、政策を協議して、手を組めるのなら手を携えて前に進めていこうという流れなのでしょうか。

数ではなく政策で進んでいくということになれば、日本の政治にとって大きなターニングポイントになるかもしれませんが、(党が)分かれていると物事が進まないという側面もありそうです。バランスについてはどのように考えたら良いのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
小党乱立だと手間がかかって、まだるっこしいみたいな意見を言う人もいますが、玉木さんが言うように、これは新しい局面ですから、プラスの方向にどう転じていくかということを一人ひとりが考え、政治家にもやってもらって、一種の試行錯誤するしかありません。

巨大な政党があれば一気に決まってスムーズだという発想自体をやめるということでしょうか。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
“対決より解決”というのが国民民主党の結党以来の党是で、「かっこいいこと言うな」とずいぶん言われたものですが、今回は「対決より解決でいいんじゃないの」と、たくさんの人が票を入れてくれました。この意味は大きいです。

今、アメリカの政治もヨーロッパの政治も、移民問題など、とにかくエクストリームに分かれていく方向です。しかし「対決じゃなくて、協議して解決策を見つけようよ」と正面から言った我々に、これだけ票が入りました。これを、日本の政治文化を変えていく一つのきっかけにしたいなと思います。

ホランキャスター:
何をどう、どこから解決してくれるのかという政治全体への期待感が薄れてしまったからこそ、投票率もやや下がってしまったのかなと思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
消費税を下げるというのはハードルが高いので、少しペンディングになるかもしれません。一方で、103万円の壁や選択的夫婦別姓などは、歩み寄れる話だと思うので、そういった部分からどんどん懸案を解決していくことが大事だと思います。

井上キャスター:
批判し合っていた政治から脱却して、組めるところは組み、前に進める。政治空白を作らないでいただきたいと、強く願います。

国民民主党 玉木雄一郎 代表:
それを期待して国民民主党に入れてくれた人が多いと思うので、対決型の国会から、丁寧に合意形成をする国会に変えていく。そのきっかけになれば、過半数割れは必ずしも悪いことではないと思います。

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<プロフィール>
玉木雄一郎氏
国民民主党代表 衆議院議員香川2区6期目
自称「永田町のYouTuber」登録者数は26.8万人

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年

ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など

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